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13.白虎の試練! 俺は、戦う

「俺は…なんのために戦うのか…」


 天城遥斗あまぎはるとは目を閉じる。これまでの日々が、頭に浮かび上がる。


 結愛ゆあと過ごした、平和な日常。


 リループとなって、復讐のために戦い始める。


 こうと戦い、分かり合えたが、その後力尽きた。


 過去に戻り、今度は煌と並び立つ。


 朱雀すざくの試練では、煌を信じることができた。


 玄武げんぶの試練で、ミオラの言葉で2つの自分を受け入れられた。


 青龍せいりゅうの試練で、恐怖を払って1歩踏み出せた。


 これまでの旅路の中で、とっくに答えは出ていたはずだ。




 一方、街にはゼクスが現れた。


「さあ、時は来ました。

 アレを覚醒させた後、リループからエクリブリアムを奪う。

 これで私の計画は、また1歩進みます。」


 そこに、一条煌がやってくる。


「ゼクス、何しに現れた!」


 煌はディバイドギアを取り出すと、フェニックスのコインをセットした。

 炎のような赤い不死鳥のオーラを纏う、戦士フェイト。


「はぁ…貴方ですか。貴方に用はありません。」


 麒麟きりんのコインを弾くと、金色の毛に覆われた怪人となった。


 フェイトが飛び立とうとする。その羽を、高速で迫ったゼクスが掴んだ。

 ゼクスはフェイトの腹部に蹴りを放つ。フェイトは軽く飛ばされた。

 ゼクスはさらに高速で移動する。どこにいるのか分からない。


「くっ…なんて速さだ…」


 フェイトはレヴィアタンのコインをセットした。そして、上に向かって水を放つ。

 水が雨のように滴る。その水滴の跳ね返りによって、ゼクスの居場所を特定する。


「そこだ!」


 フェイトが後ろに向かって水の槍を構える。ちょうどその位置に、ゼクスが攻撃を仕掛けた。ゼクスは自身の勢いもあり、槍へと突き刺さる。


「くっ…なかなかやりますね。」


 ゼクスは口から焔を吐き、水の槍を蒸発させた。


「当たり前だ。僕は負ける訳にはいかない。」


 煌がピンチに陥ると、きっと聖也はやって来る。煌にとっては絶対に負けられない戦いだった。


「ですが、あなたでは私に勝てませんよ。」


 ゼクスが頭をトントンと叩く。すると、領域のようなものが現れた。あたりが暗くなり、地面は黄色いマス目のようなものになっている。

 010101…という数字が至る所に浮かび上がる。


「これが、知の権能の力です。この場所にいる限り、あなたの考えは全てお見通しだ。」


 ゼクスは再び、高速で移動した。フェイトは再び上へ水を放つ。だが、すぐに焔によってかき消された。

 そして、為す術なく何度も攻撃を食らってしまう。


「ぐはっ……なら、これでどうだ。」


 煌がスフィンクスのコインをセットした。右から攻撃が来る、と直感が告げる。


「そこだ!」


 煌は右に向かって拳を振るう。だが、攻撃は左から来た。


「残念ですが、全てお見通しと言ったでしょう?」


 とっさに動きを変えることなど、麒麟の力なら容易い。


 ゼクスは、焔を吐きながら高速で移動する。炎の輪が、フェイトの周りを囲む。

 ゼクスがフェイトの正面で止まった。


「さて、ジ・エンドです。」


 その言葉と共に、フェイトの周りの輪が一気にフェイトへ集まり、爆発した。

 スフィンクスのオーラがかき消される。ディバイドギアは、転がってしまった。


「呆気ない最期ですね。」


 ゼクスが5色の光を放ち、それを右足に纏う。そして、煌に近づき、踏みつけようとした。

 煌は目を閉じる。だが、一向に攻撃は来ない。

 目を開けると、そこには黄色いペガサスのオーラを纏った男…戦士ルーサスがいた。


 ゼクスはルーサスの横入りを察知し、距離を取っていたのだった。


「待たせたな、一条。まだ立てるか?」


 そう言うとルーサスはディバイドギアを煌に渡した。


聖也せいや司令……はい! いけます!」


 煌は聖也を見つめると、立ち上がった。聖也は代償を知ってなお、助けに来た。その覚悟を無駄にはしない。

 ディバイドギアにフェニックスコインをはめ、再び戦士フェイトとなる。


「来ましたね、ルーサス。」


 ゼクスは、笑い混じりにそう言うのだった。



 ◆◆◆



 俺の戦う理由は、一体なんだろうか。


 以前、復讐のためにディバイドギアを手に取ってからは、ずっと戦っている。

 復讐を辞めにした後も、俺はずっと戦っている。


 なぜだろうか。


 俺が未来を見たから? …でも、もはや俺が見た未来と今は違う。あの頃より、確実にいい。


 俺に力があるから? …今の俺は、ギアを持っていない無力な人間だ。それでもこうして試練に挑んでいる。


 なら、戦いを辞めてもいいのだろうか。俺が戦いを辞めて、ただ見ているだけで、それで…


 いや、そんなのはだめだ。俺は世界を守りたいと思っている。


 なぜ、俺はそう思う? 俺は、なぜ戦っている?


