六十二:伝説の衣装
「フ・・・フミエぇぇぇ~・・・?」
どうやら着替え終わったクロムが、隣の部屋のドアを少しだけ開けて、アタシを呼んだ。
「どうした~?」
「うぅ・・・ちょっと来てぇ?」
泣きそうな顔で言われたので、はて?と思いつつ隣の部屋に入ると。
そこにいたのは、スッケスケのアラビアンな踊り子のような格好のクロムだった。
何気に、以前プレゼントしたマイクロビキニと衣装のデザインがマッチして、さらに淫猥な雰囲気が加算されている。
「これ、これぇ・・・?」
泣きそうになりながら、クロムが見つめてくる。
ーーーー涙眼での恥じらいは、ヤバいだろ!!
「かっ・・・可愛すぎるっ!!」
アタシは一発でノックアウトされ、思わずクロムを抱き締めた。
「へっ!?・・・ふえぇ?」
「あー!もー!!可愛い!!!」
心の底から力一杯叫ぶと、クロムはふにゃっと微笑んで、抱きついてくる。
やべえ!!可愛いぞ!?
余りの衝動に、気を抜いていた瞬間。
「ね~え~さ~まぁぁぁぁ・・・・!?」
背後から、お久しぶりのエターナルブリザードが吹き荒れたのだった。
「ふぅぅぅん?確かに、クロムくん、この衣装を着たら可愛くなったわねぇ?」
「そ、そんな・・・恥ずかしい・・・」
「本当に見違える程に、いやらしくて可愛らしいですね?」
「や、やだ・・・あまり見ないで・・・?」
「確かに、この装備は凄い性能だ。それに、クロムの雰囲気に合って、俺も可愛いと思ったし、正直羨ましいな。」
「や・・・なら黒呼くんも皆も、まだいっぱい衣装あるんだから着なよ!
むしろみんな着てよぉぉぉぉ!!」
わー、嫁(候補)達が凄い会話してるー。
確かに、エロい踊子っぽい衣装のクロムは、普段とは段違いで魅力増大した。
もう、目の遣り場に困る感じで、エロ可愛いことこの上なし!
しかし、最後の一言で、アタシ以外の全員が、隣の部屋に行ったのは驚いた。
むしろ、白呼くんがよっすぃ~の手を引いて、我先に突撃して行ったんだけど!?
「僕がよっすぃ~さんに一番似合うの選ぶね!」
とか言って、よっすぃ~が強制連行されちゃったよぉ・・・。
しばらくして。
ワイワイしていた部屋から、白呼くんだけが追い出されて、二人でとりあえずパイナップル飴をむしゃむしゃしながら待っていると。
「お・・・お待たせ・・・。」
「「ふわぁぁぁぁ~!凄い!可愛い!!」」
思わず白呼くんとハモッちゃったけれど!
よっすぃ~が!!よっすぃ~が、とんでもなく可愛くなった!!
思わず白呼くんと顔を見合せ、無言でお互いの手を叩き合った。
だって、少し和服のような雰囲気のある、大事な所はしっかり隠して、それ以外はスッケスケ、でもものすごく機能的な衣装で、よっすぃ~に激似合いな姿だったんだもの!!
白呼くん、わかってるぅぅ!!
「あ~、よっすぃ~さん可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い・・」
「わ、わかったから、止まって・・・!」
いつの間にか白呼くんはよっすぃ~に抱きついて、壊れたラジオの如く可愛いの呪詛を口にしていた。
うん、もう、あの月影夫妻は放っておこう。
アタシは一人で、2本目のパイナップル飴をムシャムシャしてやったのだった。
それから少しして。
「お待たせ致しました、ご主人様。」
「どうかしら、姉さまっ!?」
「に・・・似合う、か・・・?」
ーーーポトリ。
思わず、ラスト一口のパイナップル飴落としちゃった。けど!
「す、凄くみんな似合ってて可愛いっ!!!!」
思わず駆け寄って、しっかりと見る。
メシアは、少しベビードールのようなデザインの可愛らしいロングワンピースで、
黒呼は和服ノースリーブっぽいけれど下の大事な所以外がうっすら透けてみえる、むしろ紐パンの横のリボンが見えてる感じ、
セエレに至っては、もうそれ下着じゃね!?ってツッコミそうになるレベルのコルセットワンピース?とガーターベルトとニーハイソックスで、似合ってるし確かに可愛いけれど、どうしてこうなった?な感じだった。
ひとしきり見つめて誉めて堪能し、セエレだけリターンさせて、もう少しマシな装いのワンピースに変えてもらった(しかし、どうやら中身はそのままらしい。)
黒呼は少し素振りをして性能がとても良い事に喜んでいるし、メシアは別な衣装から同素材のロングベルトを持ってきてリボン結びしてアレンジしている。
うん、しっかし、結構角度によっては素肌よく見えるなあ!
衣装の効果のせいか、みんないつもよりも輝いて見えるぜ!!
