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七十七:慈善活動

 


 アタシはひとり、城門から平原へと飛び立つ。


 空はとても青く、気候も穏やかで、正にお掃除洗濯日和だ。


 徐に鼻歌を歌いつつ、例のケ○ヒャー魔術とダ○ソン魔術というかわからない、その二つの魔術式を融合改変させて、一定の範囲内にある武器防具を吸引し、序でにその土地を浄化していく術式に変えて、それを空から地表に向けて展開しながら移動した。


 まるで耕運機の様にくまなく広範囲で綺麗になっていく様は、我ながら天晴れと言いたいところだ。


 なお、回収した武器防具は黒呼の腕輪を通じて例の武器防具屋へ納品され、そこで更に修理・能力向上の改修を受けた上、職人さん達が習得したてな新付与魔術(特許取得済)を行って神聖属性を付与し、それをこれまた腕輪経由でクロムづてにギルドへ納品される。


 ギルドの冒険者・及び都市警備部隊や城仕え警備隊はよっすぃ~&セエレによる特別講習を受けて対アンデットの実力強化を図り、メシアはその間で国境をアンデットが越えて来ない様に強力無比な結界を張り回ってくれていた。


 なお、この件に関する報酬は、この国に対しては『美味い郷土料理や家庭料理を食べさせてもらう事、それと古来から受け継がれる古の知識も教えて貰う事』とし、金銭面(計画実行時の時価換算)はセエレ&クロムの黒い二人によりスイレンの王様に請求する事となった。


 ああ、王のおじいちゃん、また胃薬が必要になるかもなぁ。


 少しだけ遠い目になりながら、アタシはガンガン掃除機魔術を行使するのだった。





 しばらくルンルン気分でお掃除していたのだが。


 平原の国境近く、例のクソ屍霊デカブツを倒した辺りの荒野に差し掛かった時、アタシは一旦お掃除の手を止める。


 国境から先、別な国の領地から、突き刺さる視線を感じたからだ

 。


 トトの魔眼を駆使し、めっっっちゃ小さく見える相手をよーく確認すれば、あらやだ!!中学生も真っ青になるレベルな、イケイケな中二病全開!な装備に身を包んだ青年達がこちらを観察しておりますわ!


 これはーーーた の し そ う だ ぞ !!


 と、いうわけで、アタシは全力全速一瞬で彼らの目の前に現れてみた!!


 かかった時間は、前に山脈で編み出したジェット理論も組合せた上で自己最速・つまりは1秒くらいかな?

 もちろん、国境を越えない様に細心の注意は払っておりますとも!!




 いきなりアタシが目の前に現れて、青年、つまり中二病BOYS達は『は?』といいそうなくらい驚いている。

 アタシも、彼らの格好を見て、別な意味で悲鳴をあげそうになっているが!


 だってさ、軍服なのはいいんだ。だけど、謎にチェーンやら装飾やら何やらで彩られて、カラフルな髪色プラス謎におメイクまでしちゃって、何ていうか昔のコテコテのヴィジュアル系、つまりはコテヴィ臭満載で、あんたらどーやって戦うの?その服邪魔じゃないの??とかツッコミが追い付かない!!


 そんな考えの上に出た、アタシの第一声は。


「やあ、こんにちは。みんなでハイキングかい?」


 ーーー昭和のおじさんみたいな挨拶になっちゃったよ!?


 言われた彼らもポカーンでしてるし!?

 あああああ!だれか!セエレでもいい!ツッコミ役がほしいい!!


 アタシの内心の混乱を余所に、そのコテヴィBOYSのリーダー君がキッとアタシを見つめた。


「我らは!サイデルヴァスト王国守護第七部隊ゲウィターの者である!!

 先程から拝見していたが、貴殿は何者か!?ここで何をしているのだ!?

 昨晩の忌まわしきスタンピードに関与しているのか!?答えよ!!」


 おおお、超熱血ボーイじゃないの!カッコいい!!いやー、若いっていいねー!!

 内心、そんな風に感心していたら、突然ハッ!て顔して、もう一度同じ台詞を、今度は原種戦闘国家の土着語で話してくれたよ!?お隣の国の子、チョー親切じゃん!!

 好印象を持ったので、アタシはにこやかに返答する事にした。


「アタシは、スイレンの国からこの国に仕事しに来た者で、昨晩起きた事件に巻き込まれたんだ。

 余りにも痛ましく、余りにも頭にきたからその調査と、少しでも平原が綺麗になるようにお掃除している、ただの仕事人です。

 単刀直入にきくけど、昨日の事件の犯人をアタシも捜してるんだが、誰か知ってる?心当たりとかないかな?」


 そこまで言ってから、真面目な顔に戻してやったら、BOYS達にも困惑が出てきた模様だった。


「それは、我々が、知りたい所だ・・・そうか、貴殿は無関係なのか・・・」


 明らかに落胆した表情になったので、アタシはあ!と思い、国境ギリギリの地上まで近づいて、熱血コテヴィボーイを手招く。

 少し訝しげに見ていたが、好奇心が勝ったのだろう。熱血ボーイが此方へとやってきた。


 アタシは彼に手を出させ、通信機能を更に加えた防犯ベル的なネックレスを渡す。

 不思議そうに見つめる彼に、アタシ達が各国の転移陣修復している事、次は君の国に行く予定だった事、今回はマジで巻き込まれた事、あとはこのネックレスの機能をさらっと説明し、メインは情報交換などの通信、危機的状況なら助けに行く旨説明して、彼に装着してあげた。