 考えが纏まらない。俺はフェンリルコインを取り出した。父ちゃん、俺はなんでこうしているのかな。


 コインがキラリと光った。その光を見た俺は、あることに気づく。


 …なぁんだ、簡単なことだったんだ。


「俺は、笑顔を守りたい。結愛が…みんなが笑って過ごせる世界をつくりたい。だから、戦う。」


 以前、父ちゃんとある約束した。結愛の笑顔を必ず守る、と。笑顔を守ることの意味を、その頃の俺はわかっていなかった。


 でも、今なら分かる。かけがえの無い平和な日常に、笑顔は生まれる。


 料理をしながら見る、結愛の笑顔。朱雀の試練を終えた後の、煌の笑顔。


 そんな幸せな笑顔を、これからも守っていきたい。最初は父ちゃんとの約束だったけど、俺はいつしかそんな思いを抱いていたんだ。


 そして、今笑顔じゃない人たちを、笑顔にしたい。聖也さんは、無理して笑っているけれど、きっとあれは心からの笑顔じゃない。

 …それに、玄武の試練で見た、ミオラのあの表情。俺は、聖也さんだけでなく、敵のはずのミオラにも、笑顔でいて欲しいと感じている。


 みんなが笑って過ごせる世界をつくる。俺はそのために、この戦いを終わらせる。


 人間と、神裔しんえい。1度は手を取り合えたなら、またきっと。


 もしかしたら、父ちゃんも同じ気持ちだったのかな。だから、昔リループとなって神を追い返したのだろうか。


 俺は、みんなが笑顔でいられる日常を必ず守る。だから、そのために戦うんだ。


『うむ…それが、今の貴様の答えか。随分変わったな、天城遥斗よ。』


 その時、手元のエクリブリアムが金色の光を放った。煌が、怪人が、街が、全てが金色の光に包まれる。


 そして光が止んだ時、そこはなにも壊れていない平和なオフィス街となっていた。

 時が、動き出す。なにげない、普通の街。でも、これでいいんだ。


 ところで、白虎びゃっこは俺に随分変わったって言ったな。どういうことだ?


「随分変わった…? 俺、お前と面識でもあったか?」


『貴様は、かつて我が試練を受けた。だが、我は貴様を認めなかった。

 復讐に生きるかつての貴様は、見るに堪えなかったぞ。』


 かつて…試練を受けた…? どういうことだ? 俺は試練を受けてないはずなんだが…

 そんなことを考えてると、視界がぐにゃりと歪んだ。そして、神社へと戻っていた。

 左手に冷たい感触がある。手を開くと、そこには白い白虎のコインがあった。



 ◆◆◆



 フェイトとルーサスは、ゼクスと戦っている。2人がかりでも、ゼクスの前では苦戦していた。


「くっ、攻撃が当たらない…」


 ゼクスは領域内の人間の考えが分かる。そもそも攻撃を当てることが出来なかった。


「これならどうだ。」


 ルーサスはギアにコインを投入する。スカラベのコインだった。

 ルーサスが分身する。


「ふっ、お見通しです。」


 ゼクスは、一瞬で本体を見抜き、攻撃。思考が読めるからか、本体も一瞬で分かった。


 そこにフェイトが攻撃する。どうやら、ルーサスは囮だったようだ。だが、それすらもゼクスは対応する。フェイトの蹴りを躱し、肘を叩きつけた。


「複数の思考を同時に処理できるのか...」


 ゼクスの圧倒的な力の前に、2人は苦戦する。勝つ未来が見えない。


 そんな所に、ある人物が近づいてくる。

 右手に聖剣…エクリブリアムを持ったその男は、天城遥斗。


「後は、俺に任せてください。」


 遥斗はエクリブリアムに、4枚目の白虎のコインを装填する。上下左右にそれぞれ、玄武、朱雀、白虎、青龍のコインがはまったエクリブリアムを、天へ掲げた。


 その瞬間、黄金の龍が、剣から姿を現した。





【所持コインリスト】


天城遥斗…フェンリル、ケルベロス、朱雀、玄武、青龍、白虎


一条煌…フェニックス、レヴィアタン、スフィンクス


飛翔聖也…ペガサス、グリフォン、キマイラ、スカラベ

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