第112話
渉についていき三階の会議室から一階に下りて奥の方に歩いていくとレッスンルームと書かれた部屋が見えてきた。
「ちょっと待って下さいね」
渉がそう言うと扉についた小さなガラス窓から覗いた後、扉をノックした。
「はーい、どうぞー」
「失礼します」
中から声が聞こえると、渉が扉を開けて挨拶をした。
「社長からは許可が出てるのですが、見学したい人たちがいるのでよろしいでしょうか」
「いいですよー」
「いいよー」
「靴を脱いで中に入ってね」
中にいる人たちから許可が出たので、渉が私たちを中に誘導した。
「お邪魔します」
「失礼します」
「お邪魔しますなのだ!」
靴を脱いでから挨拶をして入ると、中には三人の女性が居た。
三人ともジャージにシャツ、内履きと動きやすそうな格好をしていた。
「あっ!カイト様とマリ様!」
三人のうちの一人がカイトとマリが入ってきたと同時に驚いた声を上げた。
「こちら、まきなつプロダクションの一員になるラキナから来た方たちです」
渉が簡潔にこちらを説明したので自己紹介をしていく事にした。
「私は風花麗奈よ、牧野菜摘の親友でこの子たちの保護者ね」
「カイト・カザハナです、Sランク探索者でダンジョン配信を習いに来ました」
「マリ・カザハナです、カイトと同じくSランク探索者です」
「フィアメール・ランレインなのだ!魔国ランレインの第四王女なのだ!アイドル配信者になりにきたのだ!」
他のみんなも自己紹介をしていき、こちらが終わると向こうの三人も自己紹介をし始めた。
「まきなつプロダクション所属の平江 瀬里奈です。アイドル兼探索者をやっています」
「同じく、まきなつプロダクションに所属している扇 奈々花です。アイドル兼探索者をしています」
「今元 海莉です。ダンスのインストラクターをしていて、まきなつプロダクションには週に二日ほど教えに来ています」
全員の自己紹介が終わると、
「カイトさんとマリさんって金沢で探索者をしていて、SNSで話題になってた方ですよね!?」
瀬里奈がカイトとマリを知っており、凄い勢いで聞いてきた。
「たぶんそのカイトで合ってると思います」
カイトが瀬里奈の勢いに押されながらも質問に答え、それを聞いた瀬里奈が、
「写真もかっこよかったけど生で見るとより一層かっこいい」
と言い興奮していた。
「あの……失礼ですが魔国の王女様って本当ですか?」
「フィアメールさんは本当に王女のようですよ、魔族でもありますね」
「魔族の王女様……」
奈々花が恐る恐る聞いた質問に渉が代わりに答えてあげると彼女は驚きながら呟いていた。
「魔族ってネットで見たらツノが生えてたり肌の色が違ったりするって書いてあったけどみんなを見ると違うのね」
魔族と聞いて普通の人族と見た目が変わらないフィアメールたちを見て疑問に思ったのだろう、海莉が疑問を口に出した。
「魔法で見た目を変えているのだ、魔法を解くとこんな感じなのだ」
そう言いフィアメールが魔法を解除するとサタレア、バロスト、ルガルも魔法を解除した。
四人の見た目が変わり肌の色が紫色になり、頭部にツノが生えた。
「おぉ~、凄い!」
凄いと言われて嬉しいのかフィアメールがドヤ顔をしている。
そんなやり取りを見ているとカイトとマリに興奮していた瀬里奈がこっちを見てきて、
「あれ?麗奈さんってよく見るとカイトさんたちと写ってた謎の美女さん?」
外行き用のつば広ハットと色付き眼鏡をしていたが瀬里奈は気付いたようでそう言ってきた。
「その謎の美女さんかな、甥っ子の颯斗からSNSでそう言われてたって聞いたから」
「あれ?保護者って言ってましたけど配信とかしないんですか?見た目的にはアイドルでもいけそうなのに」
颯斗と初めて会った時に言われていた事を思い出して答えると、自己紹介の時に言った『保護者』という言葉に引っかかりを覚えたようだ。
「こんな歳でアイドルは流石に嫌かな」
「えっ?」
「私、菜摘と同級生よ」
「えぇー!?」
私の言葉に驚き瀬里奈が大声を上げて固まってしまった。
「社長も若く見えますけど、そんなレベルじゃないですね」
固まっている瀬里奈の横で海莉が驚きながらもそんな事を言った。




