第232話
ダンジョンの一階へと戻ってきた私たちは、そのまま受付を済ませてダンジョンを出た。
ここの探索者ギルドの名前は七尾港探索者ギルドというらしく、港町にあるダンジョンのようだった。
港町にあるのに森林ダンジョンなのかと一瞬思ったが、そういえばフォノン側のダンジョンも平原にあるのに水棲のモンスターが出るダンジョンだったのを思い出す。
どうやらダンジョンの中の環境は周りの地形とは関係ないらしい。
探索者ギルドの建物に入った私たちは中を移動して食事処が集まっているエリアに向かった。
お食事処は、刺身や焼き魚といった海鮮がメインの和食の店、丼物から麺類まで色々揃っている店、そしてパスタやピザの洋食の店、の三店舗だった。
「何を食べたい?」
私がイルとシルフィに尋ねると二人は顔を見合わせてから声を揃えて、
「海鮮」
「海鮮!」
と答えた。
今までラキナではあまり食べる事のなかった生魚だが、日本に行けるようになってから食べるようになり、うちの精霊たちはすっかりハマっている。
日本に来たら真っ先に寿司や海鮮の店に行きたがるのはいつものことだった。
「じゃああそこの和食のお店にしましょうか」
私は二人を連れて海鮮がメインの和食の店へと足を向けた。
店内に入るとすでに多くの探索者たちで賑わっている。
香ばしい醤油の香りと出汁の香りが食欲をそそり、シルフィが「いい匂い〜」とうっとりとした表情で呟いた。
私たちは空いているテーブル席に案内されてその場所に座る。
タブレットでメニューを見てみると、ランチメニューや彩り豊かな海鮮丼、脂の乗った焼き魚定食や新鮮な刺身定食などの画像が並んでいた。
単品メニューにはブリの照り焼き、甘エビやアオリイカの刺身など地元でとれた魚介類を使った料理がずらりと書いてあった。
そんな中に、少し変わったメニューがあることに気がついた。
「ダンジョン産……?」
メニューの一角にそう書かれた項目があり、そこには聞き覚えのある名前が並んでいた。
突撃魚にしびれクラゲ、大蟹など、表層や上層に出て来るモンスターの名前だった。
「これって、ダンジョンで獲れるモンスターだねー!」
「いままで行った店には無かった」
シルフィはタブレットを覗き込んで興味津々で、イルも静かにメニューを見つめている。
「ここから繋がっているフォノンのダンジョンから獲ってくるのかしら?せっかくだし、どれか頼んでみる?」
私がそう提案すると、二人は頷いてどれを頼むか考え出した。




