第161話 理依奈視点
更衣室で着替えた私たちは現在、ダンジョンの五階層の転送板へ移動して六階層のセーフティエリアを出て少し進んだ場所へと来ていた。
更衣室から出た後は大変だった。
カイトお兄さんとマリお姉ちゃんが私服の時はまだ大丈夫だったが、着替えた後のカイトお兄さんは華麗な騎士といった見た目で、マリお姉ちゃんは聖女様といった見た目で凄く目立っていた。
話しかけてくる人や写真を撮る人など大変な事になったので慌ててダンジョン内へと移動したのだ。
「何度か来ていて最近は騒がれなくなってきていたけど、今日は凄かったね」
カイトお兄さんが申し訳なさそうに言ってきた。
「多分、今日は土曜日だから平日には来ていない人たちも多く来ているのかもしれないですね」
「副職で探索者をしている人たちも結構いるようですよ」
颯斗が推測を口にして大晴がその言葉に付け加えた。
「ギルドの職員さんも騒ぎになっていたのに気づいて助けてくれましたし、注意しておくと言ってくれていたので戻る時は騒ぎにならないと良いですね」
マリお姉ちゃんもギルドの職員さんに申し訳ない気持ちでいるのか、しょんぼりしている。
「まぁここからはモンスターも居るし、騒ぎになるような事もないだろうから気にせず行こう!」
「そうだね、みんなの訓練なんだし頑張ろう」
「はい、気持ちを切り替えて行きましょう」
私が気にしないよう言うとカイトお兄さんとマリお姉ちゃんが気合いを入れて気持ちを切り替えた。
「そうだ、ドローンカメラで撮影しても良いかな?撮影に慣れる為に使っているんだよね」
カイトお兄さんがドローンカメラを取り出しながらそんな事を言ってきた。
「別に構いませんよ」
「大丈夫です」
「問題ないです」
「ありがとう、じゃあ起動するね」
私たちが了承すると、カイトお兄さんはドローンを取り出し起動させた。
ドローンが浮かび私たちにカメラが向く。
「じゃあ行こうか、僕は前衛について、マリは後衛について行くから聞きたい事があったら聞いてね。あっ、でも索敵はちゃんとしながら進んで行ってね」
「「「「「はい!」」」」」
沙希が先頭を警戒しながら歩いて進んでいく。
その少し後ろを歩いていると沙希がこちらに近づいて来て、
「そこの曲がり角から少し行った所に弓持ちのゴブリン一体と棍棒持ちのゴブリン三体がいました」
と報告してきた。
カイトお兄さんが後衛の方に下がっていく。
「よし、今日の初戦闘、みんな頑張って」
カイトお兄さんの応援を受けて戦闘の準備を始める。
澪が杖を構えて魔法を唱える。
「猛き戦神よ、かの者に戦う力を、オフェンスパワーアップ」
みんなの体に淡い光が輝く。
「ゴブリンが気づく前に私が魔法で先制するね」
「了解」
私は曲がり角からゴブリンに向けて杖を構えて小さな声で詠唱を開始した。
「風の精霊よ、我が意志に応えよ、ウインドカッター」
杖に魔力が溜まり魔法としての形がなされてゴブリンに向かって飛んでいく。
狙っていた弓持ちのゴブリンにウインドカッターが当たった事により残りの三体のゴブリンが戦闘態勢に入ってこちらへと向かってきた。
「よしっいくぞ!」
「おう!」
「うん」
大晴を先頭に颯斗と沙希がゴブリンへと向かっていく。
大晴がゴブリンを挑発スキルを使いヘイトを集め颯斗が一体ずつゴブリンと戦っていく。
沙希は私の魔法を食らってふらふらしている奥にいる弓持ちのゴブリンに止めを刺しに行った。
ふらふらしていたゴブリンが沙希の接近に気付き慌てて態勢を立て直そうとしたが、それよりも早く沙希が首に短剣を突き立て止めを刺した。
沙希が止めを刺してから二人に合流する頃には颯斗が一体ゴブリンを倒しており、残り二体になっていた。
大晴にヘイトが向いているゴブリン二体を一体ずつ危なげなく倒していき全てのゴブリンの討伐が完了した。




