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異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー  作者: 白木夏
颯斗、理依奈とダンジョン探索

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第30話

食事が終わり片付けをしてリビングに戻ると、理依奈が嬉しそうに声をあげた。


「麗奈お姉ちゃん、私たちの戦ってた映像見せて!」


「いいわよ」


私はスマホを取り出し、テレビの大画面に映した。

ゴブリンと対峙して必死に戦う理依奈と颯斗の姿が映し出される。


「わぁ、すごい!」


旭が目を輝かせた。


「こんな風に戦うんだ!かっこいい!」


啓介も感心したようにうなずきながら、


「二人とも、危なげなく戦えてるじゃないか」


私がアドバイスをしている声がスピーカーから流れる。

テレビ画面では、理依奈と颯斗が協力しながらゴブリンと戦っている様子が映し出されていた。


「麗奈、ちゃんと指導してるのね」


恵が感心したように呟いた。


私はちょっと照れ臭くなって、視線を逸らした。


「まあ、基本的なことだけだけど……」


「でもさっきのアドバイス、的確だったじゃないか」


啓介が頷きながら言った。


「戦闘のことについて詳しいと思ってたが、ここまで本格的に教えられるとは思わなかったよ」


「ラキナでは子ども達にこういうことを教えていたからね」


啓介の感心した声に、私は少し誇らしげに答えた。

200年間培った知識が、こうして日本の家族にも評価されていることに温かいものを感じた。

そして同時に、それをこの子たちに伝えられてよかったと思った。


「麗奈さんって本当にいろんなことができるんだね」


颯斗が率直な感想を口にした。

その素直な賞賛に、私もつい笑みが溢れる。


「それよりも理依奈ちゃんはもう少し体力をつけないとダメね」


映像を見ながら気づいたことを言うと、理依奈が驚いた表情を見せる。


「え~なんで?」


「あなたは魔法使い寄りの能力だけど、前衛の支援をするときでもある程度動けないとダメよ。それにモンスターに近づかれた時に対処するためにも必要ね」


理依奈は納得したように頷いた。


「なるほど!確かに言われてみると、さっきも少し苦戦したかも」


「だから、今後ダンジョンに行くときの為に、体力づくりしましょうね」


「わかった!じゃあ明日から毎日走ろうかな!」


理依奈が意欲満々に宣言する。

その横で颯斗も真剣な表情でうなずいていた。


「僕も、筋トレを増やします」


「その調子よ。二人とも頑張ってね」


私が励ますと、理依奈と颯斗は目を輝かせて頷いた。


理依奈と颯斗が満足した様子で映像を見終わると、理依奈が突然思い出したように声をあげる。


「そういえば私が撮った麗奈お姉ちゃんの映像も見ようよ!」


理依奈が嬉しそうに提案してきた。

スマホを操作し、動画ファイルを探している。


「見たい!」


旭が目を輝かせて叫んだ。

私は少し照れながらも了承する。


「まぁ、構わないけど……」


リビングのテレビ画面に映像が表示された。

私の目の前の地面から強い光が放たれる場面から始まった。

その光の中からメイド服を着た精霊のアクアが現れた。


「うわぁ、綺麗なお姉さんだね!」


旭が目を丸くして見入っていた。


「でも、なんでメイドさんなの?」


旭が疑問を投げかけた。

アクアのメイド服が不思議そうに映っていたのだろう。


「それは私が昔精霊たちにメイド服をプレゼントしたのが原因ね。思ったより皆が気に入っちゃってその後メイドについて調べて今では家でメイドみたいな事をして楽しく過ごしているわね」


