第287話
それから数日かけて様々な大きさと形の包丁を作っていった。
料理に使う物なので野菜を切るのに適したもの、肉を切るのに適したもの、魚を捌くのに適したものなど、用途に合わせて刃の形や厚みを変えながら、一本一本丁寧に仕上げていく。
包丁の他にも包丁を保管する為のケースなども用意していった。
全ての包丁を作り、最終確認をし終えた私は、午前のケイたちとの訓練を終えたパイラとルルに、完成した包丁を入れたケースを渡す事にした。
工房から出て、訓練を終えたパイラとルルのもとへ向かう。
「パイラ、ルル、ちょっと良いかしら?」
私が声をかけると、二人は訓練の汗を拭きながらこちらへ歩いてきた。
「はい、どうしましたか?」
「どうしたの?」
「これを二人に渡そうと思ってね」
私は手に持っていた二つのケースをパイラとルルに差し出した。
「これは?」
「開けても良いですか?」
「ええ、どうぞ」
パイラとルルはケースを受け取ると、私の言葉に頷いてからゆっくりとケースを開けた。
中には大小様々な形の包丁が、専用のホルダーにきちんと収まっている。
パイラとルルは、しばらくケースの中の包丁をじっと見つめていた。
「わーあ!」
「すごく綺麗……」
パイラとルルが口々にそう言った後、恐る恐るといった様子で聞いてきた。
「あの、こんなに沢山の包丁どうしたんですか?」
「買ってきたの?」
どこで手に入れた物か気になるのだろう、高い物だったらどうしようという気持ちもあるのかもしれない。
そんな二人に私が作った物だと気兼ねないように軽く伝える事にした。
「私が二人の為に作ったのよ」
「レーナさんが作ったんですか!?」
「これから料理を勉強するんでしょ?そのお祝いよ」
私がそう伝えると二人は目を輝かせて、もう一度ケースの中の包丁を見た。
「すごいです……」
「嬉しい……」
パイラとルルが、感激した様子で何度も包丁を見つめている。
二人がそんなに喜んでくれたので、こちらも作った甲斐があったと嬉しくなる。
「色々な包丁を作ったから、それぞれの用途はサラに料理を教わる時に習っていってね」
「はい!ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「これでいっぱい料理の練習をしてね」
「「はい!」」
パイラとルルは嬉しそうにケースを抱きしめている。
「今から使ってみます!」
「私も使ってみます!」
とパイラとルルは嬉しそうにケースを持ち、家へと向かって走って行った。
さっそくこの後、昼食の準備に使うのだろう。
その姿を見送りながら、私も満足した気持ちで歩いて家へと戻っていった。




