第31話 初依頼は魔獣釣り!?(5)
よし! 今回は、比較的平和に進みそうだ!
俺はそう思っていた。
このときまでは。
◇◇◇
まずは、依頼対象の魔獣を見つける。
俺は岩場の近くにしゃがみ込み、水面を観察した。
小魚の群れが、一定の方向へ移動している。
その動きが、時折、不自然に乱れる。
何かに追われているのか? それとも、餌を探しているのか?
「……ルル、何か見えるか?」
肩に乗っていた小さな潮流竜に声をかける。
ルルは、きゅう、と鳴いた。
それから、鼻先を海面へ向ける。
小さな角が淡く光った。
「おっ?」
俺の視界に、青白い文字が浮かび上がった。
『――召喚魔獣の固有能力が発動しました』
『――微弱な魔力反応を感知しています』
『――対象は水深約三メートル。岩礁の陰に潜伏中』
「なるほど……」
ルルは、海中の魔力を感知できるらしい。
これは便利だ。
魚探のように正確な地形まではわからなくても、魔獣の存在を探ることはできる。
「よし、やってみるか」
俺は魔力リール竿を取り出した。
最初に選んだのは、小型の青銀ミノー!
小魚に似た形状で、水中を泳がせると左右に揺れる。
相手が魚食性なら、反応する可能性がある。
俺は【ラインを確認】
【ドラグを調整】
【フックの状態を確認】
俺のフィッシャーマンとしての準備はできた。
「キュモポレイア。少し離れていてくれ」
「む? なぜじゃ?」
「釣り糸に引っかかると危ないから」
「わらわを誰だと思っておる! 神じゃぞ!」
「神様でも釣り針は危ないだろ!」
「……そういうものか?」
そういうものだと、俺は思いながら、ため息をつきつつ、ルアーを投げた。
岩礁の少し先──着水……糸ふけを取る。
水深三メートルを意識しながら、ゆっくり巻く。




