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六十七:感動なのかわからない再会

 


 日が昇り、アタシはキッチンで朝食とお弁当の準備を行った。

 とりあえず分身は部屋に置いてあるからメシアもゆっくり眠れるだろうし、アタシはアタシで仕事の準備しなきゃだからねぇ~。しゃあないよね。

 日の出近くまで作業をしていた為、またもや魔力がすっからかんになってしまったけれど、ね。

 しかしそれも朝イチで、複製したオネェドリンクのお世話になったので、今は魔力が完全復活してむしろ調子が良い!!


 そんな事を思いつつ、弁当も人数分完成したので、あとはコーヒーを淹れて、ひとりゆったりと皆を待つ事にした。





 しばらくして、やはり早起きなのは黒呼だったらしく、洗い立ての顔を拭きながらリビングへやってきた。


 コーヒーを淹れてやり、二人で寄り添って、まったりと過ごす。

 静かだけれど、優しいひととき。

 黒呼も穏やかな表情を浮かべて微笑んでいる。こういうの、好きだなぁ。




『えええええええええ!?』




 ーーーそして幸せなひとときをブチ壊す、クロムの悲鳴。


 アタシは黒呼と顔を見合わせた後、サクッと二人でクロムの部屋に突入した。


 そこには。


「フ、フミエ・・・これ、どうなって・・!?」


「「ああ~それかぁ~」」



 思わず黒呼とハモッたが、クロムはベッドの上で、同じく寝そべる成長した黄金龍の下敷きになっていた。


 うん、懐かしいなぁ~


 アタシは感慨深くなりながらベッドへ近より、黄金龍の子をヒョイっと抱き上げてクロムを救出。


 同じく黒呼がこの現象についてクロムに説明し、クロムも「先に言っておいて欲しかった」と項垂れている。


「まあ、育てる人の魔力量によってサイズが変わるみたいだから、どう成長するかはわからないからねぇ。」

「俺の時は大きめな猫くらいのサイズだったから、本当に人によるっていう感じだ。

 しかし、先に言っておかなくて済まない。」

「んもぅ、まあ、別に良いよ・・・」


 少しだけ拗ねた顔をしていたが、黄金龍の子供に触れてなで始めると、とても穏やかな表情へと戻る。


「・・・この子の名前は、決まったのか?」

「あ、確かに、考えなきゃだなぁクロム?」


 ふと唐突に、黒呼がクロムへと問うた。

 アタシもすっかり失念していたので、クロムの表情を見れば。


「うん、決まってるよ。」


 とても穏やかな表情のまま、クロムが少しだけ寂しそうに笑った。


「うん、この子の名前はーーーースフィレ。

 元々の名前、そのままの方が、しっくり来るなって思ったんだ。」




 ーーーーボン!!・・・シュウゥゥーーー



 クロムが言い切った瞬間、突発的な爆発音と、立ち込める白煙。


 うん、これは。


「「あぁ~、やっぱりかぁ~」」

「え!?ちょ、何々!?何なの!!?」


 焦るクロムを抱き締めて、風魔法で部屋の白煙を追い出すと。


 そこには。



 とっっっっても綺麗で美人な、金髪ロングで美しく白い肌、胸はフランと同じくらいの少女が立っていたーーーーもちろん全裸で。


「え・・・!?」


 クロムが驚きで固まっている。


 アタシは腕輪から大きめのカーディガンを取り出し、この子ーーースフィレへ掛けてあげた。

 変わりに、黒呼がクロムに、この事象の説明をしてあげている。


 アタシは、とりあえず手持ちのスポブラとカーディガンとを着せて、その後で、とりあえず複製しておいた龍族女用のパンツとスカート、サンダルを取り出して、スフィレへ履かせる。


 うむ、これで部屋のそとに出ても大丈夫になったぜ!!


 アタシは一安心し、スフィレの頭を撫でてあげると。


「・・・パパ、ありがと。ママ、だっこ~!!」


 何と!声も可愛いじゃないか!!(親バカ)


