第173話 フィアメール
それからはコンプライアンスの勉強を中心に初回配信の内容の打ち合わせやその後どんな配信をしていくか、事前の配信テストなどをしていった。
「う~、明日が初配信なのだ、緊張してきたのだ~」
あまり緊張しないフィアメールだが、なんとかコンプライアンスの内容を一通り覚えて初配信の流れを練習したところで本番が近づいてきて緊張してしまっていた。
「フィアメール様、大きなやらかしをしない限り大丈夫ですよ」
フィアメールの緊張の原因は実はサタレアだった。
あの後もサタレアは色々と調べてバズって人気が出た配信者や炎上してチャンネルを消した配信者などの話をフィアメールにしており、コンプライアンスの内容をやっとのことで覚えたフィアメールにとって何かやらかした話は他人事には思えなくなっていた。
「そうそう、私なんて一番最初に配信なんだからね」
「そうだよ、フィアメールは最後なんだし余裕を持てよ」
緊張しているフィアメールにマリとカイトがそう言ってくる。
マリとカイトが先にデビューする予定だったが最終的に一緒の日に初回の挨拶配信をリレーでやる事になった。
順番は、マリ、クラリーヌ、カイト、フィアメールとサタレアに決まった。
マリとカイトは同じチャンネルにしようか迷ったようだが、別々で行動する事もあるだろうし分ける事にしたらしい。
二人で行動する事が多いので、メインはカイトのチャンネルになる予定だ。
「そうですよ、初回配信の練習はコメントも読めてて良かったんですから、本番もうまくいきますよ!」
「昨日の練習みたいにいつもの明るいフィアちゃんなら大丈夫よ」
「う~、頑張るのだ~」
天音とクラリーヌの励ましにまだ緊張気味だが返事を返した。
ここ最近の練習にはモニターのコメントを見ながら話す事も入っており、まきなつプロダクションに所属している配信者の初回放送のコメントを見ながら答えてみる練習をしていた。
「それに自分の名前を間違えるって事も無いですし、周りの人の名前も出して大丈夫って人が多いですからその辺りは楽だと思いますよ」
渉の言う通りフィアメール自身も魔国の第四王女で周りの人も国の主要な人物や高ランク探索者なので調べればすぐに顔と名前がわかる人たちで別名義を使う事が無い。
「まあ、何かあればサタレアも後ろに控えているし大丈夫でしょ」
「ええ、フィアメール様が変な事をしそうになったら私がこのハンマーで叩いて止めますので安心して下さい」
「ありがとうなのだ~よろしくなのだ~」
カイトの言葉にサタレアが頷き同意する。
そのサタレアの手にはなぜかピコピコハンマーが握られていた。




