第13話 女神様はSランク、俺はEランク!?(4)
俺たちがたどり着いたのは、アクアベルという港町だった。
街道を歩いている途中から、潮の香りが濃くなった。
やがて視界が開けると、そこには大きな港が広がっていた。
何隻もの帆船が停泊し、船員たちが忙しそうに荷物を運んでいる。
港の向こうには、白い壁の建物が並んでいた。屋根には青い瓦が使われ、窓辺には色鮮やかな布が飾られている。
魚を焼く香ばしい匂い。
威勢のいい商人の声。
荷車を引く馬の蹄の音。
そして、港の一角では、獣の耳や尻尾を持つ人々が楽しそうに談笑していた。
「本当に異世界なんだな……」
思わず、そんな言葉が漏れた。
日本にいた頃、異世界転生ものの小説を読んだことはある。
冒険者ギルドに登録して、魔物を倒して、仲間を集めて、ダンジョンに潜る。
そういう展開には、多少の憧れもあった。
だが、実際に目の前にすると、やはり感慨深い。
「どうした、新作?」
「いや。なんでもない」
「ふむ。さては、この美しいわらわに見とれておったのじゃな?」
「違う」
「遠慮せずともよいぞ!」
「違うって言ってるだろ!」
どうして、こうなるんだ。
俺は深いため息をついた。
そのとき、街の入り口に立っていた兵士が俺たちに声をかけてきた。
「おい、そこの二人。身分証を見せてくれ」
「身分証?」
「旅人なら、通行証か冒険者証があるだろう?」
しまった。
そういうものが必要なのか。




