五十:月影に生きる者
外伝・黒呼のお話です。途中でアレなシーンがあります。
俺は、少し特殊な血を引いた、少数民族の長男として生まれた。
とりあえずはハーフという扱いだが、成長するにつれ、元の魔人の力が強くなり、結果、普通の魔人へと変貌する。
俺達の種族は、どの種族とも子を宿せる為、大昔に乱獲され個体数が減少、今では俺の一族位しかその血を継ぐ者を見た事がない。
なお、今身を寄せる村も、叔母が拐われて嫁いだ家がある、というだけで居るだけなので、叔母が逃げたいと言ったらすぐ連れて出て行けるように、昔から父と母が準備をしていた。
そして、父と母から昔から語り聴かされた事、といえば。
一族に纏わる、口外厳禁のひとつの昔話で。
もし、白き翼と黒き翼を持つ双子が現れたら、黒き翼を持つ者に、我が一族はあまねく忠誠を近い命を睹して仕えよ。
可能であれば、黒き翼の者の子を宿し、永劫一族の力を繁栄させよ。
というものだ。
父は、大昔に祖父からこの話を聴いて、それを俺と白呼に教えてくれた。
そして、
可能なら番となって、幸せに暮らしなさい。
白き翼を持つ者と黒き翼を持つ者は、この世界に他に存在しないはずだし、一目みればその方だと直ぐわかる。
番でなくとも、愛人として、もしくは下僕として側に仕えても構わない。
側にいて、役に立つように全力をあげなさい。
と、いつも言っていた。
そんな父や母も、表向きは任務の事故でこの世を去った。
でも、俺は知っている。
麗しい父は、いつも、村の男達からいやらしい目付きで見られていた事。
父の亡骸には、母に操を立て、それ以外に犯されそうになったら自殺する、その痕があった事。
村人達が残念そうに、父の死を告げてきた事。
そして。
その夜、酒場で、父を犯せなくて残念だった、次は俺や白呼を、もっと上手く手篭めにすると、村人の男達が騒いでいた事を。
俺は、それから幼い白呼を置いて任務に着く時、必ず月呼に白呼を預かってもらう事にした。
そして、自分に向けられる下卑た視線に耐え、誰よりも強くなり、そして、心を閉ざしていった。
それから、白呼がもうすぐ成人する、という時。
近場での任務を終えて帰ってきたら。
家には誰も居なかったのだ。
俺はすぐ月呼に連絡を取り、まる1日、町や山の中を探したがどこにもおらず、
その後通り掛かった酒場で、白呼らしき者が黒装束の何者かに連れて行かれた、という話を聴く事ができた。
そして、向かった先が、超危険区域の、深淵の森だ、という事も。
俺は一度家に帰り、必要な準備を行って、月呼宛に文を置いて、家を出た。
多分、もう、この家には帰って来ないだろう。
成人の義を飛ばして村を出た白呼は抜け忍とされ、処分される。
そうなったら、俺は、独りぼっちだ。
二人で逃げても、結局は刺客が放たれて逃げ続けなければならない。
なら、一緒に死んで、この呪われた一族に終止符を打とう。
叔母は、月呼の父に溺愛されているし、今となっては相思相愛みたいだから、もう穢れる事はなく気にしないで良いはずだし。
俺は最初から死ぬ気で、2日かけて深淵の森までたどり着いた。
入り口付近の大木の上に登り、森を見渡す。
予想外に静かで、森の奥にぼんやり明かりが見える。
ここの森は、夜行性の魔物はいないのだろうか?
そんな事を考えて、ぼんやりと森を上から見続けていたら。
ーーーーバサバサ!!
