第190話
「食べ過ぎた〜」
「そりゃあれだけ食べたら食べ過ぎでしょ」
あの後も美味しい美味しいと食べ続けたフローラはリビングのソファに体を預けて苦しそうにしていた。
美味しそうに食べてくれるのは作り手として嬉しいが、あれだけの量の食べ物がその細身の体のどこに消えていくのか疑問に思う。
ちなみにケイたちはフローラと遊んでいたデータを保存して今はレースゲームをフローラの代わりにサラが入って四人でしている。
「どんな技術を使っているか分からないけど、あのゲーム機って凄いわね」
ソファに体を預けてケイたちを見ていたフローラがそんな事を言ってきた。
「そうね、こっちの世界とは違って魔力という物が無かったから科学技術が発展したって感じじゃないかな、あとはモンスターも居ないから平和で娯楽が増えたのかもね」
「魔力が無くモンスターもいない世界って想像できないわね」
「まぁ今は地球もダンジョンが現れて、ダンジョン内にはモンスターもいるし、ダンジョンの影響で魔力もあるんだけどね」
「へぇ〜、そうなのね」
「ダンジョンが現れたのは最近だから、まだ魔力の扱いや装備は微妙だけど文明的には凄いわよ」
「ちょっと地球に行ってみたくなったわ」
「予定が無ければ明日地球に行ってみる?案内するよ?」
フローラの住んでいる所にあるダンジョンが地球のどこに繋がっているのかは分からないが、日本であれば入る前に講習があるし治安も良い。
初めて行くには良い国だし、私と行けば案内してあげられるので提案してみた。
「いいの?予定は無いからお願いしようかな」
フローラが嬉しそうにそう答えた。
「そういえば、フローラって探索者カードは持ってる?地球に行く時に見せなきゃいけないんだけど」
「探索者カード?冒険者カードなら身分証に便利だし持ってるわよ」
そう言ってからカバンから冒険者カードを取り出して私に見せてきた。
冒険者カードにはフローラの名前とクラス、スキル、ランクが表示されていた。
「フローラってCランクなのね」
「えぇそうよ、冒険者カードは身分証として必要で作ったからあまり依頼は受けてないのよね。更新の為に毎年一度だけギルドマスターに頼まれて高ランクの依頼を受けてたんだけど、そしたらCランクになってたわ」
年に一度しか依頼を受けない為、実力はあるが年間の実績不足か何かでBランクに上がらないのだろう。
「今は地球とギルドカードを統一する為に冒険者カードじゃなくて探索者カードになったのよ、ギルドで更新してもらえるから明日更新してもらいましょう」
「半年前に更新したのにそんな事になってたのね」
「あとは明日行くのは地球の日本って国なんだけど、初めての人は行く前に日本の常識についての講習を受ける事になると思うから明日は早めに行きましょう」
「了解、分かったわ」
そんな会話をしていたらフローラの食べ過ぎの苦しさが和らいできたのかソファに預けていた背中を起こして立ち上がった。
「さてと、ゲームの続きでもしてこようかな」
そう言ってフローラはモニターの前にいるケイたちのもとへ向かっていった。




