六十三:龍の香と龍の仔
※クロムがうっかりアレな表現があります!
別館?の、大きな扉のある部屋の前に到着し、その扉に手を触れた時、アタシは猛烈に嫌な予感に苛まれた。
この部屋は、いや、この別館は、クロムの記憶でも朧気で『女の人が住んでいた』くらいしかわかっていない場所だ。
そのまま、どうしようか考え込んでいると。
「姉さま?どうしたの??」
心配そうに見上げてくるメシアに、アタシは微笑んで「何でもない」と伝えて、扉を見やる。
まあ、何かあっても、その場で何とかするしかないか!!
アタシは覚悟を決めて、その扉を開け放つ。
中にあったのは、ものすごく大きなベッドと、奥の棚によくわからない薬や機材が収納されていた。
アタシ達は中に入り、甘い香りのするこの部屋の探索を開始する。
部屋の奥には大きめの浴室もあり、他にはクローゼットルームやメイクルームもあったりと、一見豪華な普通の部屋のようにも見えた。
でも・・・・
「ご主人様、ここは、もしかしたら後宮の伽場だったのかもしれませんね?」
棚の検閲をしていたセエレが、妖しい道具を持ってそんな事を言う。
うん、それ、たぶん正解だ。
ここは、王が後宮の人と子作りする部屋だったのかもしれない。
ふと、甘い香りを出すお香が気になって、トトの魔眼で見てみると。
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龍堕の香
催淫(貫通):龍族に対し∞
催乱(貫通):龍族に対し∞
龍族の褥に使う香。
少子化を食い止める為に作られた、龍族にのみ効果のある香料を使っている。
無効スキルすら貫通する為、使用量には注意が必要。
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・・・うわぁぁぁぁ!?
ヤバイ!!これマジでヤバイ!!!
アタシは火が着いた香にそのままバリアをかけ腕輪に収納&封印し、他に備蓄されていた龍堕香も全て回収して腕輪に封印した。
これ、こんなもんあったら、うちの子供たちに悪影響じゃないかぁぁ!!
アタシは他にも悪影響があるものがないか、棚を検閲すると、出るわ出るわ。
妖しい液体に妖しい薬に妖しい首輪や枷に道具に・・・!
それらも全て回収&封印し、一息ついてベッドの方を向くと。
「ふ・・・・うぅぅ・・・」
「・・・・クロム?」
クロムが、ベッドに丸くなって、顔を真っ赤にして悶えていた。
涙目で、息が荒くなっている。
こ、これはーーーー
「た、すけ、てぇ・・・っ、フミエぇ・・・っ」
クロムがこちらに手を伸ばして、助けを呼ぶ。
まごうことなく、下半身の状態をみても、あの香にやられていた。
「えーっと、ちょっと待ってて!!」
アタシはベッドを囲うカーテンみたいなのを速攻引き、その後ダッシュで皆に事情を話し、一端皆には他の部屋を探索して貰うことにして退出させた。
で、アタシ一人でベッドに戻ってきたはいいものの・・・・
「あ、あぁ・・・んぅ・・・」
クロムが耐えきれず、ソロプレイを始めてしまっていた。
とりあえず、アタシはクロムの上体を起こして卵を回収し、割れないように空中に浮遊させる。
で。
どうすべかと、とりあえずクロムの側に行くと、クロムが震えながら抱きついてきた。
「フミエぇぇ・・・子作り、しよぉ?」
「・・・それは、きちんと番になってから、ね?
とりあえず今は、手伝ってあげるから、香の効果を抜いちゃおう?」
アタシの膝の上に馬乗りになりながら、クロムが腰をゆらめかし更に強く抱きついて来る。
もう、正常な判断ができる状態ではないみたいだ。
「うん、してぇ・・っ、番にしてよぉ・・っ」
「ああ、もうちょっとしたら、皆ときちんと番になるから、心配しないで?」
「う、嬉しい、っ、ふぁぁ・・・」
その後、貪欲に求めるクロムのお手伝いを、これでもかという程、クロムが気絶するまで、行うのだったーーーー
しばらくして。
「・・・あ、フミ、エ?」
「よ~・・・目が覚めた?おはよう。」
「うん、おはよ・・・って、僕、僕っ!?」
「お~、色々凄くて可愛かったぞ?」
「!?・・・は、恥ずかしいぃ~!!」
腕の中で悶絶するクロムに、とりあえず美味しいお水と、避難させていた卵を渡す・・・いや、渡そうとして、卵から急激に、アタシの魔力を吸われた。
え!?結構吸う量多くないか!?
凄く驚いたが、ひとしきり吸われまくったあと、卵がより一層大きく成長する。
てか、このサイズって、木苺達を買った時と同じくらいなんだけど!?
