第171話 フィアメール
「皆様、昼食のご準備が出来ましたので移動をお願いします」
扉が開き入ってきたメイドが昼食が出来たと報告してきた。
「ほら、フィアメール様、移動しますよ」
サタレアが立ったままフリーズしているフィアメールの手を引っ張りながら昼食の準備がしてある部屋へとメイドの後をついて移動する。
他のみんなもその後について移動していった。
メイドが扉の前で止まると扉の横にいた兵士が扉を開けた。
サタレアに引っ張られて来たフィアメールが中に入ると部屋の中が美味しそうな匂いに包まれていた。
「はっ!美味しそうな匂いがするのだ!」
渉の無慈悲な言葉で放心状態だったフィアメールは美味しそうな匂いで再起動し、料理が並んでいるテーブルへと走っていった。
「フィアメール様、走らないでください」
サタレアに注意されたフィアメールはテーブルに並んでいる料理を見ているとメイドに案内されて椅子に座らされた。
目の前を見ると王宮の食事には似つかわしくない大皿に熱々の料理が乗っていてコースとかでは無く自分で好きなだけ取る庶民的な食事スタイルだった。
「今日は料理長に頼んでこんな料理にしてもらったの。昔フォノンの家に住んでいた時はこの食べ方だったから、みんなで食べるならやっぱりこの食べ方よね」
クラリーヌが微笑みながらそう言った。
みんなが椅子に座ると、
「では、いただきましょうか」
というクラリーヌの言葉で食事が始まった。
各々でテーブルに乗っている料理を取っていく。
「う~ん美味しい~」
「このポタージュスープも食べたことのない味ですが濃厚で美味しいです」
天音が野菜の中に色々な食材を詰めた料理を食べ、渉がスープを飲んでいた。
「これを食べるのだ!」
肉を煮込んだ料理があったので取皿に取ってからフォークで刺し口に入れる。
口に含むと鶏肉の皮が蕩けて肉の部分がほろほろと崩れていき、赤ワインの酸味と野菜の溶けた甘味のある濃厚なソースが鶏肉と合わさり最高にマッチしていた。
「美味しいのだ!」
「あらあら、それは良かったわ」
クラリーヌは上品に食べながらみんなを見て微笑みながらそう言った。
そうやってみんなで食べる食事は王宮の品のある食事とは違い明るく騒がしく楽しい食事だった。
「やっぱりこういう食事も良いわね」
「フィアも楽しい食事の方が好きなのだ!」
クラリーヌの言葉に同意しながら言うと、
「私もこういうのは好きですが、フィアメール様はちゃんと公的な場での食事では気をつけて下さいね」
とサタレアに言われた。
「うぅ~、わかってるのだ~」
サタレアの注意に返事をして食事の続きを始めるのだった。




