五十四:バカンス最終日
翌朝。王のバカンス最終日。
アタシは、朝御飯の支度をメシアたちに任せて、王と二人で人目に付かない場所にやって来た。
もちろん、クローセルとアミーもおらず、全くの二人きり。
ここで何をするかと言うと。
「じゃあ王、これ、古代魔術らしいけど、がんばって覚えようね?」
「宜しく頼む!!!」
そう、自分の分身体・・・いや、ほぼ本体の分身術?のアレンジ古代魔法を、王に伝授するのだ!
先ずは、基礎の考え方とか、魔力の入れ方とかから始まり、其を安定させる魔方陣を刻んだ指輪をあげて、魔術を安定して持続させる訓練など、色々一気に教え込んでいった。
そのおかげか、とりあえずこの朝の鍛練で、分身体を1体作って、同時進行で色々行う事は出来るようになっていた。
王、やればできる子!
まあ、悪魔に気に入られるって事は、魔力量は多いってことだから、出来るとおもったけど、王はマジで優秀だった。
その状態で皆の元へ戻り、速攻各々が悪魔に引っ付かれていたのには笑うしかなかったが。
とりあえず、今日1日持続して発動し続けられれば、あとは何体増やしてもやり方は一緒。
その為、インテリボーイにはものすごく感謝され、悪魔たちにも絶賛されてしまった。
あとは、魔力と気力と体力の勝負だ!かんばれ、王!!
1日一善をやりとげたアタシは、心から満足して、朝御飯の席に着いたのだった。
朝食後。
今日は何をするか、王と話し合う。
分身しながら二人の悪魔と各々いちゃつきながらの会話のため、どこに話しかければいいのか迷うなぁ。
まあ、アタシもゆっくり珈琲飲みながら話したいから、各々の嫁候補に分身体を放って、ひとり自由に過ごしているんだけど。
お互い様かな?
「それで、今日はどうしようか?」
「そうじゃのう。これからの事の、打ち合わせを行おうかと思うんじゃが、どうかの?」
「これからの事?」
「そうじゃ。これからお前さんには、下界の転移陣の修復を行ってもらうじゃろ?
その場所だったり世界の地図だったりを、ちと城に戻って取ってきて、それで色々話をしておきたいのじゃよ?」
「そっか、うん、わかった。」
アタシは、分身体をそのままに、王一号とそれにくっつくクローセル、そして執務に関する事なのでインテリボーイと共に、城へとやって来た。
王の執務室までは少し距離があったが、なんの障害もなく到着。
そして、王はそのままデスクに座って何かを書き始め、その間にインテリボーイから、地図とこの世界に関するレポートの様な冊子を渡された。
「これは、正直汚されてはいけないものですが、貴方に預けましょう。」
「え、じゃあこうしてから貰うよ。」
目の前で禁断の複製魔法を駆使し、原本からコピー3部を作成して、地図と冊子を一部ずつ貰った。
インテリボーイが目を見開いて驚いていたが、それをスルーして冊子に目を通す。
なるほど。
転移陣がある場所が正確にわかっている所と、だいたいこの辺、っていう所と、多分ここかも?という所、結構な数があるみたいだ。
むしろ、きちんと判明してる所の方が少ないんじゃないのかな?
冊子にさらっと目を通して、地図にサクサク書き入れてから、とりあえず冊子を腕輪にしまう。
「ところでインテリボーイや?」
「インテリボーイではありません。王の補佐官のグラシーオ・カイネージョです。」
そういえば、王一行メンバーの名前を、今の今まで聞いてなかったなぁ。
それにしても、長い名前だなぁ。
「ごめん、正直長い名前覚えられないから、インテリ君でいいかな?」
「良くはないでしょうよ、まったく。まあ、仕方ないですから、何でもいいですよ。」
おお、折れてくれた。ありがたいなぁ。
「ありがと。それで、この不確定な転移陣があるであろう場所、もう少しヒントとかないかな?」
「ええ、それなんですが、全てわかる範囲で情報を絞り出した結果か、それなのです。」
「わー、そうなのかぁ。まあ、それならそれで、何とか見つけ出してみるよ~」
「助かります。宜しくお願い致します。」
凄まじく丸投げされて、アタシもどうすべかと考える。
そこへ、王がインテリボーイに何かを渡して、それをインテリ君が色々処理し始めた。
あれは、手紙?かな??
ものの15分ほどで作業を終えて、インテリボーイは他の補佐官を呼び、その仕事をバトンタッチしていた。
そして、謎の紙片の束を、アタシに持ってきた。
「どうぞ。これは、今、王が下界の者たちに宛てた状に入っている半券の束です。これを、下界の統治者に見せて、お仕事してください。」
「あー、通行チケットみたいなものかな?」
「そう捉えていただいて構いません。」
「ありがとう、これも持っていくね。」
束の厚さから言って、サクサク終わりそうにない量ではあるが、のんびり急いで終わらせようと思った。
チケットを腕輪に収納しつつ、そういえば、と思い出す。
「王、インテリボーイ君。」
「はい、なんでしょうか?」
「この下界の土地って、空からバビュンと行っても良いのかな?それとも、何か別な方法で下界に降りた方が良いかな??」
ーーーブフォ!
