第239話
朝、目を覚ますと窓から柔らかな朝日が差し込んでいた。
私はベッドから出て身支度を整え、キッチンへと向かう。
今日の朝食は和食にするつもりで、すでにアクアたちが起きて手伝ってくれていた。
「おはようございます、レーナ様」
「おはようレーナ。今日の朝食は焼き魚と味噌汁とおひたしの予定だったよな?」
「おはよう二人とも。そうよ。ご飯に生卵と納豆のどちらかを選んでもらおうかなとも思ってるわ」
「オッケー!とりあえず魚は何を使うんだ?」
私は少し考えて突撃魚にしようかと思ったが、
「焼き鮭にしましょうか」
と言って水刃鱒の切り身を取り出した。
朝といえば焼き鮭という認識が昔からあり、焼き鮭に良さそうな魚を探した結果、水刃鱒が一番焼いた時に美味しかった。
水刃鱒は硬質な鱗や皮膚を持ち、水の中を高速で動き回り頭から突撃してきて刃のような背ビレや胸ビレで斬り掛かってくる。
水刃鱒は硬質な皮膚を持っているので解体に時間がかかり鮮度が落ちる為、一般的には食べられていないが私にとっては軽く捌けるため問題なかった。
その身は生だと硬くて食べられないが、焼くと身が柔らかくなり身がホロリと崩れて食べやすくよく焼けた場所は歯応えがあり、中はしっとりとしていて食感も楽しめる。
残念なのは皮を食べれないところだが味は日本の鮭に似ているのでお気に入りの魚だ。
アクアとサラがキッチンで手際よく動き出した。
私は味噌汁の具材を切ったり鮭を焼くためのグリルを準備したりと朝食作りを進めていく。
やがて香ばしい匂いがキッチンに漂い始めてきた。
「みんなを起こしてきますね」
アクアがそう言ってキッチンを出て行き、しばらくすると眠そうな顔をしたケイやマリたちが次々と集まってきた。
「おはようみんな」
「おはようございます」
「おはよー」
それぞれが思い思いに挨拶をして席につく。
テーブルの上に朝食が並んでいく。
焼き鮭に味噌汁、菜葉のおひたし。
それに加えてご飯と生卵、それから納豆のパックが置かれている。
みんなの前に配膳され全員が席に着き、
「いただきます」
と皆で手を合わせて朝食を食べ始めた。
ケイは生卵をご飯にかけて食べている。
イルは納豆を混ぜている。
人によって好みが分かれるのは面白いなと思いながら私も焼き鮭を口に運んだ。
こんがりと焼けた水刃鱒の身はホクホクとしていてほどよい塩加減がご飯に合う。
味噌汁は出汁が利いていてホッとする。
菜葉のおひたしはシャキシャキとした歯ごたえが心地よい。
朝食を食べ終わり、食器を片付ける。
今日の私たちの予定は離れの建設。
イルは昨日言っていた通りミョウバンを買いに日本へ行くのだろう。
そんな事を考えながら食器を洗い片付けを進めていった。