 彼は結構純粋みたいで、アタシの言うことを信じてくれて、ネックレスも喜んでくれた。

 あと、なにか新事実がわかったら、都度教え会う事を約束をし、別れる。


 正直、彼が敵でも味方でも、どっちでもいいんだ。


 多分、彼から得られる情報が、後々アタシ達の手助けになるだろうから。

 彼のネックレス越しに聞こえる会話を聴きながら、アタシは彼らに手を振ってお掃除を再開するのだった。



 それからアタシは夕方位までに国境内の平原全てのお掃除を終え、街に戻った。

 掃除中ずっと、あのコテヴィBOYS達の会話を聴いていたんだけど、きちんとギルドに照会してアタシの裏付けを取って安心してみたり、街の人の困りごとに対して真摯に受け答えしていたり、報告・連絡・相談も抜かりなくきちんとお仕事してみたり、とても忙しい青年達なんだなと感じた。

 それに、格好と言動はアレだけど、とても真面目な子達だなって思ったよ。

 つまり、シロ。


 ん~、これは、やっぱ隣の隣にある悪の本拠地的な新興国家に行かないと解決しないのかなぁ?


 しゅんとしながら城へ行き、仲間と合流してから広間へ向かった。




 広間にて、今日の皆の成果や出逢った青年達の事などを報告し合いながら、アットホームな郷土料理に舌鼓を打つ。


 米に似た穀物で出来た茶粥(薬膳粥?)に、ふろふき大根みたいな煮物、ざくざく汁のような汁物、酒粕?を使った和え物などの基本的に保存が効く食材やよく採れる食材を応用した、美味しい家庭料理なるご飯をご馳走していただいた。


 王族一家は、こんなので本当に大丈夫なのか?と不安げだったが、アタシ達が食べたいのは、正にこれなのです!

 ちょこちょこシェフが心配そうに広間を覗きにやって来るので、その旨お伝えして、とても美味しい事を話すと、みんな嬉しそうにしてくれ安心したみたいだった。


 あー、よくある国交だと、高級なものを用意しないと!とかあるのかな?

 そんなの、気にする必要ないんだよね。

 美味いもんは、美味いんじゃーい!!



 食後はお風呂を借りたりして、全員が早々に就寝する事になった。

 まあ、毎度の如く、嫁には一体ずつ分身体を添付してGOtoBEDして貰い、アタシは自室にて一人今日の気になる事を分析する。


 コテヴィBOYSの情報では、本当の黒幕に繋がるものは出てきてはいない。

 しかし此方には、結界ごとではあるが、その術式と犠牲になっている子供がいる。

 アタシがやることは、術式を分解してゼロに戻し、犠牲者を無事に回復させて、黒幕が誰か教えて貰うこと。


 そこまで考えて、とりあえず犠牲者の状態をもう一度確認すべく、自室に結界を張って外から見たり入れなくし、例の黒い心臓の部分を取り出す。


 正直見たくはないが、隅々まで観察しつつ、違和感と共に何だか見たことあるような感じだなぁ・・・と思っていたら。


 犠牲者の四肢と首の後ろに、小さく、本当に小さく、魔方陣が刻まれていた。

 そのデザインの中の紋様・・・が。

 色も、デザインも、呪いを受けた黒呼の首に浮かんでいた、あの紋様にそっくりだった。



 ーーーー沸き上がる、怒り。



 それを何とか抑えつつ、他の魔方陣を解析し、しばらくの時間を思考に費やした結果、此の解除方法だけは発案出来た。

 ただ、それは、アタシにももしかしたら危険が及ぶシロモノ。

 失敗したら、とりあえず周囲は大惨事になるだろうから、一旦深淵の森に帰ってから、やった方がいいかもなぁ。

 国が、城が、都が瞬殺されるのは避けないと。

 最悪、魔物のカーちゃんズに協力をあおいで、溢れ出る触手の刈り取りを手伝ってもらわなアカンかも。


 そこまで考えてから、黒い心臓を再び丁重に腕輪へと収納した。


 また明日、みんなが起きて仕事して、時間見てよっすぃ~にだけは話通しておこうっと。


 そう結論を出して、アタシはオフトゥンの海にダイブし、うつらうつらと浅い眠りに着くのだった。





身内の不幸により、長期掲載出来ずに申し訳ありません。

まだ、残務処理が残っておりますため、少しずつ進めて参ります。

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