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18/42

18.開始:3周目

「まずはみんなの安否を確認しないと!」


 天城遥斗あまぎはると。戦士リループとして、継裔会けいえいかいと戦ってきた男。四聖獣しせいじゅうの試練を乗り越え、黄龍こうりゅうの力を手にした男。


 そして、既に2回もこの日を経験している男。


 そんな彼の元には、6枚のコインが。フェンリル、ケルベロス、そして4体の四聖獣。それらを持って、階段を駆け下りた。


「もう、お兄ちゃん遅いよ。学校遅れちゃうじゃん。」


 そう言ったのは遥斗の妹、天城結愛あまぎゆあ。遥斗は結愛に言う。


「結愛、今日は学校に行くな。もう学校には連絡をしてある。だから、な?」


 結愛は困惑した。同時に遥斗に怒る。


「え? …お兄ちゃん、何やってるの? 勝手にそんなことしないでよ!」


 結愛はぷいっとそっぽを向くと、自分の部屋に入ってった。


 遥斗は、流れているテレビを消すと、味噌汁を作ることもせずに玄関へ。


 一刻も早く、仲間がどうなっているかを知りたかったのだ。




 セイヴァー本部 エントランス。

 ここで、遥斗は警備員にわざと捕まった。そしてすぐに騒ぎを起こす。

 すると、2人の人物がやってきた。


「ヘイ、なんの騒ぎだい?」


 しわくちゃな白衣にピンクのサングラス。ドクター霧島だ。だが、以前の黒い髪ではなく、金髪になっている。


 傍にいる一条煌いちじょうこうは、真っ直ぐ整えられた髪は相変わらずだ。だが、服装が違った。いつものセイヴァー隊員の服ではなく、飛翔聖也ひしょうせいやのようなローブ付きの服となっていた。