「ふふ、みんな凄く素敵になったね?これで、僕と一緒だね!僕、もうはずかしくないっ!」
「そぉ・・・。」
みんなお揃いでスケスケだからか、クロムが変な方向に振り切っていらっさる。
アタシは、みんなのファッションコーナーと月影夫妻の様子が落ち着くまで、とりあえずこの素材についてトトの魔眼で限界まで分析して待つのだった。
で。
「よ~し、皆落ち着いたみたいだし、忘れ物はないかな~?」
「うん!予備の衣装も持ったし、大丈夫よ、姉さま!!」
「じゃぁ、先に進むぞ~?」
何やかやと、クローゼット?衣装部屋??に入っていた衣装を各々使う分だけ頂戴し、先ほどクロムが考え込んでいた育児室に戻ってきた。
もちろんアタシも、大判のストールみたいなのを頂戴し、早速首に巻いている。
そして、更にその奥へ向かうと、どうやら王妃の私室と思われる部屋に繋がっていた。
「へぇ、すごく可愛らしい部屋だね。」
「ほんとね、姉さま!わぁ、この椅子と机、すごく可愛い~!」
「そっか、じゃあ、複製。」
速攻、禁術を用いて可愛い家具を複製し、次々腕輪に収納する。
あ、因みに何故か、伝説の衣装だけは複製出来なかったんだよなぁ。
伝説級だけに、何らかの規制がかかっているのかな?
後で、情報量の増えた衣装の内容、ゆっくり読み返そうっと。
王妃の部屋で複製だけ行って、次は王の自室へ。
いやさ、この部屋だけ豪華絢爛だったから、王の自室かな?って思ったんだけどね?
クロムに聴いても不明って事だったし。
で、この部屋。
王妃の部屋と繋がってたから、内扉から行ったんだけど、何て言うか派手。
内装が凄くて、奥の方に宝物庫があるっぽい。
黒呼と月影夫妻が宝物庫の確認に行き、クロムとセエレとメシアが中の探索。
アタシは、というと。
「ぐぬぬ・・・よっこいせっと!」
凄く気になって、王のベッドを90度ずらしてみた。
いや、何もエロ本がないかとかのチェックじゃないからね!?
何となく、だけど、魔力を帯びた何かがあるなって感じたから。
で、退かして出てきたもの。
それは・・・。
「本、と、箱?」
アタシはとりあえずベッドを元に戻してから、本をパラパラとめくってみた。
うん、読めない!!
なので、集まってきたクロムに渡したら、何とか読めるみたいだったので、解読してもらう事にして、もうひとつの箱を見やる。
うん、これ、古代魔術の封印がなされてるなぁ。
アタシはパパっと解術して、箱を開けると。
中に入っていたのは、鍵と、卵。
アタシは思い当たる事があって、誰にも見られないよう速攻鍵だけ腕輪に収納して、卵に触れてみた。
・・・・あれっ!?何だか温かいぞ!??
しかも、ちょこっとだけ、動いてる、かも!?
「クロム!!これ!!生きてるかも!?」
「えっ、本当に!?」
閉じた本を受け取って、代わりにクロムに卵を渡す。
すると両手で卵を包むように持ち、少しずつ、クロムの魔力を注ぎ始めた。
ただ、何だか卵が欲しい魔力量よりもクロムの流す量が少ないみたいで、逆に吸いとられる様でクロムが辛そうになっている。
でも、クロムも、あれが全力なんだろうなぁ。
ならば。
「アタシも手伝うよ。」
有無を言わせず、卵に片手をかざして、クロムより少しだけ強く魔力を与えてやると。
卵から落ち着きが戻ってきたような感覚があり、しばらくすると、お腹いっぱいになったのか、魔力を流しても微量しか受け取ってくれなくなった。
「・・・良かった、安定した。」
クロムが微笑みながら、卵を見つめる。
「フミエ、ありがとう。あの卵の子、ずっと眠らされていたみたいで、すっごくお腹空いてたみたいだったんだ。
僕たけじゃきっと、満足させられなかったと思う。」
「いんや、礼に及ばず、だよ?
だって、この子もいずれ家の子になるんだろ?
で、クロムがママになるなら、アタシが父親って扱いになるだろうし?」
「え!?僕が、ママで、いいの?」
驚いて見つめるクロムに、何を当たり前な、という視線が皆から突き刺さった。
「龍の子達に聴いた事があるけど、魔力を与えてくれた人が両親になるんだとさ?」
「僕・・・ママになれるんだね・・・嬉しい!!」
少しだけ泣きそうになりながら、クロムが卵を抱き締めた。
アタシは、もらってきた大判ストールの予備の中の、淡いグリーンな色合いのものを取り出して、古代創造魔術を用いて縫い合わせ、クロムに渡した。
いわゆる、赤ちゃんスリングのような、肩からかけて卵をいつでも抱っこできるやつである。
なお、普通の針と糸は貫通しなかったから、流石伝説の衣である。
まあ、これでクロムも両手は空くし、外敵が来ても防御力∞だから割れもしない!ってわけで、安心だな!
渡してすぐ、クロムはいそいそ卵を収納し、お腹側に卵を配置して抱き締めていた。
うーん、ある意味、聖母クロムの誕生、か?
その後、メシアやセエレと育児の情報交換していて、何だかママ友の輪が出来ている。
それから、宝物庫を見ていた3人が戻ってきて、宝飾品は数あれど、武器など使えそうなものはこれくらい、と幾つか持ってきていた。
それを腕輪に収納しつつ、事情を知った3人も加わって更なるママ友の輪が広がり、育児の話をしながらアタシ達は王の部屋の奥の、別館みたいな場所に歩を進めたのだった。
やっと、クロムも龍の母に!!
次は、少しだけ※かも?




