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六十四:幽閉の皇

 




 クロムの案内の元、サクサク地下への入口までやって来たはいいものの。



「あれっ?・・・・ここ、鍵がないと、開かないみたいだね??」


 その入口には、強めな魔術結界と共に、ゴツイ錠前が設置されていた。

 アタシたちは一度城内へ戻り、手分けして鍵の捜索を行った。



 ーーーまあ、出てくる事はないんだけどな。


 アタシは探すフリをしながら、徐々に皆から離れて、一瞬のスキを付いて地下への入口まで転移した。


 そして、腕輪から卵と共に入っていた例の鍵を取り出し、解錠する。


 解錠と共に魔術結界が消えそうになったので、アタシは身体を地下への入口へねじ込んだ後、結界だけは強化して、更になかなか解けないように改良してから、再設置しておいた。


 いや、地下から変な雑魚があがってきても大迷惑なだけじゃない?


 それに、逆に皆の足止めにもなるだろうし?


 結界の内側に来て、猛烈な強さの魔力が地下から昇ってくるのを感じ、一人で来て本当によかったと思う。


 そのままてくてく階段を降り、何のトラップもなく無事に地下へ到着してみれば。



「わあ・・・・」



 とても大きい広間の中心に、氷なのかクリスタルなのかは不明だが透明な結界があり、

 そのなかにとても大きい黄金龍の成体が眠っていた。


 アタシはそっと近づいて、中を覗いてみると。



 ーーーーパチっ



 ーーーあ、目があった。



 その刹那、ものっすごい強大な魔力が水晶の結界から噴出した!!


「あっつ!!こなくそ!!」


 余りにも高熱な魔力だったので、アタシも猛烈に魔力を放出して対抗してみる。


 ーーーうん、とりあえず快適な気温になった!!


 アタシがそのまま、黄金龍に合わせて魔力操作の気温調節を駆使して対抗していると。



「キサマハ、ナニモノダ?ナニヲシニキタノダ?」


 あらやだ、話しかけられたわ!!


「アタシはフミエ。とりあえず貴方に敵意はない。

 アタシは、この龍の國を含むこの地方の転移陣の修復をしにここに立ち寄って、打ち捨てられていたこの都市を復元しただけに過ぎない。

 他に生存者がいないか確認したけれど、生きてる方はいなかったよ?」


 そう、大きい声で言ってみたら。


 一気に魔力嵐が止み、黄金龍が目を見開いて愕然としていた。


「ソレハ、ホントウカ・・・?」

「本当。因みに龍族自体、今の世の中ではとても稀少な種族になってるよ。」

「ソウカ、ソレデハーーーー全て、滅んだのか。」


 言いながら、黄金龍が人型へと変化する。


 おお!?クロムにすっげー似てるんだけど!?


 アタシがまじまじ観察してしまったせいか、居心地悪そうに黄金龍が身動いた。


「あ、ごめんなさい。貴方が、アタシの知っている龍族の者にとても似ていたものだから、つい。」

「!?我に似ている、だと!?何処に居るのだその者は!!」

「今、上の階で待ってると思うけど・・・」

「なれば、我も・・・!」


 ーーーゴツッ!!


 黄金龍が此方に来ようとして、思いっきり水晶の結界にぶつかって撥ね飛ばされた。


「・・・大丈夫?お怪我は?」

「ぐっ・・・本当に忌々しい結界じゃ!!」


 ぷんすかしながら、黄金龍が結界を殴っている・・・が、びくともしない。


「えーっと、その前に貴方の名前は?どうしてここにいるの?」

「む?そういえば、そうじゃな・・・」


 はたと我に帰って、黄金龍が此方へとやって来る。


「我の名は、アウィン。この龍の國・・・が、あった頃の皇じゃ。

 我が妻によって、唐突にここへ幽閉された上、永い事眠らされておったのじゃ。

 外の國からの悪しき侵攻を受けておった折り、その戦の最中、突然にそんな仕打ちをされたのじゃ・・・そして未だ、この結界が破れん。」

「そっか・・・もし、結界をぶち破ったら、貴方はどうする?」

「まず、妻を探す。そして、外界の状況にもよろうが、國はなくなり、もう皇ではない故、新天地にて妻と二人、静かに過ごしたい。」

「そっか。じゃあさ、アタシ、全力でがんばってみるから、結界が破れたとしても、アタシや仲間を傷つけないって約束してくれる?」


 そう言うと、一瞬驚いた後、アウィンはしっかり頷く。


「我が名にかけて、結界を解いた暁に、お主達を友と認め、傷つけないと約束しよう。」

「おっけ。じゃあ、自分にバリアを張って防御しててね!?」

「承知した。」


 アウィンが防御体勢になったのを確認しつつ、アタシはトトの魔眼に集中し、この結界の分析をする。


 ・・・・うん、結構頑丈な結界だけど、これは何とかなるかも?


