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五十九:聖都からの帰還

 



 夜の闇に紛れるとはいえまだ空は濃い群青色で、通行量の多い市街を通り抜ける時も、昼間と同じくナチュラルドーナツ化現象を巻き起こし、少し遠い目になりながらもアタシ達は大聖堂まで戻ってきた。


 ただ、帰還途中に奇跡が起り、勇気ある幼子の売り子(推定7歳くらい)が声をかけてくれて販売してくれたフルーツ飴やフルーツ菓子、ドライフルーツを、みんな好きなだけ買い込んで持ってきたので、アタシたちはパッと見で縁日帰りの子供のようになっている。


 なお、メシアがイチゴ飴をその場で食べて「美味しい!」と言った上に追加購入したせいか、アタシ達がその場を離れたあと、幼子のフルーツ飴の屋台は大盛況となってしまった模様だ。

 背後から幼子の「お願い並んでー!」という声が聴こえてきたから、間違いない。


 よっすぃ~は李&杏飴とドライ系の杏・桃をチョイスし、セエレはチョコバナナを握りしめ、アタシはパイナップル飴とドライパイナップルを選んでいる。

 現世よりも数段甘い果実だったが型崩れせずに食感もあり、とても美味しくて各々他にも大量に大人買いしてしまった。

 帰ったらみんなで食べようっと。



 とりあえずもぐもぐしてる為に無言で大聖堂の扉を開けると。


「ワァオ!お帰りなさいませ、我が神たちよ!!」

「たまいま(ただいま)」


 くるくる躍りながら大司教のヤツがやって来た。

 何だか、すっっっごいご機嫌じゃね?


 怪訝な顔で近寄る大司教の顔を見れば、キラッキラな笑顔で語り出した。


「神よ!古より伝わる聖域結界を復活させ、その上で悪人のみ罰するよう改善して頂けたのですね!

 本当に、本当に感謝致します!!

 ああ・・・生きている内にこの目で神の御業を拝見できるとはっ!感動致しました!!

 このまま、この地にてこの国を、そして世界を悪と暗闇から救ってくださいませ!!」


「いや、家に帰るよ。みんな待ってるし、腹減らせてるだろうし。」


「Oh!!何故ですか、神よぉぉぉぉ!!!」


「我が家が一番なんだよ。

 とりあえず、この国の転移陣は全部修復したから、あとはAI一家と話ながら運用して。

 じゃ、また何かあったら来るから、帰るね。夕飯作らなきゃ。」


 どっと疲れたアタシは、バッサリ大司教を切り捨てて最初のAIの元へ行く。

 少し会話するに、聖女のような性格に進化したみたいで、国の中では一番まともだ。良かった。あのオネエAIとも戦えそうだ。


 その間、背後でずっと嘆きながら懇願する大司教に、メシアが声をかけて励ましている。


「おじさま、元気出して?

 何かあったらAIさん達に言えば姉さまに繋いでくれるから、安心よ?」

「ああ、女神様、貴女だけでも・・・」

「ごめんなさいね、メシアは姉さまのお嫁さんだから、一緒に帰るの。

 はい、これ、街で買ったイチゴ飴、とっても美味しいからひとつ食べて、元気出して?」

「ふぉぉ、女神様~!」


 メシアから貰ったイチゴ飴に対し、泣きながら拝礼している大司教にちょっと引きつつ、聖女AIに指示を出してから、アタシたちは修復完了のサインを大司教から貰って、帰宅した。





 家に帰ると、既に夕飯を作る時間を過ぎていて、みんなリビングに集まってまったりしていた。

 アタシは大慌てでキッチンにて3分料理無双を繰り出し、己の全てのスキルを解放して時間すら止めて作り、美味しい和食を皆に提供したのだった。




 で、夕餉の後のまったりタイムにて。


「はい、黒呼、クロム、これお土産。」


「「わ・・・ありがとう!」」


 黒呼には精巧な石細工の着いた髪紐を、クロムには何時も着けているチョーカーがボロボロだったので、黒呼と同じく綺麗な石細工の着いたチョーカーをお土産で渡した。


 二人とも暫く美しい細工に眼を奪われていたが、その後いそいそと装備しようとしていた。


「二人とも、アタシに着けさせて?」

「「う・・・うん・・・」」


 先ずは黒呼の髪を少し上に櫛を通して纏め、髪紐で縛り、石細工が綺麗に見えるようにセットして完了。

 そして、クロムからチョーカーを受け取り、クロム自身に後ろ髪を上げて貰いつつ、白く細い首に装着してあげた。


 うん、二人とも、とても似合ってる。流石アタシ。


 黒呼やクロムも、しきりに鏡を見ては照れ笑いをして喜んでいて、何だかあげた甲斐があるな~なんて思ってしまう。


 そんな時ふと、白呼くんの方を見やれば。


 よっすぃ~が対の刀のもう一方を渡したらしく、すっっごく真面目に、口に白い布を咥えて刀の刀身を観ていた。


 うむ、こうやって真面目な顔すると、黒呼に似てるなぁ。


 よっすぃ~もそんな白呼くんの横顔を、少し頬を染めつつ見つめておるし。


 くぅ~~~!!白呼くん、本当にがんばれ!!


