第272話
翌朝、朝食を食べ、出かける準備が終わると、私たちは日本に行くために探索者ギルドへと向かった。
今回、日本に行くメンバーはカイト、マリ、フローラ、リオヴィシア、パイラ、ルルと私の七人だ。
ケイたちはお留守番で、アクアたちに家の事をお願いしてある。
「リオヴィシアは日本に行くの初めてなのよね?」
「そうよ〜初めて〜楽しみだわ〜」
「パイラとルルも初めてよね?」
「はい、私も初めてです」
「私も初めて」
「じゃあ、まずはギルド内で講習を受ける事になるからね」
と私は説明しながらギルドへと歩いていく。
ギルドに着き、リオヴィシア、パイラ、ルルの三人が講習の受付を済ませると、ギルドの職員が三人を案内し、講習を受ける部屋へと入って行った。
残った私たちはギルド内を見回りながら時間を潰す事にした。
「やっぱり、新しく出来たギルドは綺麗で良いわね」
私の言葉にカイトとマリも頷く。
「そうですね、前のギルドの建物も良かったですが、新しい建物は明るくて清潔感があります」
「そうそう、それに前と違って探索者以外の人もギルド内でよく見るよね」
私たちがギルド内の事を話していると、後ろから声をかけられた。
「レーナさん、カイト、マリ、おはよう」
振り返るとギルドマスターのダリウスが立っていた。
「ダリウスくん、おはよう」
「ダリウスさん、おはようございます」
「おはようございます」
私とカイトとマリがそれぞれ挨拶を返す。
ダリウスは私たちの話を聞いていたようで、周りを見回しながら話し始めた。
「前は依頼に来る人しか来ていなかったですが、今はギルド内にお店があり、二十四時間やっているという事もあるからか、日本の商品を買いに来たり食事をしにきたりする人が増えました」
ダリウスがそう言ったので、私も周りを見てみる。
確かに朝早くだというのに買い物袋を持った人がちらほらいる。
「なるほど、たしかに前より人が増えたわね」
と、そこまで話したところでフローラと目が合い、ダリウスに紹介していなかった事を思い出した。
「ダリウスくん、こちら私の知り合いのフローラ」
「フローラさん、はじめまして。ギルドマスターのダリウスです」
「フローラよ、よろしくね」
二人が挨拶を終えるとダリウスが私の方を見て、
「レーナさんたちは今日はギルドで買い物ですか?」
と聞いてきた。
「いいえ、今日は初めて日本に行く知り合いが居て、今は講習が終わるのを待っているのよ」
「日本に初めて行くのですね。講習は時間がかかりますから、待つのは大変ですよね」
「ええ、まあ仕方ないわ」
そう返したところで、私はダリウスに気になっていた事を聞いてみる事にした。
「ねえ、ダリウスくん。子供が日本に行けるようになるように話し合いされているって聞いたんだけど、その辺りってどうなっているの?」
ダリウスは少し考え込むような表情をしてから答えてくれた。
「はい、まだ完全に決まっていないですが、そういう話は出ていますね。誘拐や詐欺、犯罪をどう防ぐか、その辺りの取り決めが難しいのもありますね」
ダリウスは続けて説明をしてくれた。
「さらに、こちらとあちらの探索者登録の制度の違いもありますからね。あちらは年齢制限があるのに対して、こちらは探索者になるのに年齢制限は無いですからね」
とダリウスが説明した。
私はダリウスの言葉に頷く。
この世界は地球に比べて命が軽い。
親がモンスターや野盗に殺されて孤児になる子が多い。
孤児院はあるにはあるがそれほど豊かでは無いため、子供でも簡単な依頼で働けるようにしようという事で年齢制限が無くなっている。
またこの国には無いが奴隷制度がある国があり、小さい子を騙して連れて行こうとする者もいる。
どう防ぐのかを考えると確かに難しい問題だ。
さらにダリウスから話を聞くと滞在期間を決めてから行くようにするだとか、行く時に全員の情報を登録して戻ってきた時に全員揃って戻ってきているか確認をする事にする、という話などが出ていると話してくれた。
そんな情報を話しても良いのかと尋ねると、
「基本この事については関心が多いようでギルドのホームページに載せているんですよ、意見や感想なども参考にするそうです」
との事だった。
そんな話をダリウスとしていると、ダリウスのスマートフォンが鳴った。
「あっ、部下からの電話です、それでは日本を楽しんできてください、ではまた」
そう言ってダリウスは離れていった。
スマートフォンは便利で良いのだが、持つようになってあんな風に忙しそうなダリウスを見ると、あればあったで大変そうだなと思う。
その後はギルド内の店を見て回り時間を潰していると、三人の講習が終わったので、探索者カードを提示してダンジョンに入りゲートを抜けて日本へと行くのだった。