向かいの木に、何かが舞い降りた。
自分よりすこし下方の木の枝に、黒い翼を持つ有翼人種が、いた。
そう、黒い翼。
父が、よく語ってくれた、神のような伝説の生物。
それが、此方を向いて。
『綺麗だ』
って言って。
それで、此方を見つめるから、何故だか下腹の真ん中辺りが、凄く蠢いてキュンとして。
ああ、これが。
これが、会えば判る、って事なんだと自覚して。
それで、じっと此方を見てから、フッと優しく笑ったから、更に体もココロも熱くなって。
どうしよう、これ、どうしたら良い?と混乱している所で、
黒き翼を持つ者が、此方へと近づいてきて、一気に思い知らされた。
ああ、 やっぱりこの人が、あの話の人なんだ、と。
でも、その後色々話したら普通の良いヒトで、俺を白呼に会わせてくれる事になって。
人生で初めて横抱きに抱えられて、とても高い位置を飛んだものだから。
思わず怖くてすがり付いたけれど、この人の腕は俺を抱えてもしっかりしていて。
月明かりに見る笑顔に、凄くときめいて、更に下腹部の胎が切なく蠢いた事にも動揺して。
このまま一緒にこのヒトに仕えて側で暮らすのも良いかも、と思ったが、結局刺客が送られてきたら、ただ迷惑かけるだけだと思って、やっぱり白呼と共に死ぬしかないかなって思ってしまった。
けれどそれは、白呼に会ってあんな事になった上で、フミエは側にいて良いって言ってくれたから、今後も一緒に生きていられる事になって、本当に、とても嬉しかった。
その上で、例え既に白き翼の者がフミエの番でも、愛人位にしてくれたらいいな、とか思っていたら、予想外にまだ番がいないってわかったから、思わず恋の乱戦に名乗りを上げて、結局、恋人未満な状態のまま暫く過ごしていたんだ。
そして。
フミエに発情期が来る事になり、その日を迎えて。
会えなかったけれど、俺たちを、俺を想って、一人でするフミエの声を聴いたら。
耳から犯されるかの如く、背中がゾクゾクして、俺の胎は一気に発情して、もう、立っていられなくなってそのまま床にへたりこんでしまった。
一人でする時に俺達を想うって事は、少しは好いてもらえてるっていう事で、凄く嬉しくて。
其なのに、俺を求める声が次々と耳から俺を犯し続けて。
ああ、孕みたい、孕ませてって胎が啼いて。
結局、何度か声だけで軽く達してしまった。
でも、それは俺だけじゃなく、他の3人も同じ状態で。
代わる代わる次々と耳から犯されて、俺たちは一晩中、終わる事のない快楽に叩き落とされたのだ。
そして、朝になってフミエが部屋から出てきたから、みんなで囲んで、フミエの出したものを奪って、状態保存の術がかけられた大瓶4つに分けて、一人一つずつ、持つことになった。
あと、あの時のフミエの声を録った水晶も、セエレから一人一つ渡されて。
結局、そのままみんな自室に戻り、多分やることは一緒だったと思う。
大瓶から少しだけ多めに掌に乗せて、恐る恐る味わえば。
人間のそれとは匂いが違って、味も、嫌な感じがなくてほんのり甘いような、少し癖になる味わいだった。
手のひらの半分ほど舐め尽くしてから、もう半分を使って、勿論ソロプレイした。
もう、凄く気持ち良かった。
パンツの中はとっても最悪でぐちゃぐちゃだけど、この匂いで満たされるならいいかな、とか普通に思ってしまった。
まあ、その後冷静になってみると良くないから速攻で風呂に入ったが、
まさか風呂場で、同じ状況のクロムと鉢合わせる事になるとは思いも寄らなかった。
二人で無言でパンツを洗ったのは、稀に見る黒歴史かもしれない。
それから。
二度目の発情期を自力で乗り切ったフミエに、してやられたとは思いながらも、その後しばらく甘やかされたから、それからは俺が逆に目一杯フミエを甘やかそうと思って、行動に出ている。
まあ、番になるのは一人だとは決まっていないし、みんな番か愛人になれれば満足するのだろうけれど、お互いの日々の焼きもちだけは、どうしても止まらない。
今日も、これからだって、俺は自然体でいられる大切な人を甘やかしつつ、恋のバトルを生き抜いていくのだろう。
黒呼さんの過去のお話しでした。




