第91話
王城に着き門番に名乗ると、事前に連絡があった事と元々私の顔を覚えていたとの事で、すんなり入ることができた。
中に入ると広いホールになっており厳かな雰囲気……では無く入って右に案内の窓口があり周りでは慌ただしく動いている文官たちの姿があった。
「あ、レーナ様だ」
「こんにちは、レーナ様」
歩いていると文官たちの中からそういった言葉が聞こえてきたので邪魔にならないよう軽く手を振って挨拶していく。
「こんにちは、レーナ様、今日はどのようなご用でしょうか?」
「ちょっとリリスにフィアメールの事について話したいんだけど、今は予定だとどこにいますか?」
受付窓口に近づくと受付嬢が声をかけてきたのでリリスの居場所について聞いてみることにした。
「少々お待ち下さい」
受付嬢が書類の束からリリスの予定が書いてある紙を探しだした。
「えーっと、あ!ありました!」
見つけられたようで今の時間を探して答えてくれた。
「現在は庭園にいるようです、メイドに案内させますのでお待ち下さい」
「わかったわ、ありがとう」
受付嬢がベルを鳴らす。
少し経つと奥からメイドが一人やって来た。
メイドが受付嬢に近づき内容を聞いたのか、こちらへ来てお辞儀をしてきた。
「こんにちは、レーナ様、リリス様の居られる庭園までご案内致します」
と言ってきた。
「よろしくね」
メイドの言葉に返事をすると、
「こちらでございます」
という言葉と共に歩き出したので後ろを付いていく。
「何かお城の中が慌ただしいわね」
先ほど見た文官たちの忙しそうな様子が気になり聞いてみると、
「あー、それはですね。地球と繋がっているゲートで『俺は勇者だ!魔王を倒してラキナを魔の手から救う!』とか言って騒いでいる人が居たようなんですよ。剣を抜いて襲ってきた様でこちら側のダンジョン管理の者が叩きのめして地球側に渡した様なのですが、地球側に潜入している者の話によると『魔国に行くとこの者のように暴力を振るわれる!魔族は危険だ!』と話が広まっているそうです。『俺は勇者だ』って言ってた人をゲートに素通りさせたのは地球側で、さらにこちらの王様の殺人予告までされたのに生きて帰してるっていうのに何言ってるんだって感じですよね」
ちょっと聞いてみたら案内されながらも凄い勢いでそう返答があった。
「なるほど、地球側との付き合い方や対応について揉めているのね、だから慌ただしかったのね」
「そうです。文官たちの話によると『聖女神信仰教会』が地球側で暗躍しているそうです」
「はぁ……困ったやつらね」
その団体名を聞いてため息が出る。
本当にどうしようもない奴等だな、と思いながらも私の中では地の底まで行っている評価がさらに下に行った感じがした。
もし私の周りで何かやってきたら容赦しないと心に決めた。
しばらく歩いているとメイドが立ち止まり、
「こちらの庭園になります」
と言い庭へと出る扉を開けた。




