第65話
食事が終わり後片付けをみんなでしてからリビングで食後の休憩をしていた。
アクアとサタレアが食後の紅茶を配り、落ち着いているとフィアメールがマリに、
「明日は地球に行ってレーナ叔母さんの知り合いに会ってネットアイドルをする為の事を聞きに行くのだ!」
と言いだした。
「ネットアイドル?」
マリはネットアイドルという単語を耳にしてそれがどのようなものなのか想像がつかず困惑している様子だった。
ネットアイドルというものがわからないマリに説明するために私はパソコンを操作して検索エンジンで【ネットアイドル】と打ち込む。
そして動画サイトに飛びトップページに掲載されていたものをクリックすると再生が始まる。
そこから色々な動画を順番に再生していくと、自己紹介したりトークしたりゲームプレイしたり雑談したり、さらには何人かが集まり音楽ライブをしている様子などが映し出された。
「これがネットアイドルよ」
と言いながら説明する。
「アイドルっていうのは、歌やダンスなどのパフォーマンスを通して、人々に夢や癒やしを与える存在よ、ネットアイドルっていうのは動画投稿サイトなどで活動するアイドルのことね」
マリは画面に釘付けになり熱心に見入っていた。
「地球にはこんな文化があるんですね、知らなかったわ……」
マリは感心したように呟く。
それを聞いたフィアメールが説明し出した。
「わたしは人族と仲良くするために魔族側の友好大使になることが目標なのだ!そのためにはもっと人族の文化を知り、そして魔族のことを知ってもらう事が大切だと思うのだ!」
「なるほどね」
マリは納得したように頷きながら続けて言う。
「それで明日、地球に行ってママの知り合いに会うってわけね?」
「そうなのだ!レーナ叔母さんが紹介してくれる人がネットアイドルを企画してるって話だったから詳しく聞きに行くのだ!」
フィアメールが胸を張って答える。
「明日会うのは企画や支援を行なっている会社の人達でアイドルのマネージメントをしているの。それにダンジョン配信者の支援とかもやってる会社よ」
と私はマリに補足した。
「へぇ~」
カイトも興味を持った様子で話に割って入ってきた。
「じゃあ、僕たちがダンジョンで見たドローンでの撮影と同じような事を出来るように支援してくれるってこと?」
その問いに私は頷く。
「そうね。そういったサポートを行っているわね」
するとカイトは少し考え込んでから続けた。
「実は僕、最近、ダンジョン探索の様子を自分で撮影してみたいと思うようになったんだ。周りで撮影してる人が多いから」
それを聞いたマリも賛同する。
「私もやってみたい!スマホで見たりしたけどチャットでみんなと会話してダンジョン探索も楽しそうだったし!」
そんな二人のやりとりを見て提案してみる。
「よかったら、二人も明日、私の知り合いに会ってみる?」
私としても、この機会に二人が新たな体験をすることは悪くないと思った。
もちろん、本人たちの意思が一番大事だが。
私の問いかけにカイトは少し考えてから答えた。
「うん、興味はあるから行ってみたい」
マリもその言葉に同意するように頷き、
「私も行ってみたい!どんなお話が聞けるのか楽しみ!」
二人の積極的な様子に安心した。
「よし、じゃあ決定ね。明日会う菜摘に連絡しておくわね」
スマホを取り出して、さっそく菜摘にメッセージを送る。
『私の息子のカイトと娘のマリも探索者の配信に興味があるみたいだから明日連れて行って良い?』
と入力してメッセージを送った後、カイトとマリをカメラで撮り送る。
すると、すぐに既読が付き、菜摘からの返信が届く。
『えっ!この写真のカイトとマリって最近話題になってた兼六園ダンジョンにいるSランク探索者のカイトとマリよね?息子と娘ってどういう事?』
驚きの感情とともに疑問符が並ぶメッセージが返ってきた。
カイトとマリの情報について、菜摘はすでに把握していたらしい。
確かに、SNSで話題になったカイトとマリは有名になっているのだろう。
『そのカイトとマリよ。捨て子だった二人を私が育てたの』
私は短いメッセージで簡潔に伝えた。
すぐに菜摘から返信が届く。
『わかったわ。とにかく明日はみんな連れてきてちょうだい。よろしくね』
『了解、こちらこそよろしくね』
メッセージのやり取りを終え、スマホをしまう。
「明日、みんなで来て良いって返事がきたわよ」
私がそう伝えるとカイトとマリは期待を込めた笑顔を見せる。
「やった!」
「わぁ、楽しみだなぁ~」
そんな二人の様子を微笑ましく眺めていた。
それからケイがみんなだけズルいと地球に行けない事を悲しんでいたので行けるようになったら一緒に行きましょうと言い、明日お土産を買ってくるねと伝えた。
そうこうしていると夜も遅くなってきたので寝る支度をする。
今日は泊まっていくメンバーが多いので二階に案内してフィアメール達の寝る場所を決めた。
「みんな、おやすみなさい」
「おやすみなのだ!」
「おやすみなさいませ」
「おやすみ~」
みんなが口々におやすみを言い合って寝室へと向かう。
私も自室に戻りベッドに入ると、今日一日の出来事を振り返りながら眠りについたのだった。