それから、少し静かになったので、同じように驚くクロムに卵を渡してみた。
「え、っと、これ、もうすぐ生まれそうなの、かな?」
「・・・多分?・・・まあ、その前に、スッキリして着替えようか?」
「え!?・・・ふえぇ!?何これやだぁ!?」
アタシは卵を抱えたままの、胸から下、下半身グチャグチャのクロムを抱き抱えて、風呂場へ直行。
色々洗い流して、衣服も魔術で綺麗にして、もちろん室内もクリーンの魔術で空気から何から何まで綺麗にして、ベッドルームに戻ってきた。
うん、もうあの香りはしないな。
綺麗にふかふかに戻ったベッドにクロムを座らせ、改めて卵を見やる。
すると。
ーーーーべき・・・ベキベキっ・・・パキンっ
「あ、卵が・・・」
目の前で卵が割れ、中から美しい黄金色の龍が、這い出てきた。
キュウキュウ言いながら、クロムの元に寄って、甘えている。
「・・・産まれた、な?」
「うん・・・うんっ!」
ポロポロと泣きながら、クロムが嬉しそうに笑う。
そして、愛しそうに黄金の龍を抱き締めた。
「名前、決めないとな、ママ?」
「!?・・・ふふ、そうだねっ!」
ママと呼ばれたのが余程嬉しかったのか、クロムが子供を抱えながら抱きついてきた。
そのまま、クロムが落ち着くまで抱き締めてあげて、しばらくすると。
「あ・・・そういえば、ミルク、あげないと!」
「確かにそうだな、じゃあ皆の所に合流するか!」
「うん、行こっ!」
アタシはクロムを抱き抱えて、寝室を後にした。
通信で事情を話し、猛ダッシュで戻ってきた聖母セエレからミルクを貰って、他の戻ってきた皆と共に、ゴキュゴキュとクロムからミルクを飲む仔龍に癒されまくるのだった。
「「「「はぁぁ~・・・かわいい~!」」」」
みんな、勢い良くミルクを飲む龍の姿を見て、皆の龍の子供時代を思い出してるんだろうなー。
アタシ達の場合、あの姿だったのが一晩しかなかったから、特に強く思い出される。
もう、翌朝にはデカくなってたからなぁ・・・儚い幼少期だったぜ!!
「そうそう、その調子です。授乳は龍の場合は3時間毎にーー」
「うん、あとこれはどうなのーーー」
聖母セエレと聖母クロムがダッグを組んで、黄金龍を育てる計画を建てている。
まあ、二人の魔力量だと、クロムも明日には私達と同じ目に合いそうな予感があるなぁ(遠い目)
可哀想だけど、後日見返せるように、とりあえずオニューの記録水晶で黄金龍とクロムを撮影しまくってあげた。
クロムはこの子に、どんな名前を付けるのかなぁ?
卵スリングがそのまま赤ちゃんスリングへと適用され、聖母クロムが満足そうに、幸せに微笑む。
・・・うん、綺麗だなぁ。
よし、アタシも暇見つけて、なる早でアレを作って落とし前つけよう!!
黄金龍の仔が落ち着くまで、記録水晶を回しながらアタシはそう決意するのだった。
しばらくして、仔龍がすやすや眠った後、アタシ達は後宮内の使えそうなものを回収して、元の大広間へと戻ってきた。
そしてちょっと遅めのランチを取り、次は何処へ行こう?となったのだが。
「ご主人様、私は地下に行こうと思います。」
「え!?なんで!!?」
魔力感知がピカ一なセエレに言われ、アタシは焦った。
アレは、セエレだけじゃ確実に対処出来ないシロモノだ、と直感が警鐘を鳴らす。
「・・・?いえ、何だか早目に対処した方が良さそうな何かがあるみたいなので。」
「それはダメ!セエレがいなかったらクロムが困るでしょ!?生まれたてなんだから、クロムも不安だと思うし!!
そこにはアタシが行って来るから、皆は地下には近寄らないで、他の安全な所を探索して!?」
「・・・・姉さま?一体何があるの??正直に話してくれるかしら???」
つい、必死に言ったものだからか、メシアが目の笑っていない笑みを浮かべて、アタシに問う。
怖!!メシアさん、怖いよ!!!しかもバレてるし!!
でも、これは、言ったらメシアが確実に着いて来るだろうから言えない!!
「えーっと、結構危険なもの。
だから、皆に怪我させたくないから、ここにいてくれるかな?」
「残念でしたっ!メシアは回復役で一緒に行くわよ!決定!!」
「えぇぇ・・・」
ダメだったー!!
しかも、良く見ると、白呼くんもよっすぃ~もグローブを嵌め直して準備してるし、黒呼も刀を2本腰に差して備品チェックしてるし、クロムもセエレも龍の仔を守る相談してるし~!!!
「えーと、ミナサマ?何をしてイラッシャルノデスカ?」
「「「「絶対、着いて行くから。」」」」
やっぱり、こうなるのか~!?
最悪の展開にガックリ来つつ、アタシはとにかく皆を守る為に策を考えるのだった。
龍の國編、めっちゃ長くなりそう···かも?
早く、本来のルートに戻りたいのう。