 弱点らしきものを見つけたので、アタシは魔力属性を変え、思いっきり魔力を放出しつつ濃縮しまくって、デカい針状に変える。


 それをしばらく繰り返し魔力を練り上げ、正直、本気で危険な魔力の塊レベルになった巨大針を、結界の一点に向けてブン投げた!!



 針は狙い通りに一点を撃ち抜き、その瞬間に凄い音を立てて、結界が破れる。


 アタシはすぐさま、割れた結界の破片を、狼の洞窟でやったように粉砕しつつ回収し、アウィンが怪我をしないように綺麗に片付けてあげた。

 この破片、成分的に探してた素材にそっくりなので、後で活用しようかな。



 そして、後に残るのは、驚愕に目を見開いて立ち尽くすアウィンのみ。



「・・・アウィン、大丈夫?怪我はない?」


 そう声をかけると、はたと我に帰ったアウィンが此方へとやってきた。


「ああ、大丈夫じゃ。それにしても・・・本当にお主は何者なのじゃ?規格外にも程があるぞ??」


 おう、そんなん言われましても。解せぬ。


「んー、過去に色々あったからねぇ。でも、皆の助けになるなら、がんばれるってやつだから、心配しないでね?」


 結界が張られていた台座の縁に立つアウィンに手を差し伸べ、アウィンを降ろしてあげながら答えると。


「・・・ふむ。お主、我が妻になるか?」

「ブハっ!?」


 凄い真顔で言われたから、思わず吹き出してしまった。


「ごめん、アタシは種族的に、アタシを夫としての一夫多妻制だから、アタシが妻にはなれないんだよ~。つーか、アウィンは奥さん探さなきゃでしょ?冗談言わないの!」

「・・・冗談ではないのだが、まあいい。

 ・・・そうか、我自身が妻になるのもまた一興か。」


 ん、何か不吉な事を言ってるぞ!?


 アタシは何も聴かなかった事にして、アウィンを連れて外へと向かった。


 途中、昇りの階段がキツかったのか、アウィンが休憩を求めた為、アタシがアウィンを抱き抱えて昇って行く嵌めになった。


 まあ、アウィンも病み上がりみたいなものだから、身体の組織が弱っているんだろう。


 外に出て、美味しいもの食べて、ゆっくり休んだら体調も元に戻るかな?


 そんな事を考えて、地下への入り口に近づいた途端。



 ーーーーゾクッ



 扉の前から、凄まじい魔力を複数感じた。

 そして、それと共に、物凄い怒気も。



 こ、これはーーーー




 階段を昇りきり、扉を開いて前を見やれば。


 今までになくご立腹の嫁達が、仁王立ちしていらっしゃいましたーーーー






「もー!!いつもいつもいつもいつも姉さまは独りで何でもやっちゃうんだから!!たまにはメシアを頼ってよ!!メシアだって姉さまの役に立ちたいし側を離れたくないんだからっ!」

「はい、すみません・・・」

「それに何なんですかあの魔力量は!?ご主人様のあんなにも美味しそうな魔力を私は頂いたことも感じたこともないんですよ!?だから一緒に行きたかったのに!!何て勿体ない事をしたんですか!?」

「いや、だって、あの量はセエレも一瞬で消されるレベルの高温だったんだよ?それくらい危険でーーー」

「危険なら尚更、俺たちが行くべきだったと思うがな?まあ、逆に俺たちがフミエの動きを制限するから、今回は側に居させてくれなかったのかもしれないが、それならきちんと話をしてほしかった。物凄く、心配した。」

「それは、そうだね、黒呼。反省する。」

「う・・ひっく、ひっく、、フミエのっ、バカぁ!パパがいなくなったら、この子が可哀想じゃないかぁ!!本当に、ビックリしたんだからね!?あの尋常じゃない魔量の乱発に、本当に不安で不安でっ!!」

「うん、本当にごめんね、心配かけたね?クロムも皆も、本当にごめんね。」



 アタシはあれから小一時間、その場で嫁に囲まれて、正座で説教を受けていた。


 みんな、物凄く心配してくれたのか、頬に涙の後がある。


 なお、アウィンは後から来たよっすぃ~&白呼くんから、アタシ達の事情や今まで見てきた事を話してもらっている最中だ。


 そろそろ嫁の勢いがなくなってきているので、アタシは本気の謝罪と、一人につき3つ、何でも言うことを聞く事で、説教タイムから解放された。


 だが。


「「「「1つ目のお願いは、ちゃんと嫁にしてほしい」」」」


 と、即座に口を揃えて皆が言うので、つい、


「それは確定事項だから、それ以外で言って。」


 と、口を滑らせてしまい、それからしばらく、嫁達のデレデレタイムに分身体を出動させてまでお付き合いしなくてはならなくなったのが、更なる苦行となるのだった。






結論:嫁が一番強い。




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