第112話 潜水艇、試作一号完成! 目指せ沈没船の墓場、海賊王の亡霊を釣り上げろ!?(2)
親方は鼻を膨らませた。
「もっとも、設計の発想はお前さんからもらったものだ。魔獣の甲殻を圧力に強い外殻として利用し、魔力珊瑚で継ぎ目を補強する。さらに風魔法を循環させて、船内の空気を維持するとはな。普通の船大工なら、まず思いつかん」
「いや、俺は前世の知識を少し話しただけですよ」
「その『少し』が大事なんだよ!」
親方は豪快に笑った。
実際、完成した潜水艇は俺の想像以上だった。
全長は約八メートル、乗員は三人まで、浅海での試験航行を想定した小型艇だが、魔導浮袋のおかげで緊急時には海面へ浮上できるらしい。
そして何より、俺の釣り竿と連動する魔力端子が操縦席に設けられている。
これが今回の最大の工夫だった。
俺の《《海魔釣召喚》》は、魔獣を釣り上げるだけの能力ではない。海流を感知し、魔力の糸を伸ばし、場合によっては海中の対象とつながることもできる。
ならば、その能力を潜水艇の航行にも利用できるのではないか。
そう考えて親方に相談した結果、竿から流れる魔力を船体の補助装置へ伝える仕組みが生まれたのだ。
「新作! わらわは、あの船の先端が気に入ったぞ!」
背後から、聞き慣れた声がした。
振り向くと、キュモポレイアが船体の前方を指差していた。
青い髪に海色の瞳……。人魚の姿を思わせる美しい女神は、なぜか妙に得意げだ。
「先端って、魔導ガラスの窓のことか?」
「うむ! あそこから魚を眺めながら進めば、さぞ楽しかろう!」
「……お前、世界の危機を救うために海底神殿へ行くんだよな?」
「当然じゃ!」
「じゃあ、魚を見るのはついでだぞ?」
「もちろんじゃ!」




