第230話
受付で探索者カードを提示し、私たち三人はダンジョンの中へと足を踏み入れた。
ダンジョン内部に入ってすぐの広間は以前来た時とは打って変わって多くの人で賑わっている。
しかし人の流れを観察してみると、ダンジョンの奥へ向かう探索者はまばらでほとんどの人が別の方角、地球側へと繋がるゲートの方へ向かっているようだった。
「やっぱり日本側へ行く人が多いみたいね」
「うん」
「トレント狩りにみんな行くんだねー」
私たちも人の波に従ってゲートのある方へと向かう。
やがて見覚えのある空間が波打つ不思議な光景が通路の先に見えてきた。
人が順番にそこをくぐり消えていく。
私たちもゲートを順番にくぐり抜ける。
トンネルを抜けゲートを潜り日本側のダンジョンに到着した。
こちら側も他のダンジョンと同じように入口付近は洞窟内の広い空間になっていて、日本側ギルドへの受付や講習部屋などがある。
こちら側のダンジョンは探索者たちがかなりいて、フォノン側のダンジョン入り口とは違いかなり賑わっている。
「さて、奥に入りましょうか」
「うん」
「がんばるー」
私たちはダンジョンの奥へと足を向けた。
初めて来るダンジョンなので転送板は使えない。
つまり順番に階層を攻略していくしかない。
最初の広間を抜けてしばらく洞窟内を歩いていくと、やがて奥の方から風の流れと共に土と緑の匂いが漂ってきた。
視界が開け、木々が生い茂る森林のエリアが見えてくる。
「ここがトレントが出る森林エリアね。とりあえず上位のトレントが出るところまで行きましょうか」
「了解」
「オッケー!」
私は二人に声をかけ、二人の返事を聞いて森の中へと足を進めていった。
森林エリアに入った所で、
「ねぇ、階段のある場所を調べて、即降りて行っちゃう?」
とシルフィが立ち止まり、笑いながら提案してきた。
どうせ上位種はもっと奥の階層だしその方が良いかなと思い、
「そうね、じゃあお願い」
と私が頼むとシルフィは嬉しそうに「はーい」と返事をして、両手を軽く広げた。
シルフィが得意としている風を使ってのサーチ魔法を発動する。
彼女の周囲にそよ風が巻き起こり、それがやがて意思を持つように森の奥へと流れていく。
「あっち〜!」
すぐに階段の場所を探り当てたらしいシルフィが、元気よく指をさしながら走り出した。
私とイルはその後を追って森の中を駆けていく。
途中、いくつかのパーティがモンスターと戦闘をしているのが見えた。
最初の階ということもあり、理依奈や颯斗のような学生服を着た若い探索者の姿が目立つ。
彼らはウサギ型のモンスターや、地面からぴょこぴょこと動き回る雑草のようなモンスターを相手に初々しい連携で戦っている。
その微笑ましい光景を横目に見ながら、私たちはシルフィに導かれるまま階段のある場所へと足を進めた。
「ここだよー!」
シルフィが指さす先には岩肌にぽっかりと口を開けた洞窟の入り口、その奥に薄暗い光を放ちながら下へと続く階段が見えている。
「よし、つぎつぎー!」
シルフィが先頭に立ち、私とイルがついていき次の階層へと足を踏み入れた。




