第276話
別れて行動する事に決めると、パイラとルルはマリと一緒に行動するようで、三人で楽しそうに歩いて行った。
残りの私、フローラ、リオヴィシア、カイトの四人はそれぞれ一人で行動する事にした。
「それじゃあ、また後でね」
「ええ〜また後で〜」
それぞれ挨拶をして、私たちは散り散りになって図書館内を歩き始める。
私は全体を回った時に気になっていたダンジョンの本が集められているコーナーへ向かう事にした。
ダンジョンの本が置いてあるコーナーに着くと、そこには沢山の本が並んでいた。
入門書から専門書までダンジョンに関するありとあらゆる本がある。
その中からダンジョンの歴史について書いてある本を手に取った。
歴史といっても十五年と短いのだが、私の居なかった間の出来事なので、何があったのかを知るにはちょうど良いだろう。
椅子に座り本を開くと、ダンジョンが現れた年から時系列順に出来事が書いてあった。
2040年初春、ダンジョンが現れた事から始まり、政府によりダンジョン立入禁止令が発令された事。
そこから年代順に重要な出来事が書いてあった。
ダンジョンのモンスターや採掘で取れる魔石がエネルギー源となる事が発見される。
探索者制度の導入によりダンジョン探索者ライセンスの発行開始。
人物鑑定装置の発見により特殊職業『クラス』と特殊能力『スキル』が分かるようになる。
高等学校で探索科が新しくできる。
クランという半公式組織が作られ始める。
ダンジョンライブ配信が行われだす。
「へぇ、この十五年間で色々あったのね……」
私はページをめくりながら呟いた。
ダンジョンが現れた当時は混乱の連続だったようだ。
この本によると、ダンジョンが現れてから政府の対応も試行錯誤だった事が窺える。
本には、ダンジョンが現れた当初の詳しい出来事や、それにまつわる人々の体験談なども載っていた。
ダンジョンが現れた年から現在に至るまでの変化を年表にしたページもあり、ダンジョンに関わる制度の変化が一目で分かるようになっていた。
日本という国がダンジョンと共に歩んできた歴史がそこにはあった。
「なるほどね……」
ダンジョンが現れてから探索者制度が出来て人々の生活が変わり、法整備が進み様々な技術が発展していった。
昔の日本と今の日本しか知らない私にとっては、地球にダンジョンがある事に驚くだけだったが、本を読むと歴史の流れを感じる。
ダンジョンが出来てからの歴史はまだ浅い。
だがその浅い歴史の中にも、人々の暮らしや社会を変えてきた大きな出来事が幾つもあったのだなと思う。
私は本を読みながら、知らなかった日本の歴史に少し感慨にふけっていた。




