四十四:自覚
翌朝、早朝。
一人でソロプレイし過ぎて、最後は気絶するように眠ってしまったらしく。
ふと起きて、とりあえず寝具を綺麗にし、ついでに身体(主に下半身)はスッキリしてるが汗でベタつくので、部屋の結界を解いて、ソロプレイの残滓の水球(中身は秘密)を連れて、部屋の外に出た。
階段を降り、風呂場へ向かう途中。
「姉、さまぁ?見つけたぁ~」
ものすごい隈を作った、4人に捕まった。
それからは、ご想像通り。
物凄く泣かれて、
物凄く本音を言われて、
そのお詫びにと、水球を奪われた。
一体あんなの、何に使うんだ。
正直アタシも頭が廻ってなかったので、
面倒だからそれはそのままにして、
風呂に入った。
そして、風呂から上がって、今度こそ自室でゆっくりと、短時間の眠りに着いたのだった。
その数時間後、朝食の席で。
木苺が不思議そうな顔で此方をみていた。
どうしたのか聴いてみたら。
アタシから、凄く雄の匂いがする。って言われて、少しショックを受ける。
あれか、親父臭みたいなやつか?
それと、ついでにあの4人からもする、って言われた時、どういう顔をすれば良いのかわからなかった。
正直、あの水球を、何に使ったのかは怖くて聞けない。
なお、その後よっすぃ~から、ソロプレイが4人にだだ漏れだったと聴いて、アタシは憤死しそうになった。
その上で、その音声を録音した水晶を複製して、4人が各々所持していると言うことも、追い討ちをかける。
本当に、あんなの、何に使うんだろう。
朝から気疲れを起こしたので、アタシは寝室に戻り2度寝をする事にした。
昼過ぎ頃。
しっかりと覚醒し、ベッドから起き上がる。
階下へ向かって顔を洗い、リビングへ入ると。
黒呼が一人、得物の手入れをしていた。
しかし、こちらに気付いた途端、刀を取り落とし、赤面して凝視された。
ーーーうん、昨日、思いっきり4人ともオカズに使ったからね。
しかもそれを聴かれていたっていう。
こんなとき、何て言えば良いのかわからないなぁ。
どーしようか考えつつ、珈琲を淹れる。
とりあえず黒呼の分も淹れて、リビングに持って行って渡した。
珈琲は美味い、しかし無言の空気が痛い!
何を話せば、とぐるぐるしていたら、黒呼が口を開いた。
「俺は、いつだって、昨日みたいな事を自分にされても、いいから。昨日のは、生殺しだった。」
「うっ・・・変なの聴かせて、ごめん。」
「謝るな。むしろ、少しは好かれてるのがわかって嬉しかったし、何ならその場で抱かれたかった。」
「え・・・・」
「正直、あんなにも孕みたいって思った事、今までなかったから。それぐらい、キた。」
「う・・・」
凄まじい直球を投げられて、上手く返せない。
どうしたものかと考えていたら。
「次の新月は、側にいるから。」
そう言って、黒呼は刀を仕舞い、リビングから出て行ってしまった。
ーーーあぁ、どうするべかなぁ。
次の新月も、引きこもる気、満々なんだけど。
アタシは残った珈琲を一気に飲み込み、他の嫁候補達とも話をすべく、歩き出した。
まあ、クロムはお仕事で居なかったけれど、セエレは自室にいた。
しかし、アタシは扉の前、少し開いた隙間から中を見て、固まってしまった。
うん、檻の中、外に音が漏れないのを良いことに、セエレがちょっとあられもない姿でソロプレイしていた。
アタシは何も見なかった事にして、そっと扉を閉めて立ち去った。
その後、アタシは、寝室の隣に新しく出来たメシアの部屋ーーー通称:女将部屋へと向かう。
因みに、アタシも古書が多くなってきたから、これから自分の部屋を貰う予定ではある。
その部屋を改造して、引きこもり部屋も作ろうかと勝手に検討中だ。
とりあえずノックして女将部屋に入ると。
窓際の明るい場所で、メシアは回復系古書を読んでいた。
「あっ、姉さま!おはよう、起きたのね?」
「ああ、おはよう。もう昼になっちゃたけどな。」
「うふふ、気力の限界まで我慢してがんばっていたのだもの。当たり前よ?」
メシアが座っていたソファの隣に座り、久しぶりの2人きりの会話に、少し心が落ち着いた。
「姉さま、昔から一人で何でも抱え込みすぎなの。だから、あんな時はメシアに頼って欲しかったわよ?」
「あんな時って言っても、気持ちに任せて動いたら、全員抱き潰しちゃうだろ?ひ、久し振りの衝動なんだし。」
ちょっとバツが悪そうに言えば、メシアは凄く優しい笑みを浮かべて、アタシを抱き締めてくれた。
「ふふ、そうかもね?それでも、姉さまが一番最初にメシアの事呼びながらシてくれたのは、凄く嬉しかったわ。」
「うわぁぁ・・・一生の不覚だぁ。」
アタシはメシアの腕のなかで、ただひたすら羞恥に悶えた。
「うふふ。でも、皆そうなのよ?
