第235話
次の階、また次の階と階段を降りながらトレントを狩り続けていると、気がつけばそれなりに時間が経っていたようで、時計を確認すると夕方に差し掛かろうとしていた。
五階層ごとに現れるボスを倒したところで、私は二人に声をかけた。
「そろそろ切り上げましょうか」
「えー、まだまだいけるよー?」
シルフィが名残惜しそうに言うが、イルはすでに斧を収納魔法にしまっている。
「もう十分なくらい狩ったわ、建材の量としてはちょっと狩りすぎたくらいよ。まぁ木材はどれだけあっても使い道があるから良いんだけどね」
私がそう言うとシルフィも、
「たしかに!これだけ狩れば離れを作るには足りそうだし、家具もいっぱい作れそう!」
と納得してくれた。
「それじゃ、転送板で一階に戻りましょう」
私が転送板に手を触れて一階を選ぶと、体がふわりと浮くような感覚に包まれ次の瞬間には一階の広間に立っていた。
イルとシルフィもすぐに転移してきて三人揃ったところで、フォノン側に戻るゲートへと向かう。
「今日はいっぱい狩れたねー!」
「満足」
シルフィが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら歩いており、その後ろをイルが静かに歩きながらぽつりと言った。
「そう、良かったわ。二人ともお疲れさま」
私がそう言うと、イルは小さく頷き、シルフィは、
「レーナもお疲れさまー!」
と元気よく返してきた。
ゲートの受付に到着し、職員に探索者カードを提示して軽く確認を受けたあと、ゲートをくぐってフォノン側のダンジョンへと戻ってきた。
ふと広間の方を見ると、見慣れない光景が目に入った。
日本人らしき探索者たちが数組、クーラーボックスらしきものを持ってダンジョンの奥へと歩いていく。
その手には丈夫そうな手袋を着けており、網が握られている。
彼らはモンスターと戦うためではなく、何かを捕りに行くような装備だった。
「あの人たち、お店で食べた突撃魚とかを狩りに行くのかな?」
シルフィが首をかしげながら言う。
「たぶんそうね。食料として需要があるから、ギルドから依頼が出ているのかもしれないわ」
「なるほどー。あの魚、美味しかったもんね!」
「私たちも少し持って帰らない?みんなにも食べさせてあげたいし」
「さんせーい!」
「賛成」
二人の同意を得て、私たちも突撃魚としびれクラゲを軽く獲って帰ることにした。
「シルフィ、誰もいない場所を探してもらえる?」
「りょうかーい!ちょっと待ってねー」
シルフィが風魔法でサーチし始める。
彼女の周囲にそよ風が巻き起こり、それがダンジョンの通路を駆け抜けていく。
しばらく集中していたシルフィがパッと目を開けて指をさした。
「あっちの方に誰もいない場所があるよー!突撃魚もいっぱい飛んでる!」
「ありがとう、案内して」
シルフィを先頭に、私たちはダンジョンの奥へと進んでいった。




