第83話
準備を終えて二階の部屋からリビングに向かう。
リビングにみんなが集まったので、アクアとサタレアがハンドタオルやバスタオルを配っていく。
みんなに配り終えたようなので、
「じゃあ、大浴場に行きましょう」
と私が出発の合図をしてみんなで向かいだした。
「大浴場っていうくらいだから広いの?」
「かなり広いわよ、ここに住んでから家族も増えたし家に来て泊まる人も増えたからね。日本に住んでいた頃からお風呂が好きだったし大きくしたのよ」
菜摘が聞いてきたので答えてあげた。
ラキナに転移して家を持っていない頃はあまりお風呂に入る事が出来ずにいたのでその反動もあってかお風呂を作ろうと考えた時、広いやつを作るぞ!という気持ちが膨らんでしまい普通の家のお風呂ではなく大浴場を作ってしまった。
「レーナ叔母さんの家のお風呂は広くて最高なのだ!」
フィアメールが私の顔を見て嬉しそうに言う。
水浴びなどはしていたが湯船に浸かる文化が無かった魔国だが、レーナの家に遊びに来ていたフィアメールの母親であるリリスがレーナの家の浴槽を好きになり王城に浴槽を設置した。
さらにレーナがリリスと一緒にお風呂に入っていた時の会話で日本の銭湯を思いながら、
「町の中にみんながお風呂に入れる施設があったらいいのにね」
と言ったのがきっかけでリリスから色々聞かれて銭湯や温泉の話をした事がきっかけでリリスの指導の下、魔国内に銭湯や温泉旅館が出来て人気の施設となっていった。
そういった事もあり王城で毎日のようにお風呂に入っているフィアメールはお風呂好きになっていた。
王族という事もあり気軽に町にある銭湯に入る事が出来ない為、レーナの家にある大きなお風呂場を気に入っている。
「おっふろ♪おっふろ♪」
「おっふろ♪おっふろ♪なのだ~」
ケイとフィアメールが楽しそうに並んで歩く姿を見ながらついていくと青と赤の暖簾が見えて来た。
「『ゆ』の字に男女の暖簾って、まんま日本の銭湯じゃない」
菜摘が呆れたようにそう言ってきたので、
「仕方がないじゃない、大浴場のイメージがこれしかなかったんだから」
「この『ゆ』って書いてあるのも丸くて可愛いし、男女が書いてあって分かりやすくて良いと思うのだ!」
『ゆ』が何を示しているのか説明していないのでフィアメールの中では可愛いマークになっているようだ。
「そうね、分かりやすくて良いわね」
菜摘が微笑みながらフィアメールに返答して、よかったわねというような顔でこちらを見てきたので、
「さあ、男女に分かれて入りましょう」
と私は大きな声で言って『ゆ』と書いてある赤の暖簾をくぐるのだった。




