第45話
実家を出て最寄りの駅まで歩いていく。
朝の通勤ラッシュが終わる時間帯で、駅前は比較的すいていた。
切符を通してホームへ向かう。
電車が滑り込んでくると、ドアが開く。
空いている座席に腰掛け、窓の外を眺めながら揺られること一時間ほどで東京駅に着いた。
東京駅構内を歩き案内板に沿って進み、魔導列車のチケットを買う為売り場を目指す。
売り場窓口につき金沢行きのチケットを購入した。
時間がまだあるので待合スペースへ移動する。
椅子に座りスマホを取り出しロック画面を解除してホーム画面を表示させる。
ニュースサイトを開き記事タイトルに目を通すと興味深いものを見つけスクロールする指が止まる。
『ラキナと地球を行き来する為の法整備が進められています』
という見出しだった。
「ふーん……」
タイトルをタップし本文を読み進めていくと現在の状況が詳しく書かれていた。
両世界から往来する人数が増え続ける中、トラブルや問題行動も比例して増加しており特に問題となっているのが文化圏の違いによる常識の違いだったとのことらしい。
その為、地球からラキナへ向かう人、ラキナから地球へ向かう人は常識やマナーの講座を受けないと行けないようにしようということになっているらしい。
クルトのように説明会に気づいて受ける人なら大丈夫だろうが説明会があることに気づかず受けずに地球に来てしまうと常識が違う為トラブルが起きるのも分かる気がする。
私は昔の記憶がある為、日本に来ても大丈夫だったが説明会の事はクルトに言われるまで私も気づかなかったのだから……。
記事を読み進めると探索者カードに新たに常識やマナーの講座を受講済みかどうか分かる機能をつけるとも記載されていた。この措置によって両世界を往来する人々に対して一定の基準を設け、秩序維持を図る狙いがあるようだ。
他にもいくつか気になる記事を見つけた。読んでみると内容的には小さいお子様がいる家族ではラキナと地球との行き来が出来ない問題に関するものだった。
理由は単純でゲートがダンジョン内にあるため、基本的に探索者カードを持っていない者はダンジョンに入れない、まだ探索者カードを作れない年齢では行けないとのこと。
問題解決の為に色々模索されているようでダンジョンの入口からゲートは近くにある為そこまでは探索者カードを持っている人と一緒なら入れるように調整出来ないか検討しているそうだ。
ただダンジョン内ということで危険があるのではないかとも言われておりダンジョン入口からゲートへの道にモンスターが出るのかどうかなどの調査が行われていくようだった。
もし仮にモンスターが出てきた場合その時の対策などを考えていく必要があるので暫くはダンジョンを通行できるのは探索者カードを持っている者のみとのことだった。
「ケイも日本に連れて行ってあげたいな……」
と思わず呟いてしまう。
旭とケイを会わせることができたらどんなに素敵だろう。
この記事を読んでいると、何とか解決に向かってほしいという気持ちが湧いてくる。
けれど同時に、地球からラキナに来た人たちの危険性が頭をよぎる。
アルタニヤ王国はラキナの中でも治安は良いほうだが、それでも日本に比べればずっと危険が潜んでいるし、地球とは違って様々な種族やモンスターが存在する世界だ。
彼らが本当に安全に観光できるかどうかは未知数だと思った。
「でも、いずれ両世界の交流が本格化すれば、色々変わるんだろうなぁ……」
時代の流れを感じながら、そろそろ魔導列車の時間が迫ってきたので立ち上がった。
金沢行きのプラットフォームへ向かい、指定席番号を確認しながら乗車する。
シートに深く腰掛けシートベルトをつけると、出発の案内が流れ、列車は静かに動き始めた。




