第4話:古いもの
アッシュの視線が教室を流れるように動いた。
ほとんどの生徒は普通に見えた。しかし、何人かが目に留まった。わずかにうつむいた頭。遠くを見つめる目。見えない重荷を背負った肩。
シャッターズ……
すでに蝕んでいる。静かに。深く。内側から。
アッシュはわずかに目を細めた。
ここだけで十人以上か。
隣では、レオが完全に動きを止めていた。その視線は同じグループに固定されていた。
アッシュは彼に向き直った。
「何かあったか?」
レオは数秒間黙っていた。それからゆっくりと首を横に振った。
「何でもない」と彼は静かに答えた。
しかし、その声にはかすかな緊張が残っていた。
アッシュはしばらく彼を見つめてから、何も言わずに歩き始めた。レオはすぐに隣に並んだ。
「どこへ行くの?」レオが尋ねた。
「図書館だ」
学院中央図書館は広大で、静寂に満ちていた。アクシオン使いと魔法使いの双方が共に使う、中立の場。壁は外部の音を完全に遮断し、重く、研ぎ澄まされた沈黙を生み出していた。
入口は門のように揺らめいていた。生徒たちが足を踏み入れては消え、しばらくして再び現れる。
レオは近づきながら目を見開いた。
「聞いてはいたけど……思ってたより、ずっとすごい場所だ」
アッシュは無言で中へ入った。レオが続いた。
中では、生徒たちが本に静かに向き合っていた。誰も喋らない。その沈黙はほとんど神聖なほどだった。
二人が図書館の奥へと歩いていると、棚の間からセリーン・ノクティスが姿を現した。出口へ向かいながら、輝くデジタルブックを手に持っていた。その表情は穏やかで、落ち着いていた。
彼女はアッシュのそばを通り過ぎた。
そして、止まった。
奇妙な感覚が彼女を包んだ——かすかだが、深いところから来るものだった。彼女はゆっくりと振り返った。
あの少年……
ACQ機を破壊した者。
表面上は、何の変哲もない。しかし、その静かな外見の奥底に、何か古いものを感じた。言葉にならない記憶が彼女の中でかすかに揺れた——自分のものではない記憶が。
彼女はその感覚を素早く押し込めた。
何者であれ、と彼女は思った。ここにいる誰とも違う。
気づかれる前に、彼女は視線を逸らし、歩き続けた。
アッシュとレオは静かな図書館の奥へと進んだ。
「本でも探す?」レオが低い声で尋ねた。
アッシュは小さく頷いた。
二人は個別閲覧ブースに入った。レオは近くの棚に向かい、本を探し始めた。
アッシュは静かに椅子に腰を下ろし、目の前の本を手に取った。
ページをめくる音だけが、静寂の中に溶けていった。




