五十五:NOT 神
うむ、朝日がまぶしい!!
アタシは珈琲を飲みながら、持ち運び易い軽食を作り、その後皆の朝御飯を作る。
あと、水筒のようなものの中に塩レモン水を用意し、コップも幾つか腕輪に仕舞った。
その後、転移陣まで移動して、大昔の下界のアクセスデータがないか、とか掘り下げ、相手とコネクト出来そうな場所を地図に記録していった。
大まかに分けて3か国位の場所は、何とか行きだけでも行けそうかなぁ?
あとは、到着したら直せば問題ないし。
そこから、今日はどのポイントを探索&修復しようかな?と考えていたら。
「・・・・。」
「うぉ!?え、黒呼??」
突然背後から抱き締められて、ちょっとビックリした。
振り向けば、何か、なんとも言えない表情の黒呼が、無言で抱きついてくる。
黒呼の背中をポンポンあやしながら、黒呼が何を言うか待っていたら。
「ん・・・」
・・・・・・・。
うん、キスされたんだよね。
しかも、割と本気めのキス。
しばらく好きにさせておいてから、とりあえずアタシからもしっかりキスのお返ししてあげたら、凄くうっとりしながら、黒呼が脱力して床にへたりこんだ。
「ん、どうしたの、黒呼?何か不安な事でもあった??」
黒呼の顔を撫でながら、優しく問いかけてみる。
黒呼はしばらく目を瞑ったまま撫でられる感触を楽しんでいたみたいだったが、ゆっくりと目を開ける。
「ん・・・、今日、一緒に行けないから、しっかりと行ってらっしゃいのキスしただけだ。・・・気をつけて、帰ってきて?」
少し寂しそうな眼で言われて、アタシは今日、黒呼にお土産を買ってくる事を決意した。
あと、同じくお仕事のクロムにも。
「うん、早めに終わらせて帰ってくるね。黒呼もクロムのサポート大変だと思うけど、無理せずに、ね?」
「ああ・・・がんばる。」
そう言って黒呼は再び抱きついてきた。
お互い体温が低めだけど、こうして抱きしめて重ねると暖かいなぁ。
思う存分体温を分け合ってから、アタシたちは一緒にリビングへと向かうのだった。
そして、早めの朝食を皆で食べ、クロムと黒呼を見送ってから、アタシ・メシア・セエレ・よっすぃ~のメンバーで、最初の街へと一気に転移した。
あ、もちろん、みんなにはしっかりとお小遣いは渡してあるよ!
もちろん、アタシも貰ったよ!!
毎日お小遣い貯めて、必要なものを買うんだ~!
おっと話がズレたね。
まず、アタシたちは下界最初の街:王が言うところの、アタシたちに協力的な街の転移陣に移動したんだけど。
なんと、その部屋の入り口がボロボロな上、外から補強されて外に出られなくなってたんだ!
とりあえず陣を修復&改良して、室内も補強&内装加工(時間朔行)しておいたけど・・・。
「姉さま、どうやって外に出ようかしら?」
「う~~ん、とりあえず空間断切して適当に穴開けちゃおうか?」
「そうね、またあとで再生して直せば良いものねぇ。」
と、いうわけで、いささかパワープレイな感じに穴を開けて外に出てみると。
・・・・・・・ここ、教会?
お祈り中の信徒さん達が、滅茶苦茶驚いてこっち見てる。
とりあえずアタシたちは穴から外に出て、即座に穴を修復して元に戻したけれど。
ああ・・・この凍りついた?驚きしかないこの空気よ!!
いたたまれない!
どーしよっかなー?と思いつつ、一番近くにいた牧師さん?みたいな人に声をかけた。
「あのー・・・アタシた」
「神!!神よ!!やっとこの地に舞い降りて下さったのですね!?」
「は!?」
「我々の祈りが天に届いたのです!皆さん、神に祈りを!!」
「はいぃぃ!?」
え、一体なに!?
一人で感極まって泣きながら、牧師さんがハッスルし始めたんだけど!?
こっちの話を聞いてぇえ!!
どうしようかとセエレを見ると、背後の像を見上げていた。
そこには・・・・あれ?何か見たことある感じの像だぞ?
何だったっけ?
必死で思い出そうとしていたら、セエレがこちらを向いて、何か納得していた。
「え、と。セエレ、何か気づいた?」
「ええ、この対の銅像ですが、ご主人様とメシアさんに、似ていませんか?」
「わあ!本当!!姉さまそっくり!!」
「こっちも、似てる。」
よっすぃ~も認めるそっくりっぷり!?
つーか、そっか、この像アタシに似てるんだわ!!やっとスッキリした!
でも、なんで、こんな所に?
アタシはセエレにGOサインを出して牧師を落ち着かせて、とりあえず礼拝が終わるまで見学して待つ事にした。
礼拝中、みんなして此方に祈りを捧げるので、正直落ち着かなかった。
こういうの、聖母セエレとかがやれば良いんじゃないかなぁ!?
で。
その後、牧師さんに連れられて礼拝堂の会議室へとアタシ達は移動して、話をする事にした。
「先ほどは取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。
神様の御前だというのに、私も修行が足りません。」
「いや、アタシは神じゃないよ?
