第126話 海賊王の亡霊、現る(6)
まだ試作段階だったが、この魚には合うかもしれない。
「新作……本当にやるのじゃな?」
「ああ」
俺は、キュモポレイアを見た。
「でも、一人じゃない。お前も手伝ってくれ」
女神は、少し驚いた顔をした。
やがて、ゆっくりと笑った。
「……うむ。任せるのじゃ!」
彼女の手が、俺の手に重なる。
青い魔力が、竿へ流れ込んだ。
リールが輝く!
海流が、静かに動き始める!
俺は、狙いを定めた。
「いくぞ……!」
竿を振る。
ルアーが海中を走り、幻の魚へ向かっていった。
その瞬間──
リュミナスが、こちらを振り向いた。
銀色の瞳が、俺を見つめる。
そして、魚は一瞬で姿を消した。
「……は?」
俺は固まった。
──次の瞬間、船体の後方で何かが光った。
俺は振り返る!
そこには、リュミナスがいた!
しかも、船の外殻にぴたりと張りついている。
まるで、俺たちを観察しているかのようだった。
『……ほう』
海賊王の亡霊が、低く笑った。
『どうやら、面白い釣り師が現れたようだ』
リュミナスが、尾びれを振った。
青白い光が、海中に広がる。
そして、俺の竿が大きくしなった。
《カチカチカチカチカチッ!》
「うおおおっ!? いきなり来たあああっ!」
リールが猛烈な勢いで回転する。
竿が折れそうなほど曲がる。
だが、俺は笑っていた。
ついに来た!
この世界の海が、俺に挑戦してきたのだ。
「絶対に逃がさないぞ、リュミナス!」
俺は竿を握りしめた。
深海の冒険は、ここからが本番だった。
◇◇◇