 そんなエールを月影夫婦(勝手に白呼くん&よっすぃ~コンビをそう呼んでる)に送りつつ。


 ああ、そういえばお土産はこれだけじゃなかった、と思い出して、月呼夫婦と龍の子達を集めて、猛烈な量のフルーツ菓子を分けあったのだった。




 その後、とりあえず自分用のパイナップル飴をモグモグしつつ、次はどのエリアの修復に行こうかな、と地図を広げて悩んでいると。


「明日は、どのエリアへ行くんだ?」

「わあ!下界なんて本当に懐かしい!!」


 両隣に黒呼とクロムが来て、横から一緒に地図を覗いてきた。


 ・・・勿論、何故かしっかり抱きついてきながらだが。


 それを気にせず、地図の他の、もうひとつの国民性を記した冊子に目を通す。


 大司教の国の隣は、血の気の多い新参の戦闘国家と、有翼人種が多く住み、古の民がそのまま生きる原種戦闘国家、あとは・・・海に面していて、代々の王が治める、天上の国の側にも国土の広がる、因縁の国家、だった。


 まあ、最後の国はうちの王が話をしっっっかり纏めて確認してから行くとして、どちらの戦闘民族の土地から修復して行こうかなぁ?


 その二つの国の内容を見比べていると。


「その二つなら、断然此方がオススメだ。」

「うん、特に原種とも呼ばれる、僕や黒呼に凄く協力的な国だから、行くなら断然こっちだね。」


 二人から、有翼人種の多い国をオススメされてしまった。

 その上で。


「明日から行くなら、俺も行きたい。」

「あっ!僕も行く!!丁度あっちのギルマスに持って行かなきゃならないものもあったし、あのエリアの仕事は一気に片付けたい!」


 二人のギルドの仕事も同じエリアのものが溜まっていたらしく、一石二鳥という事だった。


 と、言うわけで大人会議の結果、明日、一緒に行くメンバーは、メシア・セエレ・黒呼・クロムとなり、よっすぃ~は白呼くんとお家でラブラブという事になった。


 ーーーーいや、そうなりかけた。


 しかし、よっすぃ~が猛烈に原種に興味を示し、白呼くんもギルドに登録している以上何らかの依頼をこなさないといけない為、少し大所帯だが、プラスでよっすぃ~&白呼君も来る事になった。



 なお、森のパトロール等は成長した龍の子供たちだけで現状大丈夫との事だった。

 月呼夫婦のスパダリ二人が、物凄くパトロールの裏側で活躍しているそうだ。

 月呼は月呼で、家事一般は出来る上に、今日行った大司教の国で買い付けた食材の料理が得意ともあって、台所は任せろと言ってくれた。



 まあ、何かあったら何処○もドアで速攻帰宅出来るんだけどね。


 あ、それならついでに、試作品のメシア監修防犯ネックレスを龍の子ども達に渡しておくかな。


 アタシはメシアを呼んで、その場でサクサク人数分の防犯ネックレスを作って配布する。


 その後、使い方をよっすぃ~が子供たちに教えていたので、その間にアタシは暖めていたデザインをメシアに渡して、メシアがデザインを校正しつつ、2種類の特別な防犯ネックレスを作成したのだった。


 そして、片方のデザインのネックレス達を月影夫妻へ、もうひとつのデザインのネックレス達を月呼夫婦へプレゼントすると。


 これに喜んだのは、以外にも野郎共で。


 夫婦しか持っていない特別な物なだけあって、とっても嬉しそうに装備していたのだった。


 あと、よっすぃ~が少し顔を赤らめて、「ありがと・・・・」と嬉しそうに言ってくれたので、プレゼントして良かったなぁって、心からそう思う。



 それから。


 明日の朝も早いので、ある程度みんなが防犯ネックレスを使いこなせるようになってから、今夜は解散となったのだった。







明日から、新しい国へ行くぞー!


でも、次の話は番外編なんだぜー!!

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