18.開始:3周目
「まずはみんなの安否を確認しないと!」
天城遥斗。戦士リループとして、継裔会と戦ってきた男。四聖獣の試練を乗り越え、黄龍の力を手にした男。
そして、既に2回もこの日を経験している男。
そんな彼の元には、6枚のコインが。フェンリル、ケルベロス、そして4体の四聖獣。それらを持って、階段を駆け下りた。
「もう、お兄ちゃん遅いよ。学校遅れちゃうじゃん。」
そう言ったのは遥斗の妹、天城結愛。遥斗は結愛に言う。
「結愛、今日は学校に行くな。もう学校には連絡をしてある。だから、な?」
結愛は困惑した。同時に遥斗に怒る。
「え? …お兄ちゃん、何やってるの? 勝手にそんなことしないでよ!」
結愛はぷいっとそっぽを向くと、自分の部屋に入ってった。
遥斗は、流れているテレビを消すと、味噌汁を作ることもせずに玄関へ。
一刻も早く、仲間がどうなっているかを知りたかったのだ。
セイヴァー本部 エントランス。
ここで、遥斗は警備員にわざと捕まった。そしてすぐに騒ぎを起こす。
すると、2人の人物がやってきた。
「ヘイ、なんの騒ぎだい?」
しわくちゃな白衣にピンクのサングラス。ドクター霧島だ。だが、以前の黒い髪ではなく、金髪になっている。
傍にいる一条煌は、真っ直ぐ整えられた髪は相変わらずだ。だが、服装が違った。いつものセイヴァー隊員の服ではなく、飛翔聖也のようなローブ付きの服となっていた。
「お2人に、話があります。司令室まで通してくれませんか?」
遥斗はフェンリルのコインを見せる。そうして司令室へと向かうのだった。
セイヴァー本部 司令室。
もはや見慣れたこの部屋で、遥斗はまず聞く。
「聖也さん…飛翔聖也司令官は、今どこにいますか?」
それを聞いた霧島と煌は、首を傾げて目を合わせる。そして、霧島が口を開いた。
「飛翔聖也? そんな人物、聞いたことがないね。」
煌もそれに続く。
「第一、セイヴァーの司令官はこの僕だ。人違いじゃないか?」
遥斗は、一瞬思考停止した。まるで、聖也は最初から世界にいなかったかのような扱いを受けている。
時間が戻ったのに、聖也だけが戻っていないなんてことがあるのだろうか。
「待ってください! じゃあ、フェニックスコインは? あれは聖也さんが提供したものです!」
そう。もしフェニックスコインが存在するのなら、聖也は確かにいた事となる。
「フェニックスコインならここにある。これは、三上先生から頂いたものだ。レヴィアタンやスフィンクスと一緒にね。聖也とか言う人間とは、なにも関係ないよ。」
完全に、世界がおかしくなっている。ループで消えた存在なんて、初めてだった。
そして、以前煌が持っていたコインが全て手元に戻っている。一体どういうことだろうか。
「それで、君はなんの用だい? ゴズコインを持って現れるということは、君は神裔かい?」
霧島が遥斗に聞く。煌も、それに加わる。
「フェニックスコインの存在を知っているなんて、こちらの内情を知っているようだ。
こいつは継裔会。そうじゃないか?」
2人の意見を聞き、遥斗は咄嗟に否定しようとする。…だが、その直後にあることを思い立った。
もしこのまま、セイヴァーに協力して戦ったら、以前の二の舞となってしまう。
テューポーン怪人の誕生を阻止するためには、内側から探る必要があるはずだ。
「すみません、用は無くなりました。お2人とも、三上という男には気をつけて。
もし俺があなた達と敵対することになっても、それは本心じゃありません。
では…どうか、死なないでくださいね!」
もう二度と悲劇を繰り返したくない。だから、心苦しいけど今はこうするしかない。
それだけ言うと、遥斗は去っていった。継裔会を内側から探る…そのために。
「全く、冷やかしか…
もし神裔なのだとしたら、是非とも研究したかったけどね。」
霧島は残念そうに言う。煌はそれに文句を言う。
「はぁ、研究ばっかり…
少しは正義のために戦おうとか、ないんですか?」
霧島は大きく笑った。まるで、自分が正義のために戦うことを、冗談だと受け取ったかのように。
正午の少し前、オフィス街。遥斗はずっと待っていた。
