第130話
流華の方へ近づいて行くと、こちらに気付いたのか流華がこちらに振り向いた。
「勇気、麗奈、早かったですね」
「はぁはぁ……全力で走って来たからね」
流華の言葉に息を切らした勇気が返答する。
休憩する前よりも速い速度で走っていたと思ったら全力で走っていたようだ。
「流華、久しぶり」
「久しぶり、麗奈、あなたは全然疲れてなさそうですね」
私と勇気を見比べてそんな事を言ってきた。
「まぁ鍛えているからね」
笑みを浮かべながら返答していると流華が指導をしているパーティの戦闘が終わったようだ。
「おつかれさま、素材の採取が終わったらボス部屋前の待機エリアに移動して少し休んだらボス討伐に行くわよ」
「分かりました」
流華が労いつつも指示をするとパーティの一人が返事をしてきた。
流華は解体している場所へ行き解体作業をしているパーティに「ここは」や「あちらは」と説明していた。
「戦闘で素材を傷付けるのは仕方ないけど解体で傷付けたり大事な素材を取り忘れたりしないように教えているんだよ。画像や動画で勉強はさせているけど実際にしてみると個体差とかがあるからね」
「素材の採取は知識と経験が大事よね、取り方を間違えると使い物にならない物もあるし、指導するのは良い事ね」
流華を見ていた私に勇気が説明してくれる。
素材を扱う側としても品質の良さは大切な事を知っているので、熟練の探索者が若手にそういう事を教えている体制は好ましく思った。
解体が終わったようで、流華がこちらに向かって、
「ボス部屋前まで移動しますね」
と言って移動し始めた。
戦闘していた場所から曲がってすぐに奥にボス部屋の扉がある待機エリアが見えて来た。
待機エリアに入り流華に指導されていたパーティメンバーと挨拶をして、少し離れて勇気と流華と会話を始めた。
「それにしても、麗奈、いきなり来てびっくりしたよ」
「用事で実家に帰ってて、今日は予定が無かったから流華のクランを見てみようかなって急遽決めたの」
「へぇ〜、クラン内は見て来たの?」
「まだ見てないから後で回る予定」
「受付に流華あてに来てた麗奈さんを発見して、話をした後に実力が気になって、すぐにこっちへ向かったからね」
受付に流華がいるか聞いた後、勇気と話してここまで一気に来たので休憩で行った喫茶店以外には行けていなかった。
「それで麗奈の実力はどうだった?」
「ここに来るまで僕は全力で走ったのに息ひとつ乱れてないし、ボスを倒す時の剣筋も僕では見えないくらい速かったよ」
流華の質問に勇気が肩をすくめて答えた。
「麗奈の話を聞いた時には凄いんだろうなと思ったけど、それほどなのね」
二人からの評価に少し照れくさくなりながらも話していると、
「流華さん、疲れも取れたのでボス行けます!」
休憩が終わったのかパーティリーダーが声をかけてきた。
「では、行きますか!」
流華が気合いを入れて立ち上がるのを見て私も立ち上がる。
「あなたたちの実力なら行けると思うけどヤバそうなら助けるから頑張ってね」
「「「「「はい!」」」」」
パーティを組んでいる五人は気合いを入れてボス部屋の扉を開いた。