「お2人に、話があります。司令室まで通してくれませんか?」


 遥斗はフェンリルのコインを見せる。そうして司令室へと向かうのだった。


 セイヴァー本部 司令室。

 もはや見慣れたこの部屋で、遥斗はまず聞く。


「聖也さん…飛翔聖也司令官は、今どこにいますか?」


 それを聞いた霧島と煌は、首を傾げて目を合わせる。そして、霧島が口を開いた。


「飛翔聖也? そんな人物、聞いたことがないね。」


 煌もそれに続く。


「第一、セイヴァーの司令官はこの僕だ。人違いじゃないか?」


 遥斗は、一瞬思考停止した。まるで、聖也は最初から世界にいなかったかのような扱いを受けている。

 時間が戻ったのに、聖也だけが戻っていないなんてことがあるのだろうか。


「待ってください! じゃあ、フェニックスコインは? あれは聖也さんが提供したものです!」


 そう。もしフェニックスコインが存在するのなら、聖也は確かにいた事となる。


「フェニックスコインならここにある。これは、三上先生から頂いたものだ。レヴィアタンやスフィンクスと一緒にね。聖也とか言う人間とは、なにも関係ないよ。」


 完全に、世界がおかしくなっている。ループで消えた存在なんて、初めてだった。

 そして、以前煌が持っていたコインが全て手元に戻っている。一体どういうことだろうか。


「それで、君はなんの用だい? ゴズコインを持って現れるということは、君は神裔しんえいかい?」


 霧島が遥斗に聞く。煌も、それに加わる。


「フェニックスコインの存在を知っているなんて、こちらの内情を知っているようだ。

 こいつは継裔会。そうじゃないか?」


 2人の意見を聞き、遥斗は咄嗟に否定しようとする。…だが、その直後にあることを思い立った。


 もしこのまま、セイヴァーに協力して戦ったら、以前の二の舞となってしまう。

 テューポーン怪人の誕生を阻止するためには、内側から探る必要があるはずだ。


「すみません、用は無くなりました。お2人とも、三上という男には気をつけて。

 もし俺があなた達と敵対することになっても、それは本心じゃありません。

 では…どうか、死なないでくださいね!」


 もう二度と悲劇を繰り返したくない。だから、心苦しいけど今はこうするしかない。

 それだけ言うと、遥斗は去っていった。継裔会を内側から探る…そのために。


「全く、冷やかしか…

 もし神裔なのだとしたら、是非とも研究したかったけどね。」


 霧島は残念そうに言う。煌はそれに文句を言う。


「はぁ、研究ばっかり…

 少しは正義のために戦おうとか、ないんですか?」


 霧島は大きく笑った。まるで、自分が正義のために戦うことを、冗談だと受け取ったかのように。




 正午の少し前、オフィス街。遥斗はずっと待っていた。

 そこにゼクス、ヴァルガが現れる。今回は怪人がいないようだ。


「待っていたぞ、ゼクスにヴァルガ。お前らに話がある。」


 ゼクスが興味深そうに言う。


「ほう、まるで私たちがここに来ることを知っていたかのようですね。

 いいでしょう。どのようなご要件で?」


 遥斗は、それに対して深呼吸すると、こう告げた。


「継裔会に、俺を入れてくれ。」


 それを聞いた途端、ヴァルガが笑う。


「ふははっ! お前、ふざけてるのか?」


 それに対して遥斗は言う。


「もちろんただでとは言わないさ。それなりに力を示すつもりだ。」


 そして、ディバイドギアを取り出した。


「ほう、セイヴァーの装備を持っているとは。その力、見せてもらいますよ。」


 ゼクスがそう言うと、2人のフードを被った者が現れた。


「さあ、ヴァルガ。彼らを怪人にしてください。」


 ヴァルガが2人に手をかざすと、2人のコインが紫に光った。それぞれの神獣の影が現れる。


「やめろ! 怪人になったら、やられた時点で命は無いぞ!!」


 遥斗は咄嗟にそう言った。だが、ゼクスが返す。


「継裔会にいる時点で、命を捧げる覚悟はできています。

 …そんなことまで知っているとは、貴方は一体何者なのですか?」


 2人の神裔は、怪人となった。グリフォン怪人に、キマイラ怪人。以前は聖也が使っていたコインたちだ。


「仕方ない。力、示させてもらう。」


 遥斗はそう言うと、ディバイドギアにフェンリルのコインをセットする。天秤が、右に傾いた。

 遥斗は、絶対に悲劇を繰り返さないと強い意志を込める。すると、天秤が釣り合った。


 遥斗は、白い狼のオーラを身に纏う。戦士リループの誕生だ。


「リループだと!?」


 ヴァルガが驚く。リループは、グッと1歩踏み込むと、グリフォン怪人の背後に移動して蹴りを放つ。

 見事命中し、グリフォン怪人は少しよろめく。


 グリフォン怪人は、慌てて飛び立った。空中なら、フェンリルは辿り着けない。

 キマイラ怪人がリループに向けて炎を吐く。リループは、高速移動で躱し、距離を取った。

 キマイラは死角がないため、こちらもフェンリルとは相性が悪い。


 …もう、自分が伝説のリループと同じフェンリルの戦士であることは示せた。そう感じた遥斗はエクリブリアムを取り出す。


「あれは…伝説の剣、エクリブリアム。」


 ゼクスが固唾を飲む。


 4枚のコインがエクリブリアムにはまり、リループ・ゴセイへと至った。


 リループ・ゴセイは炎の翼を広げて飛び立つと、グリフォン怪人に向かってエクリブリアムを一振り。

 斬られたグリフォン怪人は、すぐに消滅した。コインが地面に落ちる。


 そして、空中から落下する勢いを利用して、真上からキマイラ怪人に一振り。

 キマイラ怪人も、消滅した。


 僅か2回の攻撃で、怪人2人を確実に仕留めるリループ・ゴセイ。その強さは圧倒的だった。


「消えた、だと!?」


「…これは、認めざるを得ませんね。」


 落ちた2枚のコインを拾い上げ、ゼクスはそう言う。

 リループ・ゴセイはエクリブリアムを仕舞い、オーラを消す。


「おい、本当にリループを認めていいのか!?」


 ヴァルガは驚く。リループを入れたくない事情でもあるのだろうか。


「彼を敵に回すのは得策とは言えません。ようこそ、継裔会へ。」


 ゼクスは両手を広げると、そう遥斗に告げた。




 その後、継裔会の秘密基地。


 遥斗は、ゼクス、ヴァルガ、ミオラと共に祭壇のある部屋へと招かれた。


「君が遥斗くんかー。初めまして、私はミオラ。よろしくねーっ!」


 ミオラは笑顔で遥斗に手を振る。


「俺は、まだ認めてないけどな!」


 ヴァルガは、頑なに遥斗の加入を認めない。


「まあまあ。我々が手を取り、共に世界を支配する。それでいいじゃないですか。」


 ゼクスは、怪しく笑いながらそう言った。


「ああ、そうだな。俺たちの、世界が始まる。」


 遥斗は、そう言った。本心では微塵もそんなこと思っていなかったが、今は役に徹するのみ。


 一体、誰がテューポーン怪人になるのか…


 それを突き止めるための潜入ミッションが、幕を開けた。





【所持コインリスト】


天城遥斗…フェンリル、ケルベロス、朱雀、玄武、青龍、白虎


一条煌…フェニックス、レヴィアタン、スフィンクス

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