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第137話 沈没船の墓場に眠る秘密(3)
古びた航海士の服をまとった、半透明の男……。
その手には、巻物のような海図が握られている。
男は、俺たちを見つめていた。
『船長……』
かすれた声が、船内へ響いた。
『お帰りなさいませ』
バルガスは、静かに帽子を脱いだ。
『ただいま、セイル』
その声は、先ほどまでの威厳に満ちたものとは違っていた。
まるで、長い旅から帰ってきた船長が、懐かしい仲間に再会したかのようだった。
俺は、何も告げることができなかった。
この世界の亡霊は、ただ人を襲うだけの存在ではないのかもしれない。
彼らには、彼らの物語がある。
だから俺は彼らのことを畏怖し、恐怖に怯える行為は辞め、二度としない。
だって、彼らの、《《その物語》》は、まだ終わっていないからだ。
◇◇◇




