第266話
しばらくすると、広間からみんなが庭へと出てきた。
「わぁ!バーベキューだ!」
「良い匂い!」
ケイとシルフィが嬉しそうに言いながら庭へと走ってきた。
「ママ、みんなリビングにいなかったから探したよー」
「そうそう。どこ行ったのかと思った」
マリとカイトがそう言いながら近づいてきた。
そういえばカイトとマリには離れを作る事は伝えてあったが、広間を作ったことは伝えていなかったなと思い出す。
「ごめんね。実は人が多く集まる事が増えたから、新しく広間を作ったのよ」
「へぇ、そうだったんですね」
「なるほど〜、確かに広かった!」
カイトとマリは納得して頷いた。
みんながバーベキュー場に集まったので、
「それじゃあみんな、受け皿を持って好きなタレを使ってね」
私がそう言い、テーブルを指差す。
テーブルの上には日本で買ってきた焼肉のタレが何種類か並べて置いてある。
「タレっていっぱい種類があるんだね!」
「甘口に中辛、辛口もあるぞ」
みんなはタレの説明書きを見ながら自分好みのタレを選び、受け皿に入れていく。
甘口のタレを選ぶ者、辛口に挑戦する者、それぞれだ。
パイラとルルはラキナでは見ないタレに興味津々のようで、説明書きをじっくり読んでから甘口のタレを選んでいた。
「それじゃあ、焼いていくわよ」
私は網の上に肉や野菜や魚介類を置いていく。
じゅうじゅうと音を立てて焼けていく肉や魚介類。
香ばしい匂いが庭いっぱいに広がっていく。
「このタレ美味しい!」
「こっちの辛口って言うのも良いな!」
「ちょっと味見させて」
「いいよー」
みんなは別のタレを選んだ人のタレを付けさせてもらい、タレの付け比べをして楽しんでいた。
甘口と中辛と辛口、さらには商品によって味わいが全然違うので、それだけで話が盛り上がっているようだ。
「ティラちゃん!お肉焼けたよー!」
「ありがとう!ケイちゃん!」
ケイが焼けた肉をティラサラの受け皿に入れている。
シズクたちも集まり、小さい子たちで楽しそうにしている。
リオヴィシアは隣に座るフローラと楽しそうに話しながらバーベキューを楽しんでいるようだ。
「このコカトリスの肉、甘口のタレと合うわね」
「えぇ〜。私は〜辛口の方が〜好きだわ〜」
「リオヴィシア様は辛口派なのね」
「フローラちゃんも〜食べてみる〜?」
「じゃあ一口だけ」
リオヴィシアとフローラの楽しそうな会話が聞こえてくる。
その隣では、イルとサラがビールを飲みながらゆったりと肉を焼いていた。
「やっぱりバーベキューにはビールだよな」
「うん、ビール美味しい」
そんな二人を見て気になったのかリオヴィシアが二人に飲み物について聞いていた。
「二人で〜何を飲んでるの〜?」
「ビールっていう酒だよ。冷やしたビールはバーベキューに合うんだよ」
「そうなのね〜、私も〜飲んで〜みようかな〜」
「私もビールが欲しいわ」
サラの言葉を聞き、リオヴィシアとフローラがビールを手に取った。
「あら〜、スッキリして〜美味しいわね〜」
こっちの場所ではお酒を飲んで盛り上がってきているようだ。
そんな感じでバーベキューが進んでいくと、少し離して塩を振って立て焼きにしていた突撃魚が焼けてきた。
私は焼けた突撃魚を串に刺さったまま、みんなの元へ持っていく。
「突撃魚が焼けたわよ。欲しい人に渡すわね」
「欲しい!」
「私も!」
焼き上がった突撃魚を串のまま渡していく。
「美味しい!」
「ふわふわだ!」
みんなの感想を聞きながら、私も突撃魚を食べてみる。
遠火の所で焼いた突撃魚は身がふっくらと焼き上がっていた。
かぶりついて食べてみると、中の脂がじゅわっと広がる。
「うん、美味しいわね」
私は肉や魚をつまみながら、ちびちびと酒を飲み周りを見る。
みんながバーベキューを楽しんでいる。
人の輪も大きくなり、賑やかな夕食の時間が過ぎていく。
ケイやシズクたちのような小さな子たちから大人まで、みんなの笑顔が広がっていた。
やがて空がすっかり暗くなり、庭の照明がその明るさを増していく。
それぞれお腹いっぱいになるまでバーベキューを楽しみ、みんな満足そうな顔をしていた。




