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四十五:許嫁

 



 2階の寝室の奥に女将部屋があり、更にその奥に広めの部屋と、セットになった倉庫がある。


 そこが、現在改装しているアタシの部屋となる場所だ。


 とりあえず、部屋と倉庫をブチ抜いて、その空間の三分の2のところに新たに壁を構築し、傍目には一部屋しかないように見せる。


 本棚は新たに作った壁への埋め込み式で作り、特殊な魔力を流すと、奥の部屋へ入れるように作成。


 あとは、窓からの光が本を痛めないように、ブラインドや他の本棚を設置し、窓の近くに大きめの机と椅子達、あとは筆記具などを収納する移動式キャビネットを作った。


 夜間でも本が見れるように天井灯の配置も変え、あとは、自分の趣味で欲しいと思って複製した古書だけ、先にまとめて隅の本棚に纏めて置いておいた。

 まあ、ここが奥の部屋に続く通路が出現する場所である。


 その後、別室の中の内装を整え、大きめな柵のないベッドをいくつか連結させてゴロゴロ転がれるようにし、頭側に長い棚を作ってコップや本や何かを置けるようにした。


 そして、結界を幾重にも張り巡らせて音遮断&部屋の気配を悟られないようにしたあと、隠し部屋を出る。


 うん、これでとりあえず、何があっても大丈夫、かな?


 あとは、皆が起きたら、自分の好きな所に自分の管轄の本を置いてもらって、それで完成だ。



 そこまでやって、アタシはそのまま寝室に向かい、ぐっすり眠るメシアの隣で、アタシも眠りの世界へ落ちていったのだった。




 翌朝。


 眠りが足りなかったせいか、また寝ぼけてメシアに迷惑をかけながらも何とか起床し、皆と一緒に朝を過ごす。


 そして、その後は主要メンバーが集まって、アタシの部屋で本の収納と、本格的に再生魔術の研究に勤しんだ。


 なお、よっすぃ~に、この世界に住まう魔獣達の百科事典と地図、そして国や町の詳細が書かれている辞典、そして世界の武器防具や道具の辞典をお土産で渡したら、物凄く喜ばれた。


 もちろん、全てもう一部ずつ複製はしてあるので、この部屋に来ればいつでも読める。


 なお、古書の複製であっても、時間遡行すれば新品に戻る事が判明したので、全ての古書に適用済みだ。


 流石、禁術だぜ。やったぜ。



 それからは、各々読書&研究タイムを堪能しつつ、お昼になったので階下へと降り、パトロールから帰ってきた黒呼たちと共に、ランチを食べる事になった。


 そして、午後。



 アタシは黒呼と一緒に、何故かリビングで読書していた。


 午後のパトロールの時、月呼の「体が鈍るから久しぶりに暴れたい」という希望により黒呼と代わった為である。


 琥珀は、何故かよっすぃ~が面倒を見ているらしい。


 つまり、リビングには二人きり、という訳で。



「ふふ、こうしてゆっくり出来るのも、久しぶりな気がするな。」

「そうだね、黒呼サン。」


 アタシは思いっきり黒呼に抱き着かれたまま、読書をする羽目になったのだ。


 時々、ページを捲るタイミングでキスされたり、会話したり、甘えられたりしながら、何とか平常心を保つようアタシは努力する。



 ーーーてか、黒呼ってさ。


 身長もそこそこ高いし、顔はイケメンの部類に入るし、体つきも細マッチョというか、余計な脂肪のない体型だし、性格も少しシャイだけどやる時はやるし、普通にイイオトコなのに。


 何でアタシがいいんだろうねぇ?


 普通に良い嫁さん貰えそうなのに。


 やっぱり、月影の血のせいで、ある意味人間不信だからなのかなぁ?



 そんな思いで黒呼を見つめれば。



「ふふ、どうした?もう少し確りと口付けでもするか?」


 凄く優しい表情で言われてしまう。


 アタシは本を閉じ、黒呼と色々話をする事にした。


 昔の出来事とか、主に苦労話が多かったけれど。


 でも、普通に嫁さんとしては凄すぎる位の家事能力もあり、育児もできる(白呼で経験済)、おまけに戦えるとあって、とても魅力のある人物だと再確認するに至ったのだった。



 そんなこんなで黒呼との親睦を深め、バカップルのようにイチャついていると。


 ものすごい音を立てて、玄関の扉が開いた。

「ただいま!」

 という声から察するに、月呼?

 あとーーーー


「こんちゃーっす!お邪魔しまーす!」

「お邪魔します。」

「馬鹿者ども!着いてくるんじゃない!!」


 聞きなれない、二人の男性の声が聞こえてきたぞ?




