第240話
洗い物を終えてリビングに行くと、カイトとマリとイルが身支度を整えて出かける準備をしていた。
「イルはミョウバンを買いに行くのだろうけど、カイトとマリはダンジョンに行くの?」
カイトとマリも身支度をしていたのでそう聞くと、
「今日はまきなつプロダクションに行って来ます」
「そういえばママに言ってなかったね、また数日、理依奈ちゃんの家に泊まる予定だよー」
とカイトとマリが答え、
「昨日レーナ様がダンジョンに行っている間に聞いておりました」
アクアが聞いていた事を伝えてきた。
「あら、そうなの?迷惑をかけないようにね」
「はい、分かりました」
「もう何回も行ってるんだし大丈夫だよー」
月に一〜二回ほどまきなつプロダクションに行っているカイトとマリは、その度に東京の実家に泊まっている。
ダンジョン帰りや休みの日に金沢の街にもよく行っているようで、日本の街の歩き方にもかなり慣れたようだ。
「じゃあ、行ってきまーす!」
「行ってきます」
「ん」
「気をつけて行ってらっしゃい」
私がそう言って三人を見送ると、三人は扉を開けて外へと出て行った。
「さてと、私も離れを作る準備をしようかな。離れを作ってくるから何かあったら家の裏に呼びに来てね」
「はーい」
「分かりました」
私がそう伝えると、みんなから返事が来たので靴を履き玄関を出て家の裏へと向かう。
「とりあえず木の表面を削って乾かさなきゃね」
家の裏の広い場所に立ち、私は収納魔法から昨日狩ってきたトレントの丸太を取り出した。
倒したトレントはシルフィとイルが枝を落とし幹だけの状態にしてくれているので、あとは樹皮を剥がして乾燥させれば木材として使える。
「さて、まずは樹皮を剥がしていきましょうかね」
私は魔法で丸太を浮かせると風魔法を使い薄い刃を複数発生させて一気に樹皮を剥がしていく。
風の刃が木の表面を滑るように走り、茶色い樹皮が一気に落ちていった。
「次は乾燥ね」
樹皮を剥ぎ終えた木材を浮かせたまま水魔法を応用して水分を引き抜いていく。
木の中に含まれている水分が外へと染み出し一箇所に集まっていく。
そして集まった水は霧に変えて飛ばす。
「あとは圧縮して強度を上げておこうかな」
乾燥が終わった木材に今度は空間魔法を使い内部を圧縮していく。
元々硬いトレントを使った木材の繊維がギュッと詰まっていき、金属にも負けないほどの硬さと木目が詰まることにより美しい模様や光沢、さらに滑らかな手触りを持った建材へと変わっていく。
完成した木材をそっと地面に下ろす。
「こんなものね。これを全部やっていきましょうか」
一本また一本と同じ作業を繰り返し、丸太を建材へと変えていく。
樹皮を剥ぎ乾燥させ圧縮して積んでいく。
単純作業だが、木材の状態を見ながら魔力の加減を変えないといけないので気は抜けない。
それでも慣れてくれば自然と早くなっていく。
「よし、これで全部ね」
全ての木材の加工が終わると、目の前には加工済みの木材が山のように積まれていた。
「離れを作るには問題なさそうな量ね」
完成した木材を収納魔法に戻していき、木材の山を片付けていく。
「あとはこれを片付けなきゃね」
目の前には大量の樹皮があった。
「樹皮って何かに使えるかしら?」
そんな事を考えながら、いつものようにとりあえず収納魔法に入れるのだった。