私は映像に映るアクアを見ながら説明した。


「へぇ~そうなんだ!」



理依奈は興味津々といった様子で目を輝かせている。

画面の中のアクアは、優雅にスカートの裾を摘んで一礼していた。


「それで、アクアさんはどんなことができるんだ?」


啓介が興味深そうに尋ねる。

映像ではアクアの戦闘シーンが続いていた。


「アクアは水と氷の魔法が得意よ。あと、家事も完璧にこなしてくれるわ」


画面ではアクアが優雅に最後のゴブリンを魔法で仕留めていた。


「水の魔法かっこいいね!」


旭が目を輝かせた。

その純粋な反応に、アクアならきっと喜ぶだろうと思った。


「アクアはすごく強くて優秀なのよ。私にとっては大切な家族の一員よ」


私は映像越しに見えるアクアの凛とした佇まいを愛おしく感じながら言った。


「へぇ、精霊がメイドさんで戦いも出来るなんてすごいですね」


晴奈も感心した様子で画面を見つめていた。

映像はアクアが再び光と共に消えるところで終了した。


「面白い映像だったわね」


恵が楽しそうに言った。


「ねぇ麗奈お姉ちゃん、これ友達に見せてもいい?」


理依奈が目を輝かせて訊ねてきた。

彼女はスマホを握りしめており、明らかに興奮しているようだ。


「いいけど……」


私は少し考えてから続けた。


「でもSNSとかには載せちゃダメよ。目立ちたくないからね。あと、私の撮ってた映像を理依奈ちゃんに送っておくね」


「ありがとー!じゃあ友達に見せるだけにしておくねー」


理依奈は素直に返事をして嬉しそうにスマホをしまった。


「そういえば麗奈、明日は何をする予定だ?」


浩一が不意に尋ねてきた。

私は少し考え込みながら答える。


「明日は銀行に行って口座を作ってきて、今日ギルドで出会ったクルトと一緒に渋谷の探索者ギルド周辺の武器のお店や鍛冶屋を見て回ろうかなって考えてるよ?あと、ラキナの家族へのお土産を探そうかなとも考えてるかな」


「クルト?」


啓介が初めて聞く名前に疑問を投げかけてくる。

クルトは私がラキナで育てた義息子であり、ドワーフで鍛冶師だということを簡単に説明すると、浩一が感心したように頷いた。


「へぇ、そんなに頼れる息子さんがいるのか。それにしても鍛冶師でドワーフねぇ……」


浩一が想像している様子が伝わってきて、少し面白かった。

彼のイメージするドワーフは恐らく髭もじゃで背が低い男性だろう。

クルトももちろんそういうドワーフに近いけれど、レーナが育てたためか、他より柔和で品がある。


「クルトは優しくて頼りになるわよ。リアの次に年齢が高いから家の中では頼れるお兄ちゃんって感じになってるかな」


私が思い出しながら話すと、浩一と啓介は驚いた様子で相槌を打っていた。


「へぇ~。なんかイメージ違うなぁ」


「そうだね。ドワーフってもっと偏屈なイメージがあるよね」


浩一と啓介がそれぞれ感想を述べた。

彼らの脳裏には、いかにも頑固そうなドワーフの姿が浮かんでいるらしい。


「クルトはそんなことはないわよ。私が育てたからか、どちらかといえば優しくて、とても家族思いなのよ」


私は微笑みながらクルトのことを語る。

私の優しい眼差しに、浩一たちも嬉しそうだった。


「じゃあ、明日はクルトさんと一緒にお買い物ね。」


晴奈が朗らかに言った。


「はい、楽しんできます」


麗奈はにっこりと頷いた。


夕食後の和やかな雰囲気の中、明日の予定について話し合いながら、夜はゆっくりと更けていった。


「それじゃあ、おやすみなさい」


「おやすみ」


皆で挨拶を交わすと、麗奈は理依奈と一緒に二階の理依奈の部屋へと向かった。

理依奈はベッドに腰掛けながら、麗奈に話しかける。


「明日から学校か……。あーあ、こんな楽しい時間が終わっちゃうなんて寂しいな」


麗奈は理依奈の隣に座り、彼女の肩にそっと手を置いた。


「でもね、理依奈ちゃん。今日の特訓で学んだことが、きっと学校でのダンジョン授業で役に立つはずよ」


理依奈はしばらく考え込むような表情を見せた後、顔を上げて微笑んだ。


「そうだね! 麗奈お姉ちゃんのおかげで、ゴブリンやコボルトとの戦い方が少し分かった気がする。学校でも頑張ってみるね」


理依奈は嬉しそうに頷き、布団の中に潜り込んだ。

麗奈もまた、彼女の隣に横になり、やさしく頭を撫でた。


「それじゃあ、おやすみなさい、理依奈ちゃん」


「おやすみ、麗奈お姉ちゃん」


二人は静かに眠りについた。

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