アタシたちは、天空の王からの依頼で、各地にある古のブツの修理とかをやりにきたんだ。ここらの王様から、話聞いてない?」
「いいえ、だからこそ貴方たちは神なのですとも。
神の代理人たる天空の王からの言伝て、確かに拝見しております。
天空に昇る為のゲートを、修理していらっしゃるとの事ですね?」
「うん、そうなんだけどーーーーセエレ。」
話が半分通じない上にややこしくなってきたので、あとは、セエレに丸投げしてみる。
セエレは少しうっとりとした表情でアタシの隣に椅子を近付け、腕を絡めながら、こちらに抱き付きつつ、牧師さんに話しかけた。
「ふふ、確かにご主人様は神と揶揄されてもおかしくない御方ですが、今はお仕事をしている最中ですので、そこはしっかりと区別してくださいね?」
「あ、貴女は・・・?」
「ご主人様だけに仕える者であり、嫁候補ですよ?」
「よ、嫁!?神よ、もう一柱の神と番うのではないのですか!?」
あー、更に話がややこしくなったー
チッ、本当にめんどくさいなー
「アタシの嫁は、勿論メシアもだし、セエレもだし、あと2人嫁がいるけど、それが何か?
まあ、まだ正式に番にはなってないだけで、嫁にする気満々ですけど?
一夫多妻制がアタシの種族の婚姻ルールですけど、それが何か問題ある??」
ちょっと不機嫌になりながら、過去の自分の記憶から引っ張り出した種族ルールを牧師に答えてあげたら、必死に何か書き留めている・・・あ、アタシが今言った事そのまま書き写してるの!?
え~!?何なのこの人!?気持ち悪っ!!
困惑しなからメシアとセエレを見ると。
2人共に顔を真っ赤にして、恥じらっていらっさる?
よっすぃ~を見ると、『へぇ、よく言ったな』って口パクで言われたんだけど・・・・・あ。
やば、まだ告ってもないのに、嫁って紹介しちゃった。
ま・・・まあ、あとで正式に告白とプロポーズすればいいか!!
心のなかで色々結論を出し、牧師との会話に集中することにした。
「あのさ、この国の神って、どんな風に伝えられているの?」
「目の前にいらっしゃるのにお伝えするのは勇気が要りますね。」
「それはそれ、これはこれ!どう口伝されてるの!?はよ言う!!」
「はいっ!ーーーー黒白の翼を持つ双子の神が現れし時世界の平定が成される、であったり、神は失われし技法を以て世を正しき様に創り変える、など、奇跡を起こすと伝わっております。」
突然真面目に話すから、ちょっとだけビックリしたけれど、それってモノは言い様じゃないのかな?
奇跡っていうか、古代魔術・・・まあいいか、興味ない。
アタシはアタシの仕事をして、美味い飯を食えればそれでよし!なんだから。
とりあえず、この教会にある聖書的なものをこっそりコピーさせてもらったので、あとで皆で読んでみよう。
それにしても。
「有翼人種なんて世界中にゴロゴロいるんだから、アタシ達が神とか無理あるよねぇ?」
ポツリと呟くと、逆に牧師さんに驚かれた。
「ご存知ないのですか?翼ある者は数あれど、黒白単色の翼をもつ者はいないのですよ?
自然に産まれる事もなく、創り出す事も出来ない。
それ故、その存在は神と同等とされるのです。」
え、衝撃。
と、なるとですよ?
「このまま外に出て観光とかしたら、危険?」
「確実に。」
牧師さん、グッジョブ!!
あぶねーあぶねー。知らない内に混乱を招き寄せるところだったよ。
「それに、白の女神に関しては、人一倍人気があります故、誘拐や他の犯罪に巻き込まれる危険性もございますでしょう。」
「えっ、そうなの!?どうしましょう、姉さま!?」
え、メシアに危害を加える?
「滅ぼすか・・・」
「それはダメぇ!姉さま、角出てる!!」
「お、すまん。」
メシアに頭を撫でくり回されながら、いったん落ち着いて考えてみる。
うーん、人目を避けて夜に行動するってーのは無しだろ?
だって、おうちでゆっくり過ごせないって事だし。
かといって、空間認識を曲げてまで、昼に行動するっていうのも、距離の関係で無しだろ?
ああ、空間認識操作って、遠方から見ると元通りに見えちゃうんだよ。
それに、そんな事に魔力や労力割きたくない。
なら、自然のまま、行動出来るのが一番って事で。
アタシは牧師さんに話しを吹っ掛ける事にした。
「ねぇ、牧師さん。」
「何でしょう?神よ。」
「この国の王様に伝えて、全国民はアタシたちに対して過剰反応しないように通達する事はできるかな?
アタシたちは、普通のこの国を観てみたいんだ。」
「お安いご用です、神よ!!私がこの国を統治する者・大司教につき、早速全国に御触れを出しましょう!」
そう言うと牧師さんは、手を叩いて部下を呼び寄せ、指示をしてから此方へと向き直った。
仕事早いなぁ!!
ついでに部下の人たちも、入室ついでにお茶のおかわりとお茶菓子の補充していって、手際が良すぎる!!
みんな有能過ぎでしょ、この国!!
とりあえず、一旦区切ります!




