第140話
実家に帰った後、明日は菜摘たちと一緒にアルタニヤ王国の王宮に行き泊まる事を伝えた。
カイトとマリはそのまま実家に泊まる事になるのでお願いしておく。
そして次の日、朝食を食べて身支度を済ませた私は、菜摘の家に向かっていた。
インターホンを鳴らしてしばらくすると、
「は~い」
という声がスピーカーから聞こえてきた。
「おはようございます、麗奈です」
「今開けるわね~」
インターホンのカメラに向かって挨拶すると返事が返ってきた。
扉の施錠が解除される音がして扉が開く。
「おはよう、麗奈ちゃん」
「おはようございます、陽子おばさん」
「もうすぐ菜摘の身支度が終わると思うし待っててね」
挨拶を交わし玄関前で待っていると、二階から菜摘が降りて来た。
「お待たせ、おはよ~、麗奈」
「おはよう、菜摘」
大きな荷物を持った菜摘が靴を履き玄関から出てくる。
「じゃあ、お母さん、行ってくるね!今日は帰らないと思うからよろしくねー」
「は~い、行ってらっしゃ~い」
私は菜摘から荷物を受け取り収納魔法に入れてから駅に向かってふたりで歩き出す。
「いや~、収納魔法って便利よね、高位の探索者はマジックバッグっていう見た目の二倍とか十倍とか物が入って重さを感じないバッグを持ってるって聞くけど、ダンジョンの宝箱から稀にしか出ないっていうし二倍とかでも数千万するっていうから買えないし良いわね~」
収納魔法に荷物を入れるのを見て菜摘が羨ましそうに言ってくる。
「ラキナでもマジックバッグは貴重で、かなり高く取り引きされてたわね、収納魔法はかなりの魔法適正が無いと覚えられないし、覚えるにしても数年はかかるわよ。しかも覚えられても魔力量が少ないと入る量も少ないからね」
うちの子たちには便利だからという理由で小さい時から魔法の練習と一緒に収納魔法を教えている。
保有魔力の量の最大値によって入る量が変わるようで、魔法が苦手な子は大きなバッグ一個分ぐらいしか入れられなかった。
その魔法が苦手な子にしても探索者の中では魔力量が少ないわけでは無かったので魔法に自信がある人以外は覚えない。
「そうなのね、残念だわ」
収納魔法を覚えてみたいと考えていたのか、私の話を聞いて少しがっかりする菜摘であった。
電車で移動して、まきなつプロダクションに到着した私たちは従業員用の扉に行き菜摘がカードを通して鍵を開けて建物の中へと入った。
「あっ、社長、麗奈さん、おはようございます」
「おはよう、美穂」
「おはようございます、美穂さん」
中に入るとスティッククリーナーを持って受付周りの掃除をしようとしていた美穂が居た。
「今から掃除?」
「はい!建物を開ける前の掃除です!」
話を聞くと8時に出勤して9時に来客用の扉を開けるとの事で、その1時間の間に受付周りの掃除と準備をするそうだ。
ちなみに警備の従業員が最低でも一人はいつでもいるようで、夜中の配信やダンジョン探索後の仕事をする時も会社を使えるようになっているという。
「事前に言ってあるけど、今日からアルタニヤ王国へ行くから私への連絡は後日って伝えてね」
「了解です!お土産期待してます!」
「わかったわ、良さそうなのがあったら買ってくるわね」
美穂の「期待してますね~」という言葉を聞きながら三階へ移動する。
会議室のさらに奥へ廊下を歩くと、社長室と書いてある部屋に着いた。
菜摘が鍵を開けて中に入るので、その後をついて中に入る。
社長室とは書いてあったが来客と話す為のテーブルとソファ、モニターが乗っている簡素な机、資料や本が置いてある本棚、小さな冷蔵庫、ポットが乗った小さな食器棚、と最低限の物が置いてある部屋だった。
「一緒にアルタニヤに行くメンバーが揃ったら連絡あるだろうし、ここで待ちましょうか」
菜摘はそう言って冷蔵庫から飲み物を取り出し、二つのコップに飲み物を入れてテーブルに置きソファに座った。