あ、王が、飲んでた紅茶吹いた。クローセルが其をそっと拭いてあげている。
インテリボーイ君は、呆れた顔でこっち見てる。
え、何か変な事言ったかな?
「えー・・っと、なるべくなら、下界の民を驚かせないように、普通に向かって欲しいのですが?」
ああ、そっか、普通、空から行ったら領空侵犯とか何かあるんだっけ?
「わかった、じゃあ、穏便に行くことにするよ。」
「ええ、本当にお願いします。」
少し疲れた表情で、インテリボーイにお願いされた。
まあ、転送陣の生きている所に無理矢理転送してから修復して、そのあと周囲の『あるかも?』な所を空から探索すればいいだけだよね?
そう納得してから、一仕事終えた王と共に、再び深淵の館へと帰ってきた。
リビングでは琥珀とチャンネーと戦士君が、おままごとして遊んでいる。
ソファでは、分身体の王とアミーがいちゃつき、それ以外は・・・・あれ?メシア達が見当たらないぞ?
とりあえず、王達を座らせて珈琲を淹れつつ、自分の分身体に意識を傾けると。
・・・・・・・・わあ。
各々のお部屋で、猛烈に各々いちゃついていらっしゃる。
少し記憶を辿れば、各々幸せそうなひとときを楽しんだみたいだ。
可哀想だけど、そろそろ現実に戻ってきてもらおうかな。
アタシは分身体を操って、全員をリビングへ集合させた。
リビングに戻ってきた瞬間に、分身体を自身に統合すると、嫁候補たちから盛大にブーイングを喰らった。
そんなん、知りませんよ、全く!
皆をチャキチャキ座らせて、アタシはテーブルの上に地図を広げた。
そして、これから行くであろう場所に丸をしつつ、王一行から詳しくその場所の人種や背景等を聴取していく。
今、アタシ達がいるこの国含め、とある大陸になっていて、そのなかに国が幾つかあり、統治する者が大勢いる。
昔は各々の国が転移陣を使って頻繁に行き来し、王族同士の親交も深かったらしい。
しかし、時がたつにつれ、まず、滅んだり統合する国が増え、そして、度重なる戦禍で転移陣も存在を忘れられたりしたのだろう、それで今に至ると。
古代魔法もその時に伝え手がいなくなり、廃れたのだと以前セエレが考察したが、あれから王は本格的に調査してくれたらしい。
各々の国の民族性というのもあるみたいだが、現在横行している魔法・魔術は古代魔法の劣化版でしかないので、下界に降りても術式的にはつまらないよ、とチャンネーにも言われた。
いやいや、もしかしたら古代遺跡とかに失われた魔術が!とかあるかもしれないのにー。
ロマンがないねぇ。
あと、民族性といえば、やはり鎖国寸前位に多民族を毛嫌いする部族もいるらしいから、注意するように言われた。
ま、なまじ有翼人種は好奇の目で見られるのは、町に行った時で経験済みだから、気にしない~!
そして、それから各国の情勢・特産・民度など色々教えてもらい、最終的に困ったらお巡りさんで王の指輪を見せて助けて貰うように言われた。
なお、各国のお巡りさんは、王都や首都に入る時の検問所?みたいな所にいるから、必ずその検問所?を通過してから入国するよう、滅茶苦茶念を押されますた。
もー、転移陣繋がりで行くから大丈夫なのにー。
なお、揉めに揉めた、アタシと同行する人材は
メシア(コミュ力と回復)
セエレ(交渉・経済)
よっすぃ~or黒呼(警護・隠密)
が基本メンバーで、あとは手が空いている人が観光がてら一緒に行くことになった。
なお、最近黒呼はクロムと仲が良くなったらしく、クロムのギルド業務を手伝ってあげていたら、正式にギルド長補佐の階級を貰って、これから時々はギルドへお仕事に行くらしい。
やっぱり、何でもできる嫁は貴重だなぁ。
あと、よっすぃ~がこっそり、白呼くんに『美味しいものがあったら買ってくる』って言って、二人でニコニコして、 とっっても良い雰囲気だ。
これは、よっすぃ~に多めにお小遣いを渡さなきゃだよな!!
色々考えつつ、話も纏まったので明日から適当にお仕事することになり、とりあえずランチタイムへ移行した。
そして、沢山のランチを食べたあと、もうひとっ風呂浴びた王一行は、満足して王都へと帰って行った。もちろん、アミーやクローセルも一緒に。
アタシたちも、明日から下界で冒険だ、という事で、夜は皆早めに就寝したのだった。
本業が忙しくて更新出来ませんでした。
これからも少し遅れぎみになるかもです~




