第237話
フォノンの町に着いた頃には、周りはすっかり暗くなっていた。
それでも、かつて夜道が月明かりしかなく真っ暗だったこの町も今では定間隔に街灯が灯されていて町の中は明るく、まだ人通りもちらほらとある。
日本と繋がってからこの町もずいぶん変わってきたなと思いながら、私はイルとシルフィと三人並んで家への道を歩く。
「街灯がついてると歩きやすいねー」
「前は暗かったから、これだけ明るいと助かるわね」
シルフィの言葉に私が頷くとイルも小さく頷いた。
やがて家の前に着き扉を開けて中に入る。
「ただいま」
私が声をかけると奥から軽い足音が聞こえてきてケイが玄関まで走ってきた。
「おかえりなさい!」
ケイが私に抱きついてくる。
その温かさに思わず笑みがこぼれた。
「ただいま、ケイ。今日はおりこうにしてた?」
「うん!おりこうにしてたよ!」
「おかえりなさい」
「おかえりー!」
後ろからカイトとマリも顔を出して出迎えてくれる。
「ただいま。二人も帰ってきてたのね」
「はい、今日はダンジョン探索が終わった後は予定が無かったので」
「やっぱり実家が落ち着くからねー」
靴を脱ぎリビングへと向かうと、他のみんなは夕食の準備をしてくれているようでキッチンからは食欲をそそる匂いが漂ってきていた。
ダイニングへ行くとテーブルにはすでに料理が並べられていた。
ご飯、肉野菜炒め、サラダ、玉ねぎとジャガイモの味噌汁そしてセクシーダイコンの漬物と一人分ずつ並べられていた。
「いっぱい動いたからお腹ペコペコだよー!」
シルフィが素早く席につき早く食べたそうにしている。
私も手を洗いに行き戻って席に着く。
みんなで「いただきます」と手を合わせて食べ始めた。
「この肉野菜炒め、いつもと味が違うわね」
「だろ?今日はインターネットで見つけた韓国風?ってやつを試してみたんだよ」
サラが少し得意げに答えてくれた。
たしかにコチュジャンの濃厚な甘辛さとごま油の香りが強く食欲を引き立ててくれて美味しい。
味噌汁は玉ねぎの甘みがしっかりと出ていて心が落ち着く。
「そういえば、今日はダンジョンに行って何を狩ってきたの?」
マリが質問してきた。
「トレントをいっぱい狩ってきたのよ。家の空き部屋が少なくなってきたから離れを作ろうと思うのよ。数日後にパイラとルルっていう魔女が泊まる予定だから」
「そうなんだ、どんな人たちだろう」
「二人とも良い子だったわよ」
マリはこちらに来る予定のパイラとルルの事が気になるのか「仲良くなれるかなー」と言いながら肉野菜炒めを食べている。
パイラもルルも年齢でいったらマリとは離れているが魔女なので見た目の年齢は近いし、魔女はあまり年齢を気にしないので仲良くなってくれると喜ばしい。




