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異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー  作者: 白木夏
クルトと鍛治工房

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第33話

渋谷の中心部へ足を進めると、ビル群やショッピングエリアが目に入った。


「ここが日本で一番栄えている場所よ」


私は説明する。


「こんなにたくさんの人が……」


クルトが驚いた表情で街を見渡している。

確かに渋谷の駅周辺は非常に混み合っており、賑わいを見せていた。

行き交う人々の多さに圧倒されるクルトだったが、次第にその環境に慣れていった。


私たちは複合施設に入ってみることに決めた。

高層ビルの内部にはショップや飲食店などが多数あり、その規模感にクルトは感嘆した様子だ。


「これが地球の都市文化っていうやつか」


と呟きながら店内を歩いている。

エレベーターに向かい、ボタンを押すとすぐに扉が開く。

中に乗り込むと、液晶パネルに表示された各階の案内が映し出されていた。

私は9階のボタンを押し、扉が閉まる。


「本当に便利なものだな……」


と感心したようにクルトが言い、私は微笑んで答えた。


「クルトもすぐ慣れるわよ。ここで色々見て回りましょう」


数秒後に到着音が鳴り響き、扉が開く。

すると、そこには幅広い商品が陳列された売り場が広がっていた。

ショーケースには特殊な素材でできた武器や防具、アクセサリーなどが並んでいる。


「すごい量だな……」


クルトは店内を見回しながら言った。

私も少し驚いた。

この店舗の充実度は予想以上だ。

商品をひとつひとつチェックしていくと、確かに品質は悪くないものの、見た目が派手だったり奇抜な形状をしているものが多かった。


「なるほど」


と私は内心で考えながら商品を手に取ってみる。


「クルト、これなんかどう思う?」


私はひとつの武器を取り上げた。


「刃が波打っていて斬撃が通りやすいんじゃないかと思うんだけど」


クルトがそれを受け取り、慎重に手触りを確かめた。


「なるほど……しかし、こういう形状だと扱いにくそうだな」


彼は眉をひそめながら言った。

周囲を見回すと、他にも派手な色彩を持つ防具や奇妙なデザインの盾などが多く陳列されている。

確かに視覚的なインパクトはあるが、実用性に関しては疑問符が浮かぶものばかりだ。


「まぁ、試作品や動画映え用みたいな感じでしょうね」


と私は苦笑いしながら答える。


「動画映え? なんだそれ?」


とクルトは首を傾げる。


「例えば昨日のリアが戦ってたみたいな映像を配信する時に、視聴者の印象に残るように工夫してるってこと」


「あぁ、なるほど。そういう意味か」


クルトは納得したように頷いた。

その後も店舗内の商品を一通り確認していく。実用性が高いものはあるがラキナに比べると品質的にはまだまだ改善の余地がある品ばかりだった。

結局、特に購入意欲をそそられるものはなく、店を後にする。


「今のところはこんな感じか」


店を出ると、クルトが溜息混じりに言った。


「確かに実用性に欠ける部分も多いし、デザイン先行な印象もあるわね」


私は同意しつつ、会話を続ける。


「これからもっと良いお店を見つけられるといいわね」


私たちはお店を離れ、お腹も減ってきたので昼食を食べに行く事にした。


クルトにどんなものを食べたいか聞くと、


「ラキナには無いような物」


と答えられ、日本では有名なものだと寿司を勧めてみることにした。


「寿司っていう魚をそのまま切って、ご飯の上に乗せたものだけど大丈夫?」


クルトはしばらく考え込んでから返事をする。


「魚……それを生で食べるのか。ラキナでは加熱調理したものしか食べたことがないので不安はあるが挑戦してみるか」


そう言われると私は微笑み、


「じゃあ行ってみましょう!」


と元気よく声をかける。

店に着くと席に座り、私はいくつかのお皿を選ぶ。

クルトは少し緊張した様子だったが、一口食べると目を丸くした。


「おいしい……!思ったよりずっと美味しい!」


彼がそう叫び、どんどん箸が進む様子に思わず笑ってしまう。

私も小さく笑いながら、一緒に楽しい時間を過ごす。


「そうでしょう?寿司はね、新鮮なネタを酢飯に乗せて食べるものだから、ラキナの料理とはまた違った旨味があるのよ」


私は解説しながらも、自然と箸が進む。

しばらくしてクルトがお酒はあるか聞いてきたので注文する。

届いたグラスビールを飲みながら、満足そうに寿司を堪能している。

嬉しそうに食べる姿を見て安心する。

彼にとっては未知の食体験だっただろうが、日本独特の味わいが気に入ったようだ。


「喜んでくれて嬉しいわ。まだまだ他にも美味しいものはたくさんあるから、今後ゆっくり教えてあげるわね」


「ああ、ぜひ教えてほしい。こんな素晴らしい経験ができるとは思わなかったからな」


クルトの言葉に私も笑顔になる。

最後の一口まで美味しくいただいたところで、会計を済ませることにした。

店員さんに伝票を渡して探索者カードで支払いをする。


「さて、行きましょうか」


そう言って出口へ向かうと、後ろから追いかけてきたクルトが不思議そうな顔でこちらを見つめている。


「支払いは終わったのか?」


不思議そうな顔で尋ねる彼に向けて説明をする。

ギルドで支給される探索者カードの便利さについて教えてあげた。


「日本の銀行にお金を預けると探索者カードで支払いが出来るのよ。そのあたりはクルトが日本に慣れてきたら教えてあげるわ」


「なるほど、それは便利そうだな」


クルトは感心した様子で言った。

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