第113話 潜水艇、試作一号完成! 目指せ沈没船の墓場、海賊王の亡霊を釣り上げろ!?(3)
即答だった。
絶対にわかっていない。
俺が額を押さえていると、キュモポレイアは潜水艇の周囲をぐるりと回り、最後には操縦席へ乗り込もうとした。
「では、出発じゃ!」
「待て待て待て! まだ試験航行もしてないだろ!」
「何じゃ? 船は完成したのじゃろう?」
「完成したことと、安全に動くことは別なんだよ!」
「むぅ……人間というものは、どうしてこう慎重なのじゃ」
「慎重じゃなかったら、俺たちはとっくに海の藻屑だよ!」
親方が腹を抱えて笑っている。
くそっ! 味方がいない。
そんな俺たちの騒ぎを、工房の入口から眺めていた人物がいた。
「随分と賑やかですね」
落ち着いた声……。
振り返ると、冒険者ギルドの受付嬢ミレーユさんが立っていた。手には封蝋の押された書簡がある。
「ミレーユさん? どうしたんですか?」
「ギルドマスターからの依頼書です。新作さんたちに、正式な調査依頼が出ました」
「調査依頼?」
「はい。昨日の海竜の証言と、海域に残された魔力反応について、ギルドでも調査を進めていました。その結果、沈没船の墓場で異常な魔力が観測されたそうです」
俺とキュモポレイアは顔を見合わせた。
まさか、こんなに早く次の目的地が決まるとは。
「依頼内容は、沈没船の墓場の調査。そして、可能であれば第一の海印の所在を確認することです」
「報酬は?」
「新作!」
キュモポレイアが俺の袖を引いた。
「まずは世界を救うことを考えぬか!」
「いや、報酬は大事だろ。潜水艇の維持費だってかかるんだから」
「むむむ……」
ミレーユさんが、くすりと笑った。
「報酬は十分に用意されていますよ。成功すれば、Dランク冒険者としての評価も上がるはずです」
よし! それなら話は早い!
「受けます!」
俺は即答した。
こうして、俺たちの初めての深海航海が決まったのだった。
◇◇◇




