第80話
アクア、サラ、菜摘と共にキッチンへと向かう。
キッチンに入ると、広々とした空間。
中央には大きなカウンターがあり、色々な魔道具やキッチン用品が棚に配置されている。
「これは……本当に現代的なキッチンね」
菜摘が思わず息をのむ。
「冷蔵庫もあればオーブンもあるし、シンクの蛇口も普通に見えるわね」
「基本的には日本のキッチンと同じような感じに作ったからね。電気じゃなくて魔力と魔石で動くんだけど、使い方はあまり変わらないわよ」
私は菜摘に説明しながら、アクアとサラと共に準備を始める。
「何を作るの?」
菜摘が気になるのか尋ねてきた。
私は微笑みながら、
「大人数だし、ホットプレートでパエリアを作ろうと思ってるの。みんなでワイワイ楽しめそうだしね」
と答える。
それを聞いた菜摘が目を輝かせ、
「パエリアかぁ、美味しそう!材料は何を使うの?」
さらに興味を持って聞いてきた。
「クラーケンのゲソとコカトリスの肉、それにラキナ産の大型エビなどを使う予定よ」
そう言って、収納魔法から食材を取り出した。
クラーケンの巨大なゲソや、コカトリスの肉塊、そして日本にはいないような大きさのラキナ産の大型エビが台の上に並ぶと、菜摘は小さく唸った。
「デカいわね……クラーケンやエビはわからないけどコカトリスのお肉は日本で高級食材だし美味しいのが出来そうね」
と驚きつつも、料理への期待を膨らませているようだった。
アクアにクラーケン、コカトリス、大型エビ、パプリカを一口大に切るよう指示し、サラには玉ねぎのみじん切りとトマトを潰す作業を任せた。
私はお米を炊くために使うスープを作っていく。
お湯にコンソメの素、おろしニンニク、サフラン、塩を加えて混ぜて完成。
みんなで手分けして料理の準備を進めながら、菜摘と会話が弾んでいった。
食材を全て切って準備ができたところで、
「じゃあ、ダイニングテーブルにホットプレートを置いて調理しましょう。二台で作るから菜摘も手伝って」
私は菜摘に声をかけると、
「わかったわ」
と頷き、私のそばに寄ってきた。
ダイニングテーブルに二台のホットプレートを設置し、熱を入れる。
ホットプレートが十分に温まったところで、オリーブオイルを引き、アクアが一口大に切ってくれたクラーケンとコカトリスの肉を広げて焼いていく。
油が跳ねる音が心地よく響き、香ばしい匂いがキッチンを満たす。
私も菜摘も慣れた手つきで具材を炒めていく。
「アクア、サラ。オーク肉の野菜炒めとたまごスープ、それとサラダをお願いしてもいい?」
アクアとサラに頼むと、二人は即座に動き出し、それぞれの担当を決めて調理を始めた。
アクアが包丁を巧みに操り、サラは鍋に水を入れ、手早く準備を進めていく。
クラーケンとコカトリスがいい具合に焼き色がついてきたところで、みじん切りにした玉ねぎとパプリカを加える。
野菜がしんなりしてきたので、潰したトマトを投入する。
「ヘラで混ぜて焦げないようにしながらトマトの水分が無くなるまで煮詰めてね」
私は菜摘に指示を出す。
トマトの酸味がやわらぎ旨みが凝縮されていく、水分が無くなってきたところで事前に作っておいたスープを注ぎ入れ、エビと貝類を加えてひと煮立ちさせる。
全体に火が通ったタイミングで火を止める。
「ここで一旦、火を止めるわよ。具材を取り出してから米を入れて強火にしてね」
菜摘と一緒に具材を取り出していき横によけておく。
具材の旨みが出たスープに米をパラパラと均等に入れていく。
強火にして、
「5分ほど強火で炊くわよ」
と菜摘に伝え、そのまま待つ。
5分ほど経ったので菜摘にも伝えながら弱火にする。
周りを見るとアクアとサラが卵スープ、サラダを完成させてオーク肉の野菜炒めを作っていた。
さらに十数分待つと米が良い感じに炊き上がった。
「そろそろパエリアができそうだわ。サラ、アクア、食卓の準備をお願いできる?」
二人に頼むとサラとアクアが素早く動き、食器やコップ、スプーンなどをテーブルに並べていき、作った料理や飲み物の準備をしていく。
パエリアは最後に強火でおこげを作り、炊き上がった米の上によけておいた具材を綺麗に並べて完成させた。




