第288話 パイラ視点
私の名前はパイラ。
魔女の里で料理番をしていた一人です。
私は里からあまり出たことがなくて、基本は料理をして里の中で過ごしています。
たまに数人で行く買い物やダンジョンでの戦闘訓練をする時ぐらいしか外には出ていません。
そんな私には仲が良い子がいます。
同じく料理番をしているルルです。
ルルとは生まれた年も近く同じ料理番という事もあり、よく一緒に行動しています。
「パイラ、今日の夕食は何を作るように言われた?」
「今日はスープ料理を担当してって言われた」
「了解、野菜がたくさんあるから使わないとね」
「そうだね。じゃあ野菜スープを作りましょうか」
「うん、それが良いね」
こんな風に毎日料理を作って過ごしていました。
そんな私たちに転機が訪れたのは魔女会議が開催された日の事でした。
発表会が終わりルルと一緒に出し物を見て回っていると、
「パイラ、ルル、ちょっと良いかしら?」
と閃光の魔女様に声をかけられました。
「は、はい!何でしょうか?」
「私に何か御用でしょうか?」
突然の事に私もルルも緊張してしまい、声が少し震えてしまいました。
閃光の魔女様はそんな私たちに優しく微笑みかけてくれました。
「そんなに緊張しなくて大丈夫よ。少しお願いがあってね。レーナのお手伝いをしてくれないかしら?人手が足りないみたいなの」
「レーナさん……料理の魔女様ですよね?」
「ええ、その料理の魔女のレーナよ」
料理の魔女のレーナさんは魔女の里内では有名な方で、魔女ではないのに魔女と認められた珍しい方です。
レーナさんは魔女の里には魔女会議の時以外にはあまり来ていないようで、リオヴィシア様や上位の魔女様たちとは仲が良いようですが、私たちは直接の面識はありません。
「その……お手伝いですか?私たちでお役に立てるのでしょうか……?」
「大丈夫よ。二人とも料理番をしているでしょう?レーナも料理が出来る人が来てくれると助かるって言ってたから、お願いできるかしら?」
「「はい、わかりました!」」
凄い魔女という事は知っていたので、お手伝いをしてと言われた時は緊張しました。
閃光の魔女様に連れて行かれた先には、レーナさんがいて私たちに気づくと笑顔で迎えてくれました。
「この子たちは普段ここで料理を作ったりしているの、他のやつより料理の扱いはちゃんと出来るから手伝ってもらいなよ」
と閃光の魔女様が私たちを紹介したのを聞いて、
「料理の魔女様の料理、すごく美味しくて尊敬してます!」
「どの料理も美味しかったです。お手伝いします」
と私とルルは気合いを入れてそう言った。
「今日はよろしくね。それじゃあ、早速なんだけど、ここの料理を来てくれた人に配るのを手伝って欲しいの」
「配るだけで良いんですか?」
「ええ、そうよ。料理はもう出来てるから、ここに並べてある料理を取って、来てくれた人に渡していくの。あとは必要に応じて指示するわね」
「「はい!」」
レーナさんは優しくて何をやれば良いかも丁寧に教えてくれました。
次から次へと料理を取りに来る人たちの対応に追われた事もあり緊張感はなくなりレーナさんと自然に話せるようになっていました。
「パイラちゃんとルルちゃんはいつも料理番をしているの?」
「はい、そうです」
「です」
「そうなの。じゃあ普段から料理を作ってるのね。今日の料理はどう?美味しくできてるかしら?」
「とても美味しいです!」
「私も……すごく美味しかったです」
「ふふ、ありがとう。二人にそう言ってもらえると嬉しいわ」
そんな風に自然と会話ができるようになっていました。