そこにゼクス、ヴァルガが現れる。今回は怪人がいないようだ。
「待っていたぞ、ゼクスにヴァルガ。お前らに話がある。」
ゼクスが興味深そうに言う。
「ほう、まるで私たちがここに来ることを知っていたかのようですね。
いいでしょう。どのようなご要件で?」
遥斗は、それに対して深呼吸すると、こう告げた。
「継裔会に、俺を入れてくれ。」
それを聞いた途端、ヴァルガが笑う。
「ふははっ! お前、ふざけてるのか?」
それに対して遥斗は言う。
「もちろんただでとは言わないさ。それなりに力を示すつもりだ。」
そして、ディバイドギアを取り出した。
「ほう、セイヴァーの装備を持っているとは。その力、見せてもらいますよ。」
ゼクスがそう言うと、2人のフードを被った者が現れた。
「さあ、ヴァルガ。彼らを怪人にしてください。」
ヴァルガが2人に手をかざすと、2人のコインが紫に光った。それぞれの神獣の影が現れる。
「やめろ! 怪人になったら、やられた時点で命は無いぞ!!」
遥斗は咄嗟にそう言った。だが、ゼクスが返す。
「継裔会にいる時点で、命を捧げる覚悟はできています。
…そんなことまで知っているとは、貴方は一体何者なのですか?」
2人の神裔は、怪人となった。グリフォン怪人に、キマイラ怪人。以前は聖也が使っていたコインたちだ。
「仕方ない。力、示させてもらう。」
遥斗はそう言うと、ディバイドギアにフェンリルのコインをセットする。天秤が、右に傾いた。
遥斗は、絶対に悲劇を繰り返さないと強い意志を込める。すると、天秤が釣り合った。
遥斗は、白い狼のオーラを身に纏う。戦士リループの誕生だ。
「リループだと!?」
ヴァルガが驚く。リループは、グッと1歩踏み込むと、グリフォン怪人の背後に移動して蹴りを放つ。
見事命中し、グリフォン怪人は少しよろめく。
グリフォン怪人は、慌てて飛び立った。空中なら、フェンリルは辿り着けない。
キマイラ怪人がリループに向けて炎を吐く。リループは、高速移動で躱し、距離を取った。
キマイラは死角がないため、こちらもフェンリルとは相性が悪い。
…もう、自分が伝説のリループと同じフェンリルの戦士であることは示せた。そう感じた遥斗はエクリブリアムを取り出す。
「あれは…伝説の剣、エクリブリアム。」
ゼクスが固唾を飲む。
4枚のコインがエクリブリアムにはまり、リループ・ゴセイへと至った。
リループ・ゴセイは炎の翼を広げて飛び立つと、グリフォン怪人に向かってエクリブリアムを一振り。
斬られたグリフォン怪人は、すぐに消滅した。コインが地面に落ちる。
そして、空中から落下する勢いを利用して、真上からキマイラ怪人に一振り。
キマイラ怪人も、消滅した。
僅か2回の攻撃で、怪人2人を確実に仕留めるリループ・ゴセイ。その強さは圧倒的だった。
「消えた、だと!?」
「…これは、認めざるを得ませんね。」
落ちた2枚のコインを拾い上げ、ゼクスはそう言う。
リループ・ゴセイはエクリブリアムを仕舞い、オーラを消す。
「おい、本当にリループを認めていいのか!?」
ヴァルガは驚く。リループを入れたくない事情でもあるのだろうか。
「彼を敵に回すのは得策とは言えません。ようこそ、継裔会へ。」
ゼクスは両手を広げると、そう遥斗に告げた。
その後、継裔会の秘密基地。
遥斗は、ゼクス、ヴァルガ、ミオラと共に祭壇のある部屋へと招かれた。
「君が遥斗くんかー。初めまして、私はミオラ。よろしくねーっ!」
ミオラは笑顔で遥斗に手を振る。
「俺は、まだ認めてないけどな!」
ヴァルガは、頑なに遥斗の加入を認めない。
「まあまあ。我々が手を取り、共に世界を支配する。それでいいじゃないですか。」
ゼクスは、怪しく笑いながらそう言った。
「ああ、そうだな。俺たちの、世界が始まる。」
遥斗は、そう言った。本心では微塵もそんなこと思っていなかったが、今は役に徹するのみ。
一体、誰がテューポーン怪人になるのか…
それを突き止めるための潜入ミッションが、幕を開けた。
【所持コインリスト】
天城遥斗…フェンリル、ケルベロス、朱雀、玄武、青龍、白虎
一条煌…フェニックス、レヴィアタン、スフィンクス




