第114話
「フィアメールさんも頑張るって言ってるし、瀬里奈と奈々花も先輩として練習再開しましょうか」
海莉が手をパン!と叩き瀬里奈と奈々花に練習再開の合図をした。
「俺たちは出たほうが良いでしょうか?」
渉が海莉に訊ねる。
「いや、居てもらっても大丈夫だよ。多くの人に見てもらってる状態での練習も良いからね」
「了解です」
「じゃあ始めますよ」
海莉が瀬里奈と奈々花に向けて声をかけた。
二人が鏡の前に立ち海莉を中心に左右対称になるように位置取ると、海莉が「1.2.3.4」と言いながらダンスの動きを見せていった。
海莉が一つの動きごとに見せていきそれに続いて左右に分かれた二人がダンスをしていく。
海莉は二人がダンスをしている時は動きを見て気になるところがあると指摘してもう一度やってもらう、これが何度か繰り返された。
「次は音楽に合わせて先ほどのダンスを繋げて踊るよ!」
海莉と瀬里奈と奈々花が音楽に合わせてダンスをしていく。
「1.2.3.4.1.2.3.4.脚をあげる」
海莉が音楽に合わせてリズムと次の動きを言いながら二人をリードしていく。
「はい、フィニッシュ!」
最後のダンスが終わりビシッと決める。
「じゃあ、次は一人ずつ踊ってみて」
「「はい!」」
瀬里奈、奈々花と順番に踊っていき海莉が良い所と悪い所を伝えて直していく。
二人共直ぐに指摘部分を直していき最後に二人揃って通しで踊った。
「はい、オッケー!こんな感じだけど、どうだった?」
「すごかったのだ!」
海莉の言葉にフィアメールが元気良く答えた。
「おつかれさま、カッコ良かったわよ」
「ありがとうございます」
踊り終えた瀬里奈と奈々花に言葉をかけると笑顔で返事を返して床に座り飲み物を飲み始めた。
「みんなもダンスやってみる?」
海莉が私達に向かって問いかけた。
フィアメールが一番乗り気で手を上げる。
「やってみたいのだ!サタレアも一緒にやろうなのだ!」
「はい、ご一緒します」
「僕も参加してみようかな」
「私も挑戦してみます」
サタレアはフィアメールに誘われて一緒にやる事になり、カイト、マリがそれぞれ志願した。
海莉がフィアメールたち四人の方を向き、
「オッケー、四人ね。まずは簡単なステップや動きから教えるわね」
「はいなのだ!」
フィアメールは元気に返事をし、三人も頷く。
「まず、基本のステップからいくわよ。右足を一歩前に出して……」
海莉が丁寧に動きを指導し、フィアメール、サタレア、カイト、マリが続く。
フィアメールとサタレアは貴族であり幼い頃から社交ダンスを習っていたため、基礎的なリズム感覚はあるものの、これまで経験したことのないスタイルのダンスに苦しんでいる。
マリは音楽に触れることすらほとんどなかったため、ぎこちない動きが目立っていたが、一生懸命に真似をする姿は微笑ましかった。
一方、カイトは意外にも器用にリズムに乗り、海莉が指摘するポイントを素早く吸収していく。
「カイトさん、センスあるね」
海莉が驚きの声を上げると、カイトは少し照れながら、
「ありがとうございます」
と答えた。
「あと少し頑張りましょう」
海莉がそう言うと、フィアメールとサタレアの表情が引き締まり、マリが気合いを入れ、カイトは落ち着いて頷いた。
「じゃあ、いくよー」
海莉が残りのダンスを教えていき、一通り教えると全体を通してやる事になり、手拍子と1.2.3.4と言葉でリズムを作り、それに合わせて四人が踊りだした。
マリがなんとか踊れるようになると、最後に音楽を流して通しでダンスをして終わる事になった。
フィアメールとサタレアは間違いやぎこちない所があったものの踊りきり、マリはあたふたしていたがなんとか最後まで踊る事ができ、カイトは危なげなく完璧に踊りきった。
フィアメールとサタレアは息を弾ませながら額の汗を拭い、カイトは爽やかにやり切った表情をし、マリが大の字に倒れていた。
「皆さん、お疲れ様でした。初めてにしては素晴らしかったよ」
海莉が拍手をしながら四人を褒めた。
「マリさん大丈夫ですか?」
大の字で倒れているマリを見て奈々花が心配そうに声をかけると、
「大丈夫です。ダンジョン攻略で体力はあるはずですが、いつもと違う筋肉を使ったのと思い通りに動けない感じで疲労困憊です」
マリが弱々しく答えた。
「楽しかったのだ!」
「社交ダンスしかした事がなかったので新鮮でした」
フィアメールとサタレアが嬉しそうに感想を言った。
「カイトさんすごかったですね!」
瀬里奈がカイトに興奮気味に言った。
「ありがとう、初めての経験で面白かったよ」
カイトが余裕のある表情で答えると瀬里奈が、
「すごい、かっこいい」
と呟いていた。
倒れていたマリが起き上がったので、
「みんな、ダンスはどうだった?」
私がダンスを終えたみんなに感想を聞いてみると、
「ダンスは楽しいのだ!」
「またやりたいですね」
「慣れない動作でしたが今度は上手くやりたいです」
「とても楽しかったですよ」
フィアメール、サタレア、マリ、カイトがそれぞれ楽しそうにダンスの感想を伝えてきた。
「それなら良かったわね」
みんなの楽しそうな表情を見られて私は微笑みながらそう言った。