 アタシは黒呼を見ると、驚きで目を見開いていた。



 そして、月呼がリビングに2人を連れて入って来れば。


 月呼と二人の男性もまた、黒呼を見て驚き固まっていたのだった。




 それから、全員の意識を正気にさせてとりあえず座ってもらい、黒呼と一緒にお茶を出す。


 そして、アタシたちも一緒に座れば。



「いや~、まさか、黒呼がこんなに良い嫁さんになっているとは・・・意外じゃんね?」

「そうだな、しかし私には月呼がいるし、その他はどうでもいいな。」

「月呼は俺の婚約者だってーの!」


 勝手に野郎二人は話し出した。


 黒呼はちょっと満更でもないような顔でアタシにひっつくし、月呼は何故か激怒して無言だ。


 仕方ないので、野郎二人にどういう関係か伺えば。



 二人は幼少の頃から月呼の許嫁であり、月呼と親戚関係である黒呼とも、幼なじみであるという。


 長期の任務で里を離れている間に、月影兄弟と月呼が里を出奔の上で王族の保護を受けて生活してると知り、それなら自分たちも、あんなクソ里を抜けて月呼と夫婦になろう、とここまで愛しの月呼を追ってやって来たという事だ。



 おお、月呼って良家のお嬢様だったのね。

 だから、琥珀にはお嬢様教育ができる、って訳かー。


 あと黒呼に聞いたが、黒呼の父の妹が、月呼の母なのだとか。

 そりゃあ、幼なじみ兼親戚で、色々事情を知ってるはずだよねー。


「とりあえず、俺っちは龍門迦蓮(ロンメン カレン)。月呼の旦那さんだよ~!」

「俺は、舸崙賽呼(カロン サイコ)。そこの月呼の婿となる者だ。」

「断じて私は認めていない!親が勝手に決めた事だろう!却下だ!!」


 月呼が怒りまくっているが無視して、二人の話を聴くと。


 月呼は昔から綺麗で高嶺の花で、自分たちが許嫁になれて本当に嬉しくて、それで本気で月呼が大好きだ、という事を聴かされた。


 話が進むうち、月呼も赤面して勢いがなくなり、最後は無言になってしまった。


 ふむ、これは月呼も少なからず二人に好意は持ってるって事じゃない?


 その後、野郎二人に土下座で、自分たちは月呼の側にいたい、住み込みで働かせて下さい!って言われたら、そりゃーOKしちゃうよね~?


 ちょっぴり嬉しそうな月呼に、アタシ達の事を何処まで話すか相談していたら。


「ママ~、おかえりなさいなの~」


 おお、小学生位に成長した琥珀が、月呼に近寄っていった。

 今日も琥珀は可愛いなぁ~!

 デレデレと癒されていると、ふと、野郎二人が固まっているのが見て取れた。


「ママって・・・子供!?」

「月呼、まさか、離れている間に浮気でもしたのか!?相手は誰だ!」


 突然いきり出す二人に、月呼はため息をついて、これ迄の事情を他言無用として説明した。


 擬似的に母親になっている、と判明した瞬間の野郎二人の手のひら返しは凄まじく。


「琥珀ちゃん、俺が新しいパパですよ~!」

「ああ、とても美しい。琥珀は我が妻の若かりし頃によく似ているぞ。」


 と、一瞬でデレデレになって月呼と共に甘やかしていた。

 しかし。


「えっとね~、琥珀のパパは、あそこのパパなの~。

 他のきい兄さんやフラ姉さんたちの、みんなのパパなの~。

 お兄さんたちは、ママの結婚相手?

 じゃあ、ととさまって呼ぶの~。」


 一瞬猛烈に殺気を浴びたが、琥珀の一言でまたデレモードに入って、

「ととさまかぁ~、俺も父親だぁ~!」

「ふふ、良い子に育つのだぞ、我が子よ。」

 とか言ってノリノリで育メンへと化していったのだった。




 その夜。


 野郎二人の部屋も月呼の両隣と決まり、本格的に深淵の館に加入した二人と皆で、歓迎ディナーを取った。


 各々自己紹介をし、野郎二人から『嫁が4人もいて、みんな希少種かよ』って野次られて照れてしまったり、よっすぃ~が強いと知って、朝の鍛練に興味を示されたり。


 久しぶりに白呼も野郎二人と逢ったらしく、遅くまで今まであった事や、セエレの部下達の有能さ、龍達の母となったことなど、楽しそうに話をしていた。


 その最中でアタシは王に連絡を取り、事の次第とアフターフォローを宜しくしてもらう。


 そして、今回は確実に、よく効く胃薬を開発して渡す事を決意した。


 あと、ついでにクロムとも二人は面識があるらしく、後の色々な手配など、夜遅くまで宴は続いていくのだった。





月呼の許嫁!の話。

もっと早くに出す予定だったはずが、ここまで遅くなってしまった・・・。

まあ、中学生の文章をしっかり改丁すると、ここまで長くなるのよね~

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