第281話
しばらく待っていると、注文していた料理が店員さんの手により席に運ばれてきた。
ざる蕎麦と天ぷらの盛り合わせに加えて、炊き込みご飯と野菜の煮付けと漬物がセットになっている。
天ぷらはエビやナス、カボチャ、マイタケなど色々な種類が盛られていて彩りも綺麗だ。
蕎麦は細く綺麗に盛り付けられていて、見た目にも涼しげで食欲をそそる。
「まぁ〜、美味しそうね〜」
「本当に綺麗に盛り付けられているわね」
リオヴィシアとフローラが料理を見て感想を言う。
「これはどうやって食べるの?」
フローラが料理を見てどうやって食べるのかと聞いてきた。
「天ぷらは塩で食べるか蕎麦つゆにつけて食べるの。蕎麦も蕎麦つゆにつけて食べるのよ」
私はそう言ってテーブルに置かれている蕎麦つゆと塩を指差した。
「薬味は蕎麦つゆに入れてもいいけど、蕎麦に少し乗せて薬味を蕎麦つゆにつけないようにしながら、蕎麦に蕎麦つゆをつけて食べるのも良いわよ」
「なるほどね」
「そうやって〜食べるのね〜」
「蕎麦つゆは最後に蕎麦湯を入れて割って飲めるから、残しておいてね」
「蕎麦湯?」
「蕎麦を茹でたお湯の事よ。食後に店員さんが持ってきてくれるわ」
「へぇ〜」
一通り説明をしてから、
「まあ、あまり形式はないから好きに食べて」
と最後に言って、三人で食べ始める。
私はまず天ぷらに塩をつけて食べる事にした。
サクサクの衣にエビの甘みが広がって美味しい。
次に蕎麦を箸で取り、蕎麦つゆにつけて啜る。
コシのある蕎麦がつゆと絡んで喉越しが良い。
炊き込みご飯はほんのりと出汁と醤油の風味がしていて美味しく、野菜の煮付けは薄味で素材の味が生きていて、箸休めに丁度良い。
「ん〜、美味しいわ〜」
リオヴィシアが天ぷらを食べて嬉しそうに言った。
「この料理が〜特に〜美味しいわ〜。外は〜サクサクして〜中は〜柔らかいわ〜」
「それは天ぷらって言うのよ」
「天ぷら〜覚えたわ〜」
フローラも蕎麦を一口食べて、
「この麺も美味しいわ。つゆにつけて食べるとツルッと入っていくのね」
「蕎麦は喉越しも楽しむものだからね」
「なるほど、面白いわね」
二人とも蕎麦と天ぷらを気に入ってくれたようだ。
炊き込みご飯や野菜の煮付けも「味が染みてる」だの「優しい味」だのと好評だった。
しばらくすると、店員さんが蕎麦湯を持ってきてくれた。
「これが〜蕎麦湯〜?」
「そうよ。蕎麦つゆに入れて飲んでみて」
リオヴィシアとフローラが蕎麦湯を蕎麦つゆに入れて飲んでみる。
「あら、温かくて美味しいわね」
「蕎麦の香りが〜するわ〜」
「でしょ?食後にこれを飲むとほっとするのよ」
三人で蕎麦湯を飲みながらゆっくりと食事の余韻を楽しんだ。
食べ終わり、席を立って会計を済ませる。
店を出て外の風に当たりながら、私は電話でタクシーを呼んだ。
「ギルドに戻りましょうか」
「ええ」
「は〜い」
タクシーが来るまでの間、蕎麦屋さんの前で今日の感想を話しながら三人で楽しく過ごした。




