第291話 パイラ視点
その日から私とルルは、いつレーナさんの家に行ってもよいように調理場などにある私物を片付けたりして準備を始めた。
料理番の人員については元々人員が多い事もあり大丈夫との事だった。
しかも、料理長の話によるとリオヴィシア様が後で私たちが抜けた分の人員を補充してくれるらしい。
その後、料理番や買い物、ダンジョン探索など、いつもと同じ日々を過ごして二週間ほど経った頃、フローラさんから一週間後にレーナさんの家に向かうと言われた。
フローラさんの事は、今まで閃光の魔女様とお呼びしていたのだが、料理の魔女様を『レーナさん』と呼んでいたら閃光の魔女様から「私のことも『フローラ』って呼んで!」と言われた。
最終的に『レーナさん』と同じように『フローラさん』と呼ぶ事になった。
一週間後の出発に向けてバッグに着替えなどの必要な物を入れて、部屋の掃除をした。
「これでよし!」
部屋の中を見渡して、抜けている物が無いか確認する。
ルルも同じように準備をしているだろう。
あれよあれよとしている内に一週間なんてあっという間に過ぎた。
出発当日、私はルルと一緒にフローラさんと待ち合わせをしている場所へと向かった。
建物を出てすぐの場所に、フローラさんが精霊を出して待っていた。
「おはようございます!」
「おはようございます」
「二人とも、おはよう。ちゃんと準備は出来た?」
「はい!ばっちりです!」
「私も大丈夫です」
「なら良かったわ」
私は挨拶をしてすぐに出発するのかと思ったが、フローラさんは「少し待ってね」と言ってきた。
その言葉を聞き待っていると、建物の入口から一人こちらに向かってくる影があった。
その人はリオヴィシア様で、
「みんな~お待たせ~」
と言ってきた。
「リオヴィシア様も行かれるのですか?」
私がそう尋ねると、
「みんなが~行くから~私も~久しぶりに~行きたく~なっちゃった~」
とリオヴィシア様から返ってきた。
その言葉にフローラさんが呆れたような顔をして
「久しぶりってもう十年以上前ですよ、レーナの所に一緒に行ったの」
と言った。
「そうだった~?」
「そうです。あの時も突然行くって言い出したんですからね」
「まぁ~いいじゃない~、ほらほら~行きましょう~」
リオヴィシア様の言葉を受けて、私たちはフローラさんの精霊の上に乗った。
「それじゃあ行くわよ。しっかり掴まっててね」
「「はい!」」
「は~い」
精霊が羽を大きく広げて地面を蹴る。
ふわりと浮き上がる感覚の後、一気に空へと舞い上がった。
眼下に広がる魔女の里の景色がどんどん小さくなっていった。




