123/210
第121話 海賊王の亡霊、現る(1)
巨大亀の縄張りを抜けた俺たちは、潜水艇を岩場の陰へ停めた。
船体の損傷は軽微……。
魔力残量も、まだ余裕がある。
ただし、これ以上無理に航行するのは危険だった。
「一度、海底の地形を確認しよう」
俺は操縦席の地図を開いた。
親方が用意してくれた魔導地図には、近海の地形が簡単に記録されている。
だが、今いる海域には、詳細な情報がなかった。
「ここから先は未踏査区域か……」
「うむ。沈没船の墓場へ続く海域は、古くから船乗りたちに恐れられておる」
「海賊王の亡霊が出るから?」
「それだけではない。海流が不安定で、魔力嵐も発生する。普通の船では、近づくことすら難しいのじゃ」
なるほど……。だからこそ、潜水艇が必要だったわけだ。
俺は竿を操縦席の端子へ接続した。
魔力ラインを海へ伸ばす。
周囲の海流を読み、少しずつ地形を把握していく。
すると、海底の裂け目の向こうに、奇妙な反応があることに気づいた。
「……何かいる」
「また魔獣か?」
「いや、違う。魔力の反応が人型に近い」