 嬉しそうにクロムの腕のなかへダイブするスフィレに、クロムも驚きながらも凄く嬉しそうに抱き締めていて、本当に、家族らしくなっていいなぁって思った。


 黒呼もアタシの側に戻ってきて、優しい眼で二人を見つめる。


 うん、凄く懐かしいよなぁ。


 ふと、黒呼と目が合って、一言。


「俺も、ちゃんと子供産んで、また家族増やしたい。」


 って言われたのには困っちゃったけれど。


 その後、しばらく黒呼がクロムのサポートで部屋に残る事になり、アタシはリビングへと戻ってきた。




 ソファにはいつの間に起きたのか、まったりとセエレが腰掛けて朝の珈琲を飲んでいた。

 セエレはいつも、朝から完璧に身支度を整えてからリビングへやって来るから、朝日に反射して綺麗な髪がとても煌めいて見える。


「おはよう、セエレ。」


 アタシはセエレに挨拶しつつ隣に座り、飲みかけのコーヒーに口を付けた。


「ふふ、おはようございます、御主人様。今、温かいおかわりをお淹れしますね?」

「おー、ありがとう〜」


 テーブルに拡げていたコーヒーセットを巧みに操り、美しい動作でセエレがコーヒーを淹れるのを見つめる。


「ふふ、見つめられると恥ずかしいですね?」

「や、すっげー綺麗だなって思ってさ〜」

「···っ!」


 素直に感想を述べたのだが、セエレからの返答がない。


 ふと目線をセエレの顔に移すと···ものすごく真っ赤に頬を染めて、こちらを見ない様に必死でコーヒーを淹れていた。


 そんな珍しい姿につい、釘付けになっていると。


「···不意打ちは、卑怯です。」


 目の前に淹れたての珈琲を置きながら、セエレが呟いた。


 アタシは言われてる意味が解らず、はて?となりつつも口を開く。


「へ?いや、いつもセエレは綺麗だなって思ってるよ?でも、さっきのはもの凄く美しいなって思ったから、つい、口にしちゃったんたけど···?」


 え、何か気に触るような事言ったかな!?と内心ドキドキしていたら、少し涙目になりながら、セエレがアタシの膝の上に、向かい合わせで馬乗りになって座ってきた。


 そのまま、頬を両手で包まれ、強制的に目線を合わせられる。


「そういう事····あまり他人には、言わないで下さいね?」


 そう呟かれ、そのままキスされた。


 ーーーふむ。


 ご褒美の時とは違う、とても優しい口付けを交わしながらも、これはこれで良いものだなぁ、なんて思ってされるがままになってみた。


 ひとつひとつ気持ちを込めるかのように、優しい口付けが続く。



 そして、コーヒーが少し温くなり始めた頃、名残惜しそうに唇を離したセエレは、とても優しい笑顔を浮かべ。


「愛しています、御主人様。私の心も体も全て、御主人様だけのモノです。」


 そう言って抱きついてきたのだった。



 アタシは、そんなセエレをそっと抱きしめて、少しだけ、セエレの体温を堪能しながら瞳を閉じた。。






 その後、アタシの上から退いたセエレと共に、今日行く場所や人種の確認をしていると、続々と起床した家族がリビングへと集まってきた。


 アタシはセエレと朝御飯の支度をし、その内に落ち着きを取り戻したクロムとスフィレ、黒呼もリビングへとやってくる。


 もちろん、龍の子供達もリビングに居たので、みんな一目散にスフィレの元へ行き、新しい妹の進化に喜んで我先にお世話する!とクロムからスフィレを預り、龍の子コミュニティに連れて行ってしまった。


 と、いうか。


 龍の子コミュニティ=龍子ミュの皆の立ち位置とキャラが、こんな短期間でしっかりと確立している事に、驚きを隠せないよ。


 木苺はしっかり長男、ミュールは天才次男、ヴェルトは野性的実行派三男、空海はやんちゃ坊主な四男。

 フランはのんびり家庭的長女、桔梗は行動派次女、琥珀はおっとりお嬢様な三女。

 スフィレは女の子だから、どんな子に成長するのかとても楽しみだなぁ。


 少しだけ寂しそうになってるクロムにコーヒーを淹れて渡しながら、お疲れ様、と声をかける。


「黒呼くんから聞いていたけど···子育て期間、ホント短いね···」

「ああ、まあね。龍の子達は、自ら学んでいくスタイルみたいだから、ここからは皆のやりたいようにやらせているんだ。

 あとは、その場その場で教えていったりしてるよ。お疲れ様、クロムママ?」

「うん、ありがと···」


 キャッキャと、にーちゃ、ねーちゃと言って和気藹々な龍子ミュを眺めつつ、今夜はメシアに頼んでケーキでも作って貰おうかなー、メシア寝坊してるなーなんて考えていたら。



 ーーーガチャン!!バタバタバタバタ·····


 突然玄関が騒がしくなり、その後ものっ凄くラフな姿で、息を切らしながらアウィンがリビングへとやってきた。


 そして。


「···っ、スフィレ!!!」


 人化しているスフィレの元に、泣きそうな顔で一目散で駆け寄り。




 抱き締めようとする姿のまま、スフィレから鮮やかなアッパーカットを喰らっていた······









「コラッ!スフィレ、いくら怖かったからって、殴っちゃダメだろう?」

「ごめんなたい、きーにーたま。でも、コレがあまりにもだらしないかっこうだったから、つい、いつものくせで···」

「心配してくれた人に、コレっていったらかわいそうなのよ?」

「うぅ、ふらねーたま、ごめんなたい。」

「ふむ、いつもの癖、とは?」

「みゅーにーたま、こやつはもともと、だんな?かれし?だったの。そのときのくせで、つい。」

「ダが、殴るノハ、良クナい。殴ルノハ、護ル時ダケの方ガイイ。」



 突然の事態に龍子ミュでの大説教大会が開催され、円陣を組んで事情聴取と教育が自発的に行われた。


 殴られた本人はというと。


「ふふふ、良かった、全く変わってなくて安心した〜」


 と、とっても幸せそうな表情で、顎の下を冷やしながら龍子ミュを見つめている。アウィンも、奥さんにはドMなのか、そうなのか。



 つーか、先程から聞き捨てならない単語がバリバリ聞こえてくるんだけど?


 アタシは龍子ミュとアウィンをクロム·月呼夫妻に任せて、朝御飯の支度を聞き耳たてながら続ける事にした。


 なお、黒呼も月影夫婦(よっすぃ〜と白呼くん)も手伝ってくれて、ある程度支度が終わった頃にメシアが降りてきた。(なお、メシアはいかがわしい理由で寝坊したとの事。けしからんな!)



 そしてその後、途中で説教大会を止めさせて、皆でいただきますをしたのだった···







旦那は嫁には弱いのです。


なお、アウィンの姿は、ラフなズボン一丁のみ、しかも腰パンな姿だったとか。


そりゃーアッパーカットされるわ。

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