14.五聖と護星! 黄金のリループ!
「後は、俺に任せてください。」
フェイトとルーサスがゼクス相手に苦戦する中、天城遥斗がやって来た。
その手には、エクリブリアムが握られている。
エクリブリアムの中央あるコインを装填する4つの窪み。その左側に白虎コインをセットした。
そして遥斗は、上下左右にそれぞれ、玄武、朱雀、白虎、青龍のコインがはまったエクリブリアムを、天へ掲げる。
その瞬間、黄金の龍が、剣の先から顕現した。
『我が黄龍の力を使う覚悟はいいか。』
その龍、中央を司る神獣…実体として現れた黄龍は遥斗に向き合い、そう尋ねた。
遥斗の覚悟は決まっている。
「ああ。お前の力を貸してくれ。」
遥斗は黄龍を前にして、物怖じせずにそう告げる。
『うむ。よかろう。』
黄龍は、遥斗の周りをぐるりと囲む。そしてそのまま、龍の形をした金色のオーラとなった。
「四聖獣と黄龍の力…リループ・ゴセイ、ここに誕生だ!」
遥斗改め、リループ・ゴセイはそう高らかに宣言する。
「ほう…あれが覚醒したエクリブリアム…。
さあ、その力を頂くとしましょう。」
ゼクスは迫り来るフェイトやルーサスを隙のない動きで躱しながら、そう言った。
「お前は、ここで俺が倒す。煌、聖也さん、2人は回復に専念してください。」
煌と聖也は頷いた。今は受けたダメージを回復する時だ。
リループ・ゴセイは右手にエクリブリアムを握りしめ、振り払う。
黄金の斬撃が、ゼクスへと向かった。
ゼクスはそれに対して、右手から5色の光を放つ。
斬撃と光がぶつかり、対消滅。
「黄龍と麒麟は共に中央として近しい存在です。なら、知の権能がある私の方が強い。あなたは、私に負けます。」
ゼクスは高速でリループ・ゴセイへ距離を詰める。そして、至近距離から焔を放った。
リループ・ゴセイの周りが炎で包まれる。だが、その炎はすぐに消えた。
「…玄武の力が、俺を守ったのか。」
そう、リループ・ゴセイに炎が吐かれた瞬間、その周りに水の壁ができたのだ。
「馬鹿な。そんなこと、あなたは微塵も考えていなかったはず…」
ゼクスは少々戸惑いつつも距離を取る。
「ああ。なんか勝手にそうなったらしい。…正直俺自身も驚いてる。」
クールな口調とは裏腹の発言。この感じも含めての、天城遥斗だ。
「反撃させてもらうぞ。」
リループ・ゴセイの背中から、炎でできた翼が現れ、飛び立った。
フェイトを思わせるその見た目は、朱雀の力だ。
リループ・ゴセイがゼクスへ左手を突き出すと、空から無数の隕石が落ちてくる。土を司る、黄龍の力だった。
ゼクスは知の権能を使い、隕石の落下位置を確認。麒麟の力での高速移動で全てを避ける。
隕石は、地面にたどり着く瞬間、砂となった。
「攻撃は、全てお見通しです。」
ゼクスは、上空のリループ・ゴセイの元まで高速で移動した。5色の光を纏った拳をぶつけようとする。
だが、拳がぶつかる直前、リループ・ゴセイの周りを炎が包んだ。
ゼクスは咄嗟に対処するために拳を止め、焔を吐く。
2つの炎が、せめぎ合っている。
その炎の中から、エクリブリアムの切っ先が現れる。それをゼクスは咄嗟に避け、距離を取る。
そして、リループ・ゴセイはエクリブリアムを地面へ投げた。地面に突き刺さるエクリブリアム。
その地面から、蔓が無数に上へと生える。まるで生き物かのように動き、ゼクスを捕らえようとしているみたいだ。これは青龍の力である。
ゼクスは、時に避けつつ、時に焔で燃やしつつ、蔓を躱す。
リループ・ゴセイが地面のエクリブリアムに手をかざすと、エクリブリアムが引き寄せられる。
ちょうどその軌道上にいたゼクスは、瞬時にリループ・ゴセイの思考を読み取り、それすら躱した。
「くっ…なかなか攻撃が当たらないな。そうだ、これならどうだ。」
リループ・ゴセイはエクリブリアムを右手で掴むと、それを上へ振るう。
すると、巨大な2本の金属レールが出現した。
2本の間には、金属の塊がセットされている。
「聖也さん!雷をここへ!」
リループ・ゴセイは地面のルーサスへ呼びかける。
ルーサスが頷き、翼を広げると、雷撃が片方のレールへ直撃した。
電流は、金属の塊、もう一本のレールへと瞬時に伝わる。
その瞬間、目に見えない勢いで金属の塊が吹っ飛んだ。
「なるほど、レールガンですね。」
その直後、ガガガガッと不自然な音がした。
ゼクスは、金属レールが出てきた時にはリループ・ゴセイの意図に気づいていたため、その軌道から外れたのだ。
高速の相手には、それを超えるスピードを…という考えだったが、通用しなかった。
リループ・ゴセイは街に被害を出させないため、金属の塊を放った瞬間に当たらないと判断し、それを消していた。そのため音は不自然なものとなったのだ。
グサッ
その時だった。突如ゼクスの後ろから、フェイトが炎の剣を刺した。
「いくらお前でも、あれは警戒せざるを得なかったようだな!」
ゼクスは、リループ・ゴセイがレールガンを放つという意図を見抜いていたが、それは音速を余裕で超えるほどのスピードを持つもの。
だから、リループ・ゴセイが軌道を変えることを警戒し、その思考を読むことに集中していた。
そして、その考えとは関係なくフェイトが動き、ゼクスへ攻撃したのだった。
ゼクスにとって、あの一瞬に限り、一番弱いと思っているフェイトを完全に眼中に置いていなかった。
フェイトはゼクスの体を掴んだまま、地面へと引きずる。そして暴れるゼクスを、ルーサスも掴んだ。
「これで動きは封じた。決めろ、天城くん!」
ルーサスが叫ぶ。2人がかりで全力で抑えているため、ゼクスは抜け出せない。
「ああ! 俺の、俺たちの覚悟を思い知れ!」
リループ・ゴセイは体に力を込めた。
上下左右、そしてその中心に、計5体の神獣の影が現れる。
水を司る、巨大な亀…玄武。
炎を司る、眩い鳥…朱雀。
金を司る、気高き虎…白虎。
木を司る、うねりし龍…青龍。
そして、土を司る黄金の龍…黄龍。
5体の神獣の影が5色のエネルギーを放ち、それをエクリブリアムが纏った。
リループ・ゴセイは剣を構え、空からゼクス目掛けて降り立つ。
一刀両断。
5色のエネルギーを纏ったエクリブリアムが、ゼクスを文字通り真上から切り裂いた。
けたたましい爆発とともに、フェイトとルーサスは吹っ飛ばされる。
「くっ…私が、こんな所で…」
攻撃をもろに食らったゼクスは、よろめきながら言葉を紡いだ。目の前には、ノーダメージのリループ・ゴセイが。
ゼクスはリループ・ゴセイに対して告げる。
「麒麟の死がどういう意味か…あなた達の、未来は…」
ドカーン。
ゼクスが、爆散した。彼がいた場所に、麒麟のコインが残る。ゼクスの体は砕け、血が飛び散った。
リループ・ゴセイがエクリブリアムを地面に突き刺すと、それは光となって遥斗の体へ集まる。そして、龍のオーラが消えた。
遥斗は、落ちている麒麟コインを手に取り、見つめるのだった。
「やったな、遥斗!」
ギアからコインを抜いた煌は、笑顔で遥斗に話しかける。
「ああ。よくぞ継裔会の幹部を倒してくれた。」
ルーサスも、遥斗へ話しかける。そして、アセンションギアからコインを取り外した。
「さあ、今日は飯でも行くか。俺が奢ってやる。」
聖也は遥斗と煌の肩に手を置く。すると、煌がその手を払った。
「すみません、どちら様ですか?」
煌は不審な目で聖也を見つめる。
沈黙が、鳴り響いた。
「え…嘘だろ、な?」
聖也は何かを感じ取ったような悲壮な顔で、煌に尋ねるのだった。
「尊い犠牲だな、ゼクス。だが、これでようやくアセンションギアは完成する。
そして彼だ。本来エクリブリアムは黄龍のみの力を扱うはず...四聖獣の力すらも我が物にして扱うとは、流石私の見込んだ男だ。
天城遥斗、君はどこまでも私を楽しませてくれる。あの時も、今も。」
物陰からこの戦いの一部始終を見ていた男、三上蒼一は独りでに、そう呟くのだった。
【所持コインリスト】
天城遥斗…フェンリル、ケルベロス、朱雀、玄武、青龍、白虎、麒麟
一条煌…フェニックス、レヴィアタン、スフィンクス
飛翔聖也…ペガサス、グリフォン、キマイラ、スカラベ