メシアもセエレくんも黒呼くんもクロムくんも、自分の分だけじゃなくて全員分聴いてたんだから。
みんな、姉さまに少しでも好いて貰えてるって、とっても嬉しかったの。
ただ、そのあと、みんな気持ちが昂っちゃって、暫く動けなかったし、その上、何度も姉さまシちゃうものだから・・・まあ、みんな寝れなかったわよ?」
「うわぁぁ・・・本当にごめん。」
「いいの。でもいっそ、もう全員その場で抱いてくれたらいいのにって、こちらはこちらで地獄だったんだからね?
次は、みーんな側に居させてね?」
アタシは、それを肯定することも否と言う事もできなかった。
いや、本能によって自覚させられたばかりだから、まさかメシア以外も好きになるとは思っていなかったんだよ。
ただ、それが愛なのかは、未だに解っていないわけだし。
まずは、気持ちを整理して、向き合わなきゃだなぁ。
ふと、メシアの胸元から目線を上げれば。
とても優しい笑みでこちらを見ているメシア。
うん、可愛い。この上なく可愛い。正に天使。
胸はD位だが、細身なのに抱きしめた時の触り心地は最高だ。
優しくて料理も家事もできるし、昔から一緒にいて気心も知れてる。
やっぱり、理想の奥さんだよなぁ。
いいのかなぁ、こんなに上質な子を嫁さんに貰って。
何だか、凄く自分がちっぽけで価値のないダメ人間に思えてしまう。
まあ、よくよっすぃ~からは、しっかりしろって言われてるけれどさ。
「なあ、メシア。」
「なあに、姉さま?」
「一体、アタシのどこが好きなんだ?どう見積もっても、普通にダメ人間だと思うんだけど。こんなんで好かれるなんて、メシアにも皆にも失礼かなって思うぐらい、ダメな奴なんだけど。」
・・・・・返事がない。
「メシア?」
顔を上げて、体を起こした先に見えたのは。
涙を目一杯溜めて、激怒する姿だった。
「姉さまの、バカー!!!」
「うっ・・・・」
「メシアは姉さまじゃなきゃ嫌なの!姉さまがいいの!!理屈じゃないの!!そのまんまの姉さまが大好きなの!!!だからメシアはぜっっったいに姉さまのお嫁さんになるんだからぁぁぁ!!!」
そう叫んで、メシアは泣き出した。
アタシはついオロオロしながら、メシアを抱き締める。
「ごめん、泣かせるつもりで言ったんじゃなくて、本当にちよっと不思議に思っただけなんだ、本当にごめん、ごめんなさい!」
「ふうえぇぇん!!」
「あああ、もう、本当、ごめんよう~!」
結局、メシアの涙が落ち着くまで、ひたすら謝り倒しながら抱き締めて。
それでも、何度も好きといってくれるメシアに、喜びと暖かい気持ちが沸き上がってきて、これが好きって感情なのかな、と考えつつ、しばらくそのままの体勢で過ごしていたのだった。
夜になって、ちよっとツヤツヤしたセエレと、徹夜と仕事疲れが酷そうなクロムにも話をして、メシアと同じような事を改めて言われて。
よっすぃ~には、
「相手が待ってるのに一人で自家発電とか、かわいそう」
と諸々言われ、もの凄くベコベコに凹まされた。
まあ、次の新月まで、確り心が決まらなければ、また引きこもるつもりなんだよなぁ・・・。
いつまでもハッキリしない自我に自分自身呆れつつ、本能を受け入れた上でゆっくり気持ちにケリをつけていこうと決めて。
アタシは自室となるであろう部屋の改造に、その晩から力を奮うのだった。
どこまでいっても、恋愛に鈍感すぎるあの子。
傷つけたくないから、逃げる模様。
それが、逆に相手を傷つけているんだよね。
By.よっすぃ~